以前から話題になっていた国立大の大学債(学校債)。
いよいよ発行されましたね。
日経新聞より。
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東京大学は(10月)8日、16日に国立大学として初めて200億円の大学債を発行すると発表した。関連法令の改正で国立大学の債券の発行条件が緩和されたことを受け、資本市場での資金調達に参入する。投資家の購入希望額は発行予定額の6倍を超える人気となった。国からの交付金などの収入が減り、資金の確保が課題となっている他の大学も追随しそうだ。
私の知る限り、学校債は近年、縮小傾向で推移してきました。
が、ここへきて大きな転換点を迎えているように感じます。
上記にもある通り、今回の債券は市場から大きな人気を集めているようです。
ちなみに今回の学校債による調達資金は先端的な研究施設などの整備に充てられ、
すなわち社会的な課題の解決につながる事業に使途を限った
ソーシャルボンド(社会貢献債)として発行されました。
政府保証はなく、年限は40年と長期です。
利回りは年0.823%で、国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は0.18%と、
直近の独立行政法人が発行する財投機関債と同水準であることが
記事で紹介されています。
これだけ市場から人気を得られたのは話題性もあるでしょうが、
やはり格付けの高さが重要な要因ではないでしょうか。
ソーシャルボンドとして、日本格付研究所(JCR)から
最上位評価である「ソーシャル1」を取得したこと、
さらに強固な財務基盤を理由にJCRから最上級の「トリプルA」、
格付投資情報センター(R&I)から「ダブルAプラス」の発行体としての
信用格付けも取得しています。
お金がないから資金調達する、という発想とは逆に、
財務基盤が強いからさらにお金が集まる、という現実。
皮肉な気もしますが、お金を出す側は当然、
その「見返り」を期待するものです。
学校債の発行要件緩和は、資金調達の多様化を促すと同時に、
学校の財政がこれまで以上に二極化する危険性も感じるニュースでした。
皆さんはどう感じましたか?
(文責:吉田)