寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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リカレント教育の課題 国主導、学校教育と代替的に

リカレント、リスキリングは人生100年時代には

不可避の課題と言えます。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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ここ数年、日本でリカレント教育への関心が急速に高まっている。リカレント教育とは、学校教育を終えて社会に出た個人がニーズに合わせて再び教育を受ける循環型・反復型の一種の生涯教育のことだ。経済協力開発機構OECD)が1970年代初頭に提唱した。OECDの2005年のリポートによれば、リカレント教育には、個人の生産性を高め、イノベーション(技術革新)や雇用機会を創出する効果がある。

 

生涯学習、という言葉は以前からありましたが、

その言葉から受ける印象は文化的活動といった意味合いが強く

(少なくとも私はそんなふうに受け取っていました)、

余暇の活用や認知症予防といった側面に焦点が当たっていたように思います。

が昨今言われるリカレントは、労働力の質的向上、

さらにはデジタルトランスフォーメーション(DX)等の進化で発生した

人手不足と過剰の併存を解消する必要性といった、

まさに現役世代を巻き込んだ、緊急性の高いテーマとして

語られることが多いように感じます。

 

では現実にリカレント教育はどの程度進んでいるのでしょうか。

下のグラフと、付された説明を見てみましょう。

 

 

図はOECDのデータを基に、25~64歳を対象としたリカレント教育の国別参加率(学歴別および全体)を示したものだ。参加率全体(図の■)を見ると、スウェーデンが64%、米国が59%、OECD平均が47%に対し、日本は42%と国際的にやや低い。高等教育(Tertiary)修了者の参加率(図の●)に限ると、スウェーデンが80%、米国が79%、OECD平均が66%に対し、日本は56%と国際的に低い水準にある。

 

世界的に見ると、日本はやや低調な状況だということが分かります。

さらに、現在日本が置かれている課題に対してどうか、という観点でも、

リカレント教育が効果的に実施されているとは言い難い状況のようです。

 

日本では高等教育を修了した人が学び直す場合、より専門的な知識・スキルを習得するため、従来の学校教育と補完的なリカレント教育が一般的だった。例えば不動産会社に就職した人が宅建の資格を取得したり、総合商社に就職した人が経営学修士号(MBA)のコースで学んだりするなどだ。

だが人材の有効活用や雇用のミスマッチ解消という観点からは、育児、介護などを経て再就職や復職を希望する人が基礎的なビジネススキルを身につけたり、異動や転職を希望する人が新たな職場で求められる知識・スキルを学んだりするなど、従来の学校教育と代替的なリカレント教育が必要となる。

 

この記事には上記課題をクリアするための提言がいくつかなされていますが、

仮に私学がリカレント教育を提供するといった場合に、

ヒントになりそうな点を以下に引用しておきます。

 

企業がプログラムを提供する場合、専門的な内容をカバーしにくいという問題がある。特に日本ではIT(情報技術)人材が非IT産業で不足している。こうしたなか、企業のリスキリング導入を支援するサービスが登場するなど新たな動きもある。

一方、従来型の大学・大学院の場合、社会人の学びやすい環境整備が課題だ。シンガポールでは企業が大学など教育機関とともに、ニーズの高い業種で必要なスキルを学べる拠点を運営しており、企業もリカレント教育に関与している。

日本では、経団連と国公私立大学が協議会を立ち上げ提言をまとめている。こうした産官学連携により、社会人が社会のニーズに合ったリカレント教育を受けやすくなると考えられる。

 

リカレント教育を提供する学校種としては、

大学が中心になるものと感じてはいるものの、

実業に生きるリカレントという意味では、

高校や中学で学ぶ内容も決して外れてはいないようにも思います。

今後少子化が進む中で、社会人のリカレントの場として、

より広い学校種で検討が進めばいいのではないかと感じます。

 

(文責:吉田)

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