まずはこちらの記事から。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
経済協力開発機構(OECD)は5日、世界81カ国・地域の15歳69万人を対象に2022年に実施した学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は読解力で3位となり、過去最低の15位だった前回18年調査から回復した。学校で授業改善が進み、情報を自ら探し出して理解する力が伸びたとみられる。
というわけで、前回調査結果が出た時とは大違いの記事になっています。
読解力はそれ以外の能力の基礎にあたるものだと記事は伝えており、
私も同様に考えていますが、他にも数学的応用力は5位(前回6位)、
科学的応用力は2位(同5位)と、3分野とも高い順位になっています。
ちなみに、読解力の日本の平均得点は516点で前回より12点上がり、
得点別の分布でも、最下位層が3.1ポイント減ったそうです。
底上げがなされたとすれば、なおのこと喜ばしい結果だと感じます。
さて一方で、この日の日経新聞では、
数学に着眼した記事も挙がっていました。
そちらのタイトルを本日のブログタイトルにさせていただいております。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
経済協力開発機構(OECD)が5日公表した2022年の学習到達度調査(PISA)で、日本は数学的応用力で世界5位と上位を維持した。一方で高校や大学で理系専攻の生徒・学生は増えておらず、研究力の低下も懸念される。「数学好き」を増やすには日常生活と絡めて指導するなど工夫が必要だ。
この記事には横須賀市立長沢中学校の2年生の数学の授業が紹介されています。
同中学では2019年度から生徒主体の「教えない授業」に取り組んでいて、
生徒2人が「学習リーダー」として司会を務め、
話し合いや発表の時間管理、教員に解説を求めるタイミングを
取り仕切っているそうです。教員はあくまでも支援役。
導入部分の解説や悩んでいる生徒への声かけが役目とのことです。
この日のテーマは「ウインドサーフィンワールドカップの誘致」。何月に誘致するのが適切か検討するため、根拠となるデータについて議論した。「選手には水温が大事じゃない?」「でも暑いと見に行きたくないよ」。意見を出し合いながらホワイトボードに必要な条件を書きこんだ。
「数学を楽しみ、実験などで体験できる時間を増やしている」そうで、
- 北米で13年や17年など素数の年数で地上に出るセミがなぜ生き残ったのか、素因数分解や最小公倍数を使って考える
- おみくじを100回以上引いて、吉や凶が何本ずつ入っているか確率を計算して当てる
- お笑い番組で審査員が出すスコアを箱ひげ図で分析する
といった、大人が体験しても面白そうな内容が並んでいます。
園田教諭はこうおっしゃっています。
「数学好きを増やすためには、仕組みを理解して
自分ごととして考えられるような場面を作ることが大切だ」
先日、某私学で数学の授業を見学させていただきました。
関数の授業だったのですが、設問に対する解法の解説としては一級品で、
これなら一本道で解答にたどり着ける、
という意味ではとてもいいのだろうと思った一方で、
果たしてこれで数学が好きになるだろうか、
と個人的には疑問を感じました。
数学は答えがひとつに定まるという特徴はありますが、
その答えにどうたどり着くのか、というルート選びの楽しさこそが
本当の醍醐味なのではないかと思います。
現状、どの教科においても入試や受験が
指導上意識されざるを得ないのかもしれませんが、
私学こそ、学問の興味が広がる授業を実践していただき、
社会人になった後の飛躍を期していただければ幸いです。
年内のブログは本日で締めさせていただきます。
来る年が私学関係各位にとって素晴らしい一年になることを願っております。
よいお年をお迎えください。
(文責:吉田)