日経新聞で教育関連の記事をよく書いておられる、
中丸亮夫編集委員による記事です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
2021年度実施の教員採用試験の倍率が小学校で2.5倍と過去最低を更新した。各地の学校では若手教員の質の低下や早期離職が問題になっている。時代の変化に合わせた教育の転換を進めるためにも、人材の「教員離れ」に歯止めをかけなくてはならない。
記事に最初に登場するのが、
「基本的な知識の不足や社会人としての資質の欠如」の例。
「担任なのに月曜の朝、『起きられないので出勤できない』と
先輩教員にメールを送る」
「本は漫画しか読まないと平然と言う」
…そんな例を耳にする、と記事にはあります。
「10年前なら採用試験に合格しなかった人が続々と現場に出てきている。
それを丁寧にフォローするのに十分な余力が、残念ながら今の学校にはない」
と語るベテラン教員の言葉が重く響きます。
文部科学省が9月9日に公表したまとめによりますと、
公立校の2021年度の教員採用倍率は、
小学校が2.5倍(前年度比0.1ポイント減)、
中学校が4.7倍(同0.3ポイント増)、
高校が5.4倍(同1.2ポイント減)となっています。
業界の通説的見解では、採用倍率は最低3倍を確保したい、と言われます。
しかしながら小学校は2018年度に2.8倍となって以降、3倍割れが続いています。
採用倍率が下がった理由の一つは、
教員の大量退職により採用者数が多くなっていること。
そしてもう一つは、既卒の受験者が減少していること。
下のグラフは2021年度の小学校の採用試験受験者の内訳を示しますが、
新卒者が約1万7千人で前年度比微増なのに対し、
既卒者は約2万3千人で11.7%減。
既卒者が受験者全体に占める割合は57.0%となり、
2011年度の69.4%から12.4ポイント低下しました。
既卒者の減少は各地で顕在化している教員不足の要因でもある。自治体は既卒者を臨時に採用することで現場の欠員を穴埋めしてきた。それができなくなり、病気や出産・育児で休職する教員が出た際などに代わりが見つからない事態が頻発するようになった。
教員を増やすにはやはり志願者を増やす必要があります。
先日のブログでも採り上げましたが、試験や採用の時期を早めたり、
採用イベントを開催したりと、工夫がみられるようになってきました。
ただ、これらはやはり対処療法と言わざるを得ません。
記事でもこう指摘されています。
教員離れを止めるには「学校はブラック職場」というレッテルを剝がさなくてはならないし、それには教員の働く環境、特にワークライフバランスの改善が欠かせない。
さて、貴校園の教員採用はどんな状況でしょうか。
そして、もしご苦労されているようであれば、
どんな改善策を企画、実行されているでしょうか。
組織のしくみを変えることも当然必要になると思いますが、
それ以上に、労使双方の「意識」を変える必要があるように感じます。
個々の意識が変わり、それが組織風土を変えるに至るまでには
おそらく数年はかかることでしょう。
学校運営に不可欠な教員数の確保が安定的になることを期待しつつ、
貴校園の働きやすさが向上していくことを願っております。
(文責:吉田)