長いタイトルの今日のブログ。
判決当時にかなり報道されましたので、すでにご存じの方も多いでしょう。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は(10月)13日、不支給は「不合理とはいえない」との判断を示した。一方で待遇格差の内容次第では「不合理とされることがあり得る」とも述べた。「同一労働同一賃金」がルール化される中、企業にとっては対外的に合理的説明のつく処遇体系の整備が引き続き必須になる。
タイトルがイメージとなり早合点しがちな今回のニュースですが、
冷静に内容を把握しておくことが重要ではないか、と感じます。
訴訟となっていたうちの1件は奇しくも学校法人です。
正職員と非常勤職員の業務差異について、
判決では細かく分析したうえで、今回の結論を導いています。
非正規への不合理な格差は、2013年施行の労働契約法旧20条で禁じられました。
ただこれを逆にいえば、「格差があっても不合理でなければ容認」される、
ということになります。
今回の判決において、最高裁はまさに「格差が不合理とまではいえない」、
つまり容認できると結論付けたわけです。
さて、今回の判決を学校法人経営陣としてはどう受け止めるべきでしょうか。
記事には3名の専門家の意見が並んでいます。
人事・労務問題に詳しい今津幸子弁護士は「正社員と非正規社員で求められる責任が違うということを正面から認める判決だったと感じる。企業は職種ごとに何を期待するのか明確にする必要がある」と話す。
東京大学の水町勇一郎教授(労働法)は「判決は同一労働同一賃金ルール関連の法改正前の議論に基づいた判断で、働き方改革の流れに逆行している」とした上で「賞与を非正規労働者にも支給する企業も出てきている。企業には多様な働き方を認め、能力のある人を生かしていくことを期待したい」と求めた。
日本大学の安藤至大教授(労働経済学)は「払わないことが正しいというわけではない。法律は最低レベルの基準。企業は労働者に納得感を与える制度づくりを考えるべきだ」と呼びかけている。
ひとつの基準が示されたことは経営上の指針として意味を持つ、
とは思います。
ただ、これがあるから非常勤に賞与は不要、と断言できるものではない、
とも思います。
これまでは「専任」「常勤」「非常勤」という契約形態に着眼して
処遇を決しているケースも決して少なくなかったと思いますが、
今後はその教職員に何を担っていただくのか、によって
処遇を柔軟に変化させることもまた必要になるような気がします。
いよいよ年齢給だけでは対応できない状況になってきたのかもしれません。
この判決を機に、貴校園の給与制度について考えてみてはいかがでしょうか。
(文責:吉田)