寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

今春の私大定員割れ31%

ブログタイトルを見て、どう思われたでしょうか。

引用している記事のタイトルはもう一言、付け加わっています。

定員割れ31%、ではありますが、これでも「改善」なのです。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

4年制の私立大で今春定員割れした大学は31.0%の184校だったことが(10月)6日までに、日本私立学校振興・共済事業団の2020年度調査で分かった。前年度から割合は2.0ポイント、学校数は10校減った。減少は4年連続。

 

文部科学省が定員超過した私大に補助金を不交付とする基準を厳格化したのが

2016年度のこと。

この施策以降、定員割れした大学の割合・数ともに減少を始めた、

となると、やはりこの施策の影響であると考えるのが自然でしょう。

 

一方で、定員全体に占める入学者の割合を示す入学定員充足率は

102.6%で、前年度より微減したとのこと。

マーケットがやや縮小傾向だとすると、偏在が多少緩和したとしても

今後に向けては緊張感をもって学校経営に当たらねばなりませんね。

 

地域にもよりますが、少子化や人口減は進んできています。

その中で、貴校園の定員をどうしていくのか、という点は

大きな検討課題になり得ると思います。

早めの議論、早めの方向性確定をお願いいたします。

 

(文責:吉田)

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学校徴収金

日経新聞の連載、「学びや発」。

学校現場に携わる方の声が聞ける、私にとって貴重な記事です。

今回は「学校徴収金」がテーマ。興味深いです。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

出てくるのは公立校の事例と思われます。

 

新学期に、学校構内で業者が持ち込んだ教材を

選定する教員たちの様子が述べられ、

例えばテストやノート、セット教材などが購入決定されます。

一方、その費用負担は保護者。

記事では「学校徴収金」という名称ですが、

私学でもいわゆる納付金(学納金・授業料)とは別に、

教材費等の名称で集められる保護者負担金は

ほぼすべての学校に存在していることでしょう。

 

セット教材について、筆者はこう述べておられます。

 

このセット教材、図工と並んで理科のものが多い。小学校の教師は理科が苦手な傾向があるためで、「これがないと教えられない」「道具がそろっていて一斉に教えるには便利」と購入する同僚が少なくない。

確かにセット教材は教育の質を保つのに一定の効果がある。今はコロナ対策で実験器具の使い回しができないため、セット教材を利用している一面もある。だが、一つ一つの金額は小さくても積もり積もれば家庭の負担が無視できない。家庭から集金できず、教員が立て替えることもある。

学校徴収金には「保護者負担の軽減に努める」という留意点があり、必要性を吟味しなくてはならないはずだ。しかし、ほとんどの教員は業者から買うことが常態化している。コロナ対策で最近、児童の机に設置された飛沫防止パーティション(600円前後)も学校徴収金となった。

 

さて、貴校園ではこのような徴収金について、どうお考えでしょうか。

保護者負担を軽減する、という観点から、

この記事の筆者がおっしゃる内容もぜひ検討してみていただきたいと思います。

そして一方で、同じ保護者負担である納付金について、

3年程度に1度、ルーティンのように増額するというケースもある中、

果たしてそれが今後も続けられるのか、という疑問もあります。

教育活動に関する直接的な支出については、

徴収金を上手く活用することで納付金増を抑えることができるかもしれません。

 

 

決算書の中では「収支」に目が行きがちで、

この記事に言う徴収金はなかなか焦点が当たらないものかもしれません。

次年度の予算編成におかれましては、少しこのようなことにも

目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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住宅ローン完済年齢上昇 平均73歳

人生100年時代、定年年齢の引き上げも話題になる中、

気になるのはやはり収入や資産のことです。

私学の労務制度にも影響を与えそうな、

こんなニュースを拾ってみました。

日経新聞より。

 

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定年退職後も住宅ローンを返済し続ける高齢者が増えそうだ。日本経済新聞住宅金融支援機構のデータを調べたところ、2020年度の利用者が完済を計画する年齢は平均73歳と、20年間で5歳上がった。借入時の年齢や金額が上昇しているためだ。70歳まで雇用が継続されても年金生活は不安定になりかねない。貸し手も借り手も老後リスクを吟味する必要がある。

 

給与制度を設計する際、例えば子育て世代にはそれに見合った処遇を、

などと考えることもあるかと思いますが、

住宅ローンも大きな要素になり得るところ。

その返済が70代に入っても終わらない、となると、

再雇用制度等にも影響が及びかねません。

 

記事によれば、平均完済年齢が最低だったのは2000年度で68.3歳。

その後年齢が上がり、今回は73.1歳で過去最高だったとのことです。

この原因は次の3つの要因が重なっていると記事に書かれています。

・晩婚化で住宅取得時期が遅れていること

・超低金利を背景に住宅価格が上昇したこと

・頭金を減らして多めに借りる傾向に伴う返済期間の長期化

 

このことをめぐり、少し気になる情報も。

三菱総合研究所の推計では、60歳で残高が1千万円を超すと「老後破産予備軍」になる。主に1990年代に借りた人の1割がこれに該当し、20年後は2割以上になる。

それでも貸し手は完済時年齢の上限引き上げに動く。ソニー銀行は85歳未満にした。全国住宅産業協会はフラット35でも80歳未満から85歳未満にするよう国に要望する。

年金の持続性は揺らぎ、老後リスクはただでさえ膨らむ。にもかかわらず今も持ち家取得を促す政策が出され、金融機関は住宅ローンを重要な収益源と位置づける。超低金利下で借り手も債務を抱える心理的なハードルが下がっている。

 

 

私学の場合、教職員への金融教育を施す余裕がないケースも多いと思います。

現状は規模に比べて高水準の処遇が実現している私学も

決して少なくありませんが、今後の見通しが楽観できない中、

背伸びしすぎない資産形成が教職員各位にも求められるのかもしれません。

 

(文責:吉田)

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11月になりました

昨日が日曜日、明日が祝日ですので、

今日は休日にはさまれた月曜日ですね。

月初のスタートですが、そういう意味では

少し気持ちに余裕ができそうな11月のスタートと言えるかもしれません。

 

今日はこのブログでは珍しく、私のことについて少し書かせていただきます。

 

先月22日に、学校経営セミナーを開催させていただきました。

そしてその翌週29日に、年末調整セミナーの講師を務めました

(主催は神戸商工会議所様です)。

 

2つのセミナーを立て続けにやってみて、気づいたことがあります。

 

学校経営セミナーのテーマは法務と財務。

法務は津田弁護士にお願いし、私は財務を担当したのですが、

学校法人会計や学校における財務のポイントといったテーマは

これまでも何度も扱ってきましたので、今回のセミナーに当たっては

早くに構成も仕上がり、スライドやレジュメも割合スムーズに完成できました。

実際、セミナー当日もお伝えすべきこと、お伝えしたいことの

多くはお伝えできたのではないか、と感じています。

 

一方、年末調整は初挑戦のテーマでした。

特に今年の年末調整は昨年からの制度変更も多く、非常にややこしくなっています。

これまでこの手のセミナー講師はむしろ避けてきていたのですが、

私の新しいチャレンジとして受けさせていただき、

約半年の間、四苦八苦しながらテキストと演習問題を作成しました。

当日の時間配分もリハーサルの時とずれてしまい、

内容には全て触れることができましたが、

やろうとしていた演習問題を2問削らざるを得ませんでした。

 

私はもともと、人前でしゃべるのが大の苦手でした。

セミナー講師の依頼があっても、逃げ続けていた時期もあります。

が、結局それを引き受けるようになり、いくつかのテーマの中で

数多く実施する機会に恵まれるものも出てきました。

そうやって何度もやることで、どんどん自分のものになる、

ということを、先月の財務セミナーで実感することができました。

学校法人会計については概ねマスターできた、

という自信もついたように思います。

 

一方で、安定感のあるテーマができると、

新たなチャレンジをしなくてもいいんじゃないか、

という思いに駆られる自分にも気づくことができました。

その中で実施した年末調整セミナーで、やはりチャレンジは大切だ、

と実感しました。

なぜなら、満足しかけた自分の「足りないところ」を

たくさん気づかせてくれたから。

新しい一歩がなければ、今のままでいいや、

とどこかで満足していたかもしれません。

 

自信を持って提供できるテーマがあることを実感したこと。

足りないところをより改善しなければいけないことを実感したこと。

経験が私を強くしてくれた2つの出来事があった、10月の私です。

 

皆さんにもきっと、日ごろのお仕事を通じて

感じることがいろいろおありだと思います。

なかなかお会いすることがままならない方もまだたくさんいらっしゃいますが、

お会いした暁には、ぜひまたいろいろお話をお聞かせください。

そして今月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:吉田)

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東京・開成高でなりすまし登校

そんなことあり得るの?

しかもあの有名校で?

と叫んでしまいました。日経新聞より。

 

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この記事、非常に短い記事ではありましたが、驚きは反比例しました。

 

国内有数の進学校として知られる私立開成高(東京・荒川)で、今春合格した男子生徒の名前をかたって別の男性が遠隔授業に参加したり登校したりしていたことが30日、分かった。開成高は「なりすまし登校」と認定。9月に男子生徒を除籍処分とし、男性は立ち入り禁止にした。

 

今年はコロナ禍で遠隔授業があったからこのようなことが起きたのかな、

とも思ったのですが、登校もしていたと記事にありまたびっくり。

登校を続けていた人物がどこかのタイミングで入れ替わったのであれば

分かったことかもしれませんが、最初からその生徒だと認識してしまえば、

確かに判明まで少し時間がかかってしまうのかもしれません。

 

7月下旬になっても、成績や人物評価が記された「指導要録」が生徒の出身中学から届かず、調査を開始。指導要録は別の高校に送付され、生徒はこの高校に通っていることが分かった。

おそらく、ご本人はこのようなしくみがあることを知らなかったのでしょうね。

学校間の連携が重要であることを改めて思い知らされます。

 

このような事例が他にもある、とは思いませんが、

思い込んでいたことに足元をすくわれる、

ということは日常に潜んでいるかもしれません。

もう一度基本を徹底しよう。

そう思わされた記事でした。 

 

(文責:吉田)

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教室にエアコン93%

私学では以前から、教室のエアコンが整備されているケースが圧倒的かと思います。

公立もまたそれに近づいているようです。

そして新たな設備投資の必要性も出てきているのかもしれません。

短い記事ですが、ご紹介します。日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

文部科学省は(9月)30日、公立小中学校などのエアコン設置率が9月1日時点で93.0%に達したと発表した。前年比で15ポイント増え、初めて9割を超えた。設置率が8割以上となったのは44都府県。寒冷地の北海道や青森、秋田両県は4割以下だった。

 

結果の概要は上記引用部分となっていますが、

普通教室と特別教室では以下の通り、設置率がかなり異なっています。

 

・普通教室:約42万6千室のうち約39万6千室が設置済

・特別教室:約40万1千室のうち約23万室が設置済

 

特別教室の設置率は57.5%と、半数を超えたところにとどまっています。

新型コロナウイルス対策では教室内の人数を減らすため、

特別教室などを使う授業も増えている中で、

夏の時期はどうやって乗り切ったのだろうかと少し心配になりました。

ちなみに、文科省は特別教室へのエアコン設置について、

来年度予算の概算要求でその費用を盛り込んだと報じられています。

 

そして、記事の末尾にこんな記載がありました。

 

災害時に避難所として使われる体育館の冷房設置率は9.0%だった。

 

貴校園では体育館にも冷房を設置されていますでしょうか。

毎年のように酷暑が続き、体育館もまた冷房の必要性が高まっている、

とも言えるかもしれません。

ただ、イニシャルコスト・ランニングコストも頭の痛いところ。

施設整備の優先順位を誤らないよう、しっかり計画化したいところですね。

 

(文責:吉田)

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民間給与、7年ぶり減少

最近は「コロナ禍の影響で」という記事が増える中、

それは関係ないのに厳しい統計、というのも出てきています。

日経新聞より。

 

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民間企業で働く人が2019年の1年間で得た給与は平均436万円で、18年に比べ約1%(4万3千円)減り、7年ぶりにマイナスとなったことが29日、国税庁民間給与実態統計調査で分かった。従業員100人未満の中小企業の平均給与が減少し、全体を押し下げる形となった。

 

この統計は記載にある通り、2019年分が対象です。

つまり、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞影響は反映されていません。

下のグラフで年度推移の傾向をつかんでおきましょう。

 

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実は、事業所の規模別で状況は結構異なります。

・従業員30~99人の事業所:412万円(前年比約5%減)

・10~29人:404万円(同約3.9%減)

・10人未満:340万円(同約4.9%減)

・5千人以上:516万円(同約0.9%増)

 

給与水準は企業規模と強い関連性がある、というのは

以前からこのブログでご紹介しているところです。

今回の調査では、その差がよりいっそう広がる結果となっています。

あくまで平均値ですので、個別の企業を見るとそうではないのでしょうが、

あまりその差が大きくならないことを願いたいところではあります。

 

この国税庁の調査は1949年から毎年行われており、かなりの歴史があります。

ちなみに、この調査委による平均給与の最高額は1997年の467万円。

今回よりも30万円も高いのですね。

 

私学経営にとって、家計の状況はとても重要な要素です。

コロナ禍前でも家計が下降線をたどっていたとすれば、

次年度募集や在学生家庭においてはその影響が強く懸念されます。

安定経営をお続けいただくために、

資金繰りをはじめ、今後の見通しを改めて明らかにされることをお勧めいたします。

 

(文責:吉田)

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