寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

英語民間試験の活用「延期せず実施を」

大学入試の英語、なかなか落ち着きませんね。

入試が近づく中で、不安が募ります。

そんな中で、少し以前の記事になりますが、

驚きを禁じ得なかったニュースをお届けします。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください) 

 

2020年度に始まる大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用を巡り、日本私立中学高等学校連合会(中高連)は文部科学省に対して(9月)19日、「延期をせずに円滑な実施を目指すべきだ」とする要望書を提出した。延期は大きな混乱を招くとし、民間試験の日程や会場などを早期に確定させるべきだとした。

 

あれ?この直前に全国高等学校長協会(全高長)が延期を求めてたんじゃあ…?

と耳を疑いました。

全高長には私立高校の校長も加盟しています。なのになぜ?

 

約1400校の私立中学、高校が加盟する中高連のメンバーも全高長に加盟しているが、19日に記者会見した吉田晋会長は「我々の意見は聞かれなかった」と説明。「しっかり学習してきた生徒の思いはどうなるのか。延期は子ども中心の考え方ではない」と述べた。

 

むむむ。意見が聞かれなかったのは問題ですが、

そのような扱いを受けていること自体に問題はないのでしょうか。

私学として大切にすべきものについて、

しかるべき業界団体できちんととりまとめができているのか、

そしてその意見が尊重されるような働きかけがなされているのか…

英語の民間試験のことだけに限らず、

私学の今後の経営環境整備にとってとても重要なことだと思うのですが。

 

まずは民間試験活用について状況が落ち着くことを願っています。

そして、私学の教育環境がいっそう整うことも願っております。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

東大「AAプラス」

学校でも独自の資金調達を考えねばならない時代、

ということなのでしょうか。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

東京大学は19日、格付投資情報センター(R&I)から発行体格付け「AAプラス」を新規取得したと発表した。方向性は「安定的」。学費や国の交付金、借入金などで資金調達しているが、海外の有力大学との競争が激化するなか、さらに調達ルートを多様化させる狙いがある。

 

私学では学校債で資金調達している実例があると思いますが、

中高法人に限った場合、学校債の活用例は減少傾向にあるように感じています。

入学時の学校債発行・引受が保護者から義務的に捉えられることがあるなど、

運用の難しさがその一因と考えられますが、

ここへきて国立大学自身が資金調達を念頭に置いて格付を取得した、

というニュース。流れは変わるのでしょうか。

 

ちなみに、「AAプラス」は21段階で2番目に高い評価で、

日本国債と並ぶ水準とのこと。

日本国債の信用力が本当に高いかどうかは別にして、

非常に高い評価を受けていることが分かります。

一方で、この格付けを担当したアナリストの格付けの理由には

少し引っかかるものがあります。

「政府との緊密な関係と高い研究力が評価できる」…と。

私学は建学の精神と進取の精神で自らの拠るべき道を大切にしていただきたい、

と改めて願う次第です。

 

(文責:吉田) 

www.ysmc.co.jp

社員全員が「採用担当」

リファラル採用をご存知でしょうか。

採用難の中で、注目されている方法ですよね。

今日はその記事をご紹介します。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

社員が自分の知人らを紹介する「リファラル(紹介)採用」が日立製作所や荏原、NTTデータなど大手企業に広がり始めた。人手不足で各社は即戦力になる中途採用に力を入れているが、コストに見合うだけの人数を確保できないケースも目立つ。新卒で採用した人材に頼る日本型雇用が崩れるなか、米国などで定着する採用手法が新たな潮流になりつつある。

 

社員の紹介で新たな人材を採用する、というリファラル採用

分かりやすく言えば、社員の友人が社員になる、という構図ですね。

以前から「縁故採用」というものはありましたが、

両者は違う面が結構あります。

 

f:id:ysconsult:20191004191642p:plain


リファラル採用のデメリットの中で

「組織が同質化する」

という点が挙がっておりますが、組織づくりの観点では

これが留意すべき点になるかもしれませんね。

 

ただし、現状なかなか採用が難しいために、

デメリットを飲み込んでこのような方法を採っている企業も

少なくないように思われます。

 

f:id:ysconsult:20191004191659p:plain



某大手就職情報会社によれば、2018年度に中途採用をした企業が

人材紹介にかけた費用はなんと489.3万円(前年度比4%増)。

採用後の人件費に相当する、あるいはそれ以上の採用費がかかっている、

とも言えそうですね。

 

学校でも採用にかかるコストは上昇を続けているものと推測されます。

ただ、コストをかけてでも採用しないと、

学校としての活動ができなくなる、という問題も出かねません。

少し先を見据えた採用と育成のしくみを考えたいですね。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

私大の学部譲渡、新制度を初適用

学校をめぐる制度の変化はここ最近、

目まぐるしいものがあるように感じています。

これもその一つと言えるかもしれませんね。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

大学設置・学校法人審議会は(9月)11日までに、神戸山手大(神戸市中央区)の現代社会学部の設置者を、関西国際大(兵庫県三木市)を運営する学校法人へ変更することを認めるよう文部科学相に答申した。私大同士で学部を譲渡できるようにした新制度が初適用された。答申は(9月)10日付で、文科相の認可を得て正式に譲渡が決まる。

 

これまでは私大の学部だけを譲り渡すことは手続上不可能だったのが、

大きな簡素化が図られました。

つまり、これまではそれほど想定されなかった「学部譲渡」が、

今後は一般的になっていく可能性がある、ということです。

事実、この手法が検討対象になっている私学は少なくないように感じます。

一般企業が事業を譲渡するように、

大学も経営戦略上、学部を譲渡する…

なんてことが頻繁に起こるようになるのでしょうか。

 

 

今回のケースでは、神戸山手大学に入学した学生が、

関西国際大学を卒業した、ということが起こります。

学業の環境を維持発展させることが目的であるとはいえ、

学生にとっては影響が大きいであろうこの学部譲渡。

今後の動向を注視したいですね。 

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

賃金フラット化、着実に進む

人生100年時代。定年延長。

高齢者雇用に関する話題も多くなってきました。

さて学校法人での制度設計はどのように進めればいいのか。

この記事を読んで考えてみてはいかがでしょうか。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

日本では雇い主と労働者の間で、エドワード・ラジア米スタンフォード大教授が提唱するインセンティブ(誘因)契約に相当する賃金体系が広く成立していると考えられる。雇い主が労働者の努力水準を観察できない場合、若年時には生産性以下の賃金、事後的に生産性以上の賃金を受け取る長期的なカーブをつくることにより、労働者に努力を継続するインセンティブを与えるものだ。

この場合、高年齢者の雇用確保を定年年齢の引き上げで進めるとすれば、生産性を上回る賃金を支払う期間が延長されるので、企業の負担増に直結しうる。負担緩和の一つの方策は、賃金カーブのフラット化(年齢に伴う賃金の上がり方を緩やかにする)だ。

 

筆者はこのような前提を基に、

「高年齢者の雇用期間延長に伴いフラット化が進むのか」

という点を研究されたようです。

下のグラフ1は、高年齢者比率が高い事業所をグループA、

低い事業所をグループBに分け、

賃金カーブの平均的な傾きがどの程度フラット化したかを確認した結果です。

これによれば、30~60代のすべての年代でAはBよりフラット化が進み、

特に50代での差が大きくなっていますね。

高齢者雇用が進めば、賃金カーブはフラット化せざるを得ない、

というふうに言ってもいいのかもしれません。

 

f:id:ysconsult:20190912071541p:plain


そして、年齢別の時給水準の変化がどのように進展しているのか、

という点についても結果が記されています。

図2で示したように、ピークの低下(②)は95~05年に起き、ピーク以降の低下は期間を通じて徐々に進んでいる(③)。入職時賃金の上昇(①)率と中高年の賃金低下率はほぼ等しいが、金額では後者の方が大きい。

だが企業側からみると、中高年以上の年齢層に支払う賃金総額のウエートは上昇を続けている。大卒男性の賃金では、50代のシェアは95年の22%から15年に30%を超え、60代も同期間に4%から6%に拡大した。

 

これらの結果から、筆者は次のような提言をされています。

少し長くなりますが引用させていただきます。

 

賃金カーブのフラット化は何を意味するのか。将来の賃金上昇が見込みにくくなるため、若年のうちから、より高水準の賃金を得るための転職が増えることが予想される。これを企業側からみると、転職可能性が高まることで若年層への人的投資意欲が下がる。だが若年層で転職に向けてコストを負担し自己の能力開発に投資するケースが増えると考えれば、人的投資の費用負担が企業から労働者に移っていく可能性がある。

賃金カーブのフラット化の進展を避けるのは難しいが、定年が近づいた年齢層の生産性を高め、高年齢者の転職市場を厚くすることは重要だ。業績や評価、専門的なスキルや経験を有する、あるいはマネジメント能力が高い人材は市場でも高く評価される。こうした人材の層を厚くするには、企業の内外様々な形での人的投資が不可欠だ。

年功賃金制度が緩やかになるとともに、補完的に機能してきた長期雇用制度が弱まり、若年層の離職率が上昇すれば、職場内訓練(OJT)に依拠した日本型雇用慣行も変化を迫られる。他方、生産性の高い人材の育成には、学校教育終了後も若年から中高年まで継続した人的投資が不可欠だ。

 

学校法人においても、将来を見据えた賃金設計がいよいよ必要だ、

というケースは決して少なくないと思います。

年齢で見た場合のフラット化はある程度やむを得ない中で、

優秀な人材の採用と雇用維持を目指すためには、

そのような人材を「育てる」という観点が欠かせないのではないでしょうか。 

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp

助っ人はロボット

保育士不足のニュースは先週のブログでも採り上げました。

今日も同じく、日経新聞の連載記事をご紹介いたします。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

表題に「助っ人はロボット」と書かれているわりに、

記事ではロボットはそれほど登場しません。

ただ、ロボットの存在も保育士の業務軽減に役立っている、

ということは書かれています。

 

園だよりや保育日誌、自治体への報告書作成――。保育所ではいまだに手書きによる事務作業が珍しくない。同園を運営するグローバルブリッヂホールディングスが開発した業務支援システムは、こうした作業をICT化し、「毎月保育士1.4人分の労働時間を減らす」と社長の貞松成(38)は説明する。

 

例えば、

・昼寝中の園児を5~10分ごとに確認していた作業を軽減する。

・子供と接しなくていい時間をあえてつくる。

・シニア人材を保育士として活用する。

といった実例が記事には登場します。

保育士の日常業務を軽減するための方策は、

学校におけるのと同じように、進展を見せています。

結果として、保育園では保護者との会話時間が増加するなど、

まさに働き方が変わってきているようです。

 

 

人がいない、業務が煩雑だ、休めない…

嘆くだけでは何も変わりません。

変えていくための行動が、今こそ必要なのかもしれません。

 

(文責:吉田) 

www.ysmc.co.jp

公的教育支出、日本また最低

記事の表題に「また」と付くものはそれほど見かけないと思うのですが。

また、最低。そんなニュースです。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

経済協力開発機構OECD)は10日、2016年に加盟各国が小学校から大学に相当する教育機関に対して行った公的支出の国内総生産GDP)に占める割合を発表した。日本は2.9%で、比較可能な35カ国のうち、3年連続で最も低かった。

 

f:id:ysconsult:20190912072336p:plain



OECD平均は4.0%。そして最高はノルウェーの6.3%。

上のグラフを見ても、日本は群を抜いて低く、ノルウェーが群を抜いて高い、

という様相ですね。

 

公的支出が教育に向かっていない、というのはつまり、

教育以外に向かっている、ということが言えます。

資金にせよ、資源にせよ、限られたものを配分することこそが「政策」。

日本の政策においては、教育という分野が資金の配分先として

劣後している様子が見て取れます。

その意味で、政治や行政、予算編成に私たちは厳しい目を向ける必要があります。

 

一方で、ひとつの私学を採り上げた場合でも同じように、

何を重点的に考え、何に重点的にお金を配分するのか、

を決めることが政策、すなわち経営です。

潤沢な経営資源があれば配分を厳格に行う必要はありませんが、

この時代、決してそんなことはないはずです。

であれば、学校において経営はやはり非常に重要な活動であると言えるでしょう。

 

貴校園では何に多くのお金を配分しますか?

去年と同じ使い方、というのは経営ではありません。

本当に大切なことがらにしっかりお金を使うために、

これから始まる予算編成という経営活動に魂を込めていただければ幸いです。

 

 

(文責:吉田) 

www.ysmc.co.jp