卒業生の存在は、私学経営にとって大きな力になる、
という観点で参考にしていただきたい記事です。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
顔ぶれが同じになりがちな同窓会活動を活性化させ、卒業生との絆を深める試みが大学で広がっている。若い卒業生が参加しやすい交流会を設けたり、在学生ともデジタルとリアルの場で情報交換したりする。少子化で大学経営が苦しくなる中、結びつきを強め、寄付金の上積みに加え、在学生の満足度を高める狙いだ。
記事に最初に登場するのは東京外国語大学。
同窓会組織の東京外語会の若手委員会「外語会NEXT」は原則、
交流会を月1回開催しているほか、
卒業生が学生に早く学んでおきたかったことを語るトークショーなど
催しも多く、SNSのグループには4千人近くが登録、
日常的に情報交換しているそうです。
外語会NEXT会長の関谷昴さんは「思い出だけでなく未来も語り、若手が参加したくなる場にする」と意気込む。同窓生のイベントの援助やウェブメディアの立ち上げも計画する。
なるほど、同窓会と言えば「在学当時は…」といったことに
話題が終始しがちですが、若手の参加を促すためには
「未来を語る」ことが重要だという視点は納得です。
記事にも
「従来は会報誌など一方通行の発信で幹部も年配が多く、
若手が参加しにくかった」といったことや、
先輩の自慢話や説教ばかりと感じ敬遠する人もいる、と書かれています。
貴校園の同窓会はいかがでしょうか。
この記事には他大学の例も多く掲載されていますが、
同窓会で実施されていることを列挙しますと次の通りとなります。
・卒業生と在学生、教職員が入れる専用SNSを導入し、
臨床研修病院を選ぶコツや研修報告などが投稿される
・ほぼ隔月でオンライン座談会を開催
・海外赴任を控える卒業生や留学前の在学生が現地在住の卒業生に対し、
オンラインで生活などについて相談
・会報誌の電子版を海外向けにスタート
・スマートフォンを使い、コンビニエンスストアやネットバンキングで
会費を払えるように
・卒業生がいる企業と連絡を取り地域の同窓会に若手を紹介
・テーマ別同窓会(女性の活躍を後押しする会)の設置
・ホームカミングデーの実施
一方で、学校や同窓会に対する要望はといえば、
下のグラフにあるようなものが挙がっています。
設備の貸し出しなどはわりあい柔軟にできるかもしれませんし、
検討対象になり得るものが含まれていると感じます。
さて、同窓会活動になぜ力を入れるべきなのか。
記事にはこんなことが書かれています。
国内の18歳人口は過去20年で約40万人減った。日本私立学校振興・共済事業団によると、22年春に入学者が定員割れした四年制私立大は47.5%(284校)と過去最多だ。私大の運営法人の約4分の1は慢性的な経常赤字に陥っている。
(中略)
新型コロナ下で対面行事は減ったものの、遠方からでも参加できるオンラインが定着した。SNSなども使い最新情報をやり取りしつつ、リアルな交流も融合させて卒業生を引き込む知恵がいる。デロイトトーマツグループの吉田圭造シニアマネジャーは「学生生活に価値を感じた人ほど恩返ししたくなる。大学の提供価値が問われる」と話す。
収入源としての寄付は確かに念頭に置きたいところです。
加えて、卒業生の人脈によって、私学の経営課題を解決する、
あるいは教育内容を充実させる、といった可能性も魅力的です。
この記事は大学の事例のみでしたが、それ以外の学校種でも
ぜひ考えてみたいテーマだと思うのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)