昨日の記事からつながっている内容です。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事の冒頭、こんなふうに始まっています。
まず岸田文雄政権と与党責任者に問いたい。新しい将来推計人口の公表がなぜこんなに遅いのか。
上記ご指摘の通り、今回の統計の公表は本当に遅かったです。
コロナ禍による調査実施の遅れがあったことは事実ですが、
本来の公表時期は2022年4月であったところ、
今年初めとされていた公表時期が、実際には今年4月26日でした。
統一地方選挙が終わったのが4月23日。
このことを、今回の記事の冒頭では激しく批判していらっしゃいます。
ある時期以降、統計行政は本当に歪んでしまった印象があります。
それはさておき。
今回公表された最新の推計人口では、出生率が前回の1.44から
1.36に引き下げられました。これが「中位推計」と言われるもので、
将来見通しを考える際に最もよく用いられるデータとなります。
ところが、足元の出生率はどうかと言えば、
2021年の実績値は1.30、2022年は1.2台に下がったとみられます。
2023年を1.23と過去最低水準に下がるとみたうえで、
長期的に1.36への回復を想定している、というのが今回の推計です。
パンデミックの後には人口の「補償的増加」が起こる、
という希望的観測?によっているものと考えられます。
さて、貴校園でもおそらく、今後に向けた生徒数や収支の予測を
されていると思います(もしされていなければぜひしてくださいね)。
その際、この「中位推計」の値を使ってよいと思われますでしょうか。
ちなみに、中位推計以外に、本推計では「高位」「低位」の推計もあり、
下のグラフのような差があります。
人口には様々な要因が影響を及ぼしますが、
では経済環境が好転するのか、出生意欲が向上するのか、
外国人の流入はこれまで以上に多くなるのか、といった要素を考えれば、
決して楽観視できない、つまり、中位推計を前提にした枠組みでは
はしごを外される恐れもある、という気がするのですが…
こうしてみると、長期的な出生率が1.13にまで下落すると想定する低位推計を前提に、日本のあり方を構想するのが理にかなっていよう。社会保障はもちろん、国と自治体の財政・税制、橋・道路などインフラの新設や修復のあり方、大都市圏と地方圏との関係――など、長期の日本のグランドデザインを描き直す作業である。
私たちはまず、自校園のあり方を構想する必要があります。
今回の人口推計を改めてご確認いただき、
貴校園が考える未来のカタチを明らかにしていただければと思います。
(文責:吉田)