寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学の全面禁煙2割

公的な空間は全面禁煙、という動きが広がっていますね。

学校施設もその流れの中にありますが…実態はどうなんでしょうか。

日経新聞にその現状に関する記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

キャンパス内に喫煙所を設置しない「全面禁煙」にするかどうかをめぐり、大学の対応が分かれている。家田重晴・中京大教授の調査によると、現時点で全面禁煙に踏み切ったのは2割にとどまる。改正健康増進法により今年夏から学校は原則として敷地内禁煙となるが、周辺での路上喫煙が増えることへの懸念もあって対応に苦慮しているようだ。

 

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この調査は2018年10~11月に実施されたものですが、

その時点で7割が未実施、というのが少々驚きです。

実際、禁煙化のためにはまず学内の周知徹底を要しますし、

関係各方面への広報等を含め、調整には時間がかかるものなのかもしれません。

大学の場合には学生も喫煙が可能ですので、

高等学校等と比べても全面禁煙はハードルが高そうです。

 

記事にはこんな事例も掲載されています。

 

18年9月から全面禁煙を予定していた中央大は同年4月から喫煙所を段階的に減らしていた。しかし喫煙所以外での喫煙やキャンパス外での路上喫煙、吸い殻のポイ捨てなどの迷惑行為が確認された。近隣住民から苦情もあったことから大学側は全面禁煙を延期。「全面禁煙とした場合の悪影響を考慮した」(担当者)とし、全面禁煙の開始時期は未定だ。

 

何かをやろうとする際のエネルギーは非常に大きいものがあります。

そのエネルギーの源泉になるのは「理念」「ビジョン」でしょう。

禁煙化、という取り組みが法律に端を発していることは間違いありませんが、

その奥には貴校園の活動方針があってしかるべきです。

関係者が腑に落とせる論理をしっかり構築したいところですね。

 

(文責:吉田)

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プログラミング教育、官民で

プログラミング教育の話題がかなり出てきましたね。

先日の日経新聞の記事を引用させていただきます。

 

www.nikkei.com

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文部科学省経済産業省などは18日、小学校のプログラミング教育の普及に向け、トヨタ自動車、グーグルなど17社・団体と連携した授業を行うと発表した。企業などが動画教材を提供するほか、プログラミングが使われている現場などの見学や講師も派遣する。2020年度の小学校でのプログラミング教育の必修化を控え、人工知能(AI)などに強いIT(情報技術)人材の育成につなげる。

 

このように、大手企業との連携授業が模索されているようですね。

現段階で授業案はすでに15種類存在しているとのこと。

  • グーグル日本法人:地域の魅力を発信する動画をプログラミングでつくる授業案
  • トヨタなど自動車4社など:子供を工場に招き、自動車のセンサーなどにプログラミングが使われていることを教える
  • ITコンサルティングのフューチャー:スポーツとデータ分析をテーマにした授業

が例示されています。

 

経産省の推計ではIT人材の不足は30年で約59万人に上る。教育に協力することで企業側にとっても、将来のIT人材確保につながるメリットがある。文科省などは今回の事業を呼び水に、各地域で民間が協力する態勢を整えていく。同省は参加校を募集。各学校は9月から動画教材の配信を受けたり企業訪問をしたりして、授業を進める。

 

ただし、現時点では自治体ごとの取り組みには大きな差があるようで、

プログラミングの授業を既に実施しているケースもあれば、

教育委員会に担当者を置いて研究を始めた段階の自治体もある、とのことです。

 

さて私学はどうでしょうか。

私が知る限り、やはり学校ごとに相当程度の差が生まれているように感じます。

貴校園の取組方針を明らかにし、体制整備を進めていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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習い事費用、中3が最高

私学に通う、という選択肢を持つ家庭にとっては

家庭外、学校外での習い事もまた選択肢に上がるもの、

と言えるのではないでしょうか。

そんな習い事に関する費用の情報です。

日経新聞より。

 

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ベネッセ教育総合研究所の2017年の調査によると子供の習い事などでかかる費用は1人あたり平均で月1万4700円だった。3歳児から高校3年の子供を持つ母親1万6170人に、塾や習い事のほか家庭用の学習教材への費用についてインターネットで調査した。

 

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居住地域別にみると、顕著な差が表れるのではないか、とも思うこの調査。

都市圏では習い事の費用は大きくなる傾向があるように感じます。 

それにしても中3生は突出していますね。

高校受験が大きな影響を及ぼしているのでしょうか。


ちなみに、小学生では49.1%が塾などに通っているとのこと。

小学3年まではスポーツを重視する親が多く、

小学4年から学習面に費用をかけるようになっている、

と記事は伝えています。

私立の小中高においては、児童生徒募集の観点のみならず、

どのような学習環境を提供するかという考察においても、

このような統計は有用でしょう。

さて自校園が対象とする家庭層に、

どのようなサービス提供が考えられるでしょうか。

 

(文責:吉田)

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守りと攻めのガバナンス

少し以前のものになりますが、学校法人制度の改善について

着眼点をまとめた記事が掲載されました。

小委員会の委員として参画された弁護士さんによる文章です。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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記事のタイトルになっている「守り」と「攻め」とは何か。

守りは「経営陣に対するチェック」です。

 

具体的には、理事の違法行為に対する差し止め請求権など監事権限の強化、役員(理事と監事)の責任の明確化、評議員会への諮問が必要な事項の増加、利益相反行為の対象の拡大などが提言された。提言を受けて、私立学校法の改正などガバナンス制度の強化が図られることになろう。

 

そして「攻め」とは…

もう一つのポイントは、中長期計画の策定の推進や、私立大学版ガバナンスコードの策定など、学校法人のさらなる成長・発展のための"攻めのガバナンス"的方策の提言である。

 

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ガバナンスの強化は複数の方面から実現される必要がありそうです。

その中に「事業計画」が位置付けられている点も

ぜひご留意いただきたいと思います。

 

一方で、今回の方策には課題も残った、と指摘されています。

制度をいくら構築しても、適任者がその仕組みを適切に動かさないと、絵に描いた餅に終わってしまう。経営陣へのチェック機能強化という今回の観点からすれば、特に外部理事・監事のなり手をどのように発見・育成するかという問題がある。これには役員研修の充実はもちろん、人材供給の仕組み作りも必要となる。役員の責任を明確化したことで、適任の人材が就任を避ける事態を招かないように、役員賠償責任保険の充実なども欠かせない。

私学においては、教職員の確保もさることながら、

役員のなり手を探すことは簡単でなくなってきています。

理事のみならず、監事や評議員など、

私学経営を主体的に考える立場の方々をどう確保するのか。

これは待ったなしの大きな課題だと私は痛感しています。

 

ちなみに、評議員会の位置づけについても確認しておく必要があります。

学校法人と同様に財団法人に由来する社会福祉法人や財団型医療法人では、評議員会を意見具申のみを原則とする諮問機関から役員の選任や一定事項の議決を行う議決機関に位置付け、評議員と役職員との兼任を禁止する制度改正が行われた。

一方で、今回の報告では、学校法人の評議員会については議決機関化も兼任禁止も見送られた。そのような状況を前提に、評議員会の役割や活用方法を改めて検証する必要があろう。

ということで、学校法人における評議員会のあり方については、

現段階では方向性が示されませんでした。

社会福祉法人を見る限り、ではありますが、

評議員会の議決機関化は手間ばかり増えて形式的なものになっている、

というケースも多いので、ガバナンス強化からなおいっそうの策を

模索する必要があるように思います。

 

ちなみに、この記事にはこんなことも書かれています。

少子化の進行で、学校法人を取り巻く環境が今後ますます悪化することを考えると、経営強化や破綻処理手続きの明確化も待ったなしである。

私立学校の多様性や伝統を維持するためには、撤退よりも連携・統合の道を模索することが基本となろうが、持ち分がなく非営利法人という特質ゆえに、これまであまり活発な動きはなかった。

(中略) 

今後は私立学校の自主性を尊重しつつも、他の法人制度も踏まえながら、公共性を十分に満たし国民の信頼を得るに足りる仕組み作りが求められる。何よりも学生が誇りを持って学校に通い、安心して勉学に取り組めるための土台作りとなるよう願っている。

 

将来に向けた構想をしっかり持たないと永続が難しい時代です。

自律的な私学経営が今こそ必要ではないでしょうか。

そして、この記事を総括した記者からはこんなコメントも。

本日の締めとして、転載させていただきます。

 

優れた学長や理事長人材を選ぶのは当然として、外部理事や監事など、経営をチェックして透明度を高める役割を期待される人材についても、その役割にふさわしい人材を起用できなければ、いくら制度をいじっても意味がない。
 外部人材の起用が、有力OBや元企業経営者の"名誉欲"を満たすお飾りになっている私立大学もある。大学経営に関わるには相応の覚悟と見識が必要だ。

 

(文責:吉田)

 

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「話す」英語入試、21年度から

英語入試のカタチはいつ落ち着くんだろう…

と思っていたら、大学入試ではなく、高校入試でこんな話題が出てきました。

日経新聞より。

 

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東京都は14日、2022年度入学分の都立高入試から英語の話す能力を評価する試験(スピーキングテスト)を活用する方針を公表した。21年度から都内の公立中3年の全生徒や受験予定者が試験を受けることになり、現在の小学6年以降が該当する。テストは民間の実施団体を公募して独自に開発し、タブレット端末を使って行う。

 

高校入試でスピーキングテストが始まるんですね。

すでに福井県では民間試験を活用し導入しているとのことですが、

タブレット端末を使った全受験生への独自テストは

全国の都道府県の中で東京都が初めてとのことです。

 

ちなみに、テストは11~12月の土日・祝日に行うそうです。

高校入試のタイミングとしてはかなり早めですね。

 

さて私学ではこのような取組があるのでしょうか。

あるいは、将来に向けて導入を検討している例は多いのでしょうか。

個人的な感想の域を出ませんが、

私学の入試はもっと多様性があっていいと思います。

英語能力をどう評価するかについても、

先進的な事例が出てくるといいなあ、と思っているところです。

 

入試は学校と生徒をマッチングさせる場。

お互いに最適の選択ができるよう、

それに見合った入試が増えていくことを期待したいですね。

 

(文責:吉田)

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富裕層厚み、高額品攻勢

二極化が進んでいるのでしょうか。

日経新聞に、消費スタイルの記事が掲載されていました。

 

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ブランド品を値上げしたり高額サービスを始めたりする動きが相次ぐ。フランスのLVMHは4月、関税撤廃に逆行してシャンパン「ドンペリニヨン」などを2~10%値上げする。阪急交通社は4月に98万円の国内周遊バスツアーを実施する。若い起業成功者の登場などで富裕層が厚みを増しているためだ。企業は景気動向も見極めながら、攻めの価格戦略を練っている。

  

記事には、こんな気になる情報も載っています。

 

・純金融資産1億円以上を持つ世帯は2017年までの4年間で26%増

・純金融資産の額は同期間で24%増

・年収1500万円以上の世帯の消費額が日本全体に占める割合は5.2%増

 (7年前から0.5ポイント上昇)、消費額は15%増

 

私学の顧客を考える場合、富裕層は一つのキーワードです。

サービスの満足度が高ければ、高額であることを厭わない ――

そんな傾向は年々強まっているのかもしれません。

とすると私学における価格設定もまた、

「強気」の一手があり得るのかもしれません。

 

ただし、記事の末尾にはこうも書かれています。

10月には消費税増税が控え、楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストは「高額品の消費は減速に向かう可能性が大きい」と予想している。存在感を増してきた富裕層にターゲットを当てる企業の経営は、潮目の変化にも目配りが欠かせない一段と難しい局面に入りつつある。

 

値決めは経営そのもの。

私学の値決めの自由度はそれほど高くはありませんが、

値段がついているのは納付金だけではありません。 

経済情勢も味方に付けて、よりよい学校経営を目指しましょう。

 

(文責:吉田)

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大学進学率低下?

あれ?と思う表題に目が留まりました。

日経新聞からのご紹介ですが、地域版の記事ですので

東京界隈の方以外には初見になるかもしれません。

 

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記事の中ではある私立高校の進学実績が紹介されており、

いわゆるGMARCHの合格者数が、2015年にピークを迎えた後、

大きく減少している様子が述べられています。

 

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上記のグラフを見て驚いたのですが、

東京都の現役大学進学率はここ数年で右肩下がりとなっていて、

直近は10年前の水準に戻ったそうです。

これに対し、全国のそれは最高水準を更新中。

このような状況の原因を、記事は以下のように記しています。

国公立大の合格者は増えている。私大の異変は地方の若者が都市に向かわないよう政府が私大の定員を16年から徐々に厳格にし、合格者が絞り込まれたためだ。特に18年はGMARCHをめざす生徒が滑り止めの日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修の各大学)に受からず、進路指導部の三浦智美副部長は「厳格化の影響が顕著になった」と話す。

状況は今年も同じで対策として受験校を増やすが、競争率は上がる。勢い安全志向が強まり、一般入試なら上位大学を狙える生徒が格下の大学に推薦で入る例が増えた。教育情報会社、大学通信の安田賢治常務は「入りたい大学より入れる大学を選び、挑戦意欲がそがれている」とみる。

 

各校での生徒さんの状況はいかがでしょうか。

やはり安全志向が高まっているのでしょうか。

本来的な進路開拓は、こんなことではないはずなのですが…

 

私が高校生のころ、日本史の先生がこんな話をしてくれました。

 

「『キンポウくずれのキンケイ』は絶対あかんぞ」

 

私は富山出身で、母校の進学先として金沢大学が多数を占めていました。

その金沢大学に行きたいからと、法学部を志望しながら、

学力が足りないとの理由で経済学部を受験するのはいけない、

というのがこのセリフの意味です。

(キンポウ=金大法学部、キンケイ=金大経済学部)

大学は自らの進路にあたるものだから、

大学で選ぶのではなく学部で選びなさい、という指導でした。

この言葉は当時、私の進路選択の大きな指針になりました。

 

大学に進むも進まぬも、進路開拓の一つに違いありません。

私学にとって進学実績が大きな広報ツールになっている現状、

本当に生徒に寄り添った進路指導をするのは至難の業、

とも言えるのかもしれません。

もう一度原点に戻って、子どもたちの進路を考えてみたいものです。

 

(文責:吉田)

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