私学勤務の教職員にとって、退職金の存在感はまだまだ大きいですよね。
しかし、世間のしくみは変化の兆しが見えています。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
政府・与党は退職金への課税制度の是正を2024年度税制改正では見送る。経過措置の導入など制度設計に時間がかかるため、25年以降に年金制度と一体で見直す。2日にまとめる経済対策案には所得税減税や企業向けの投資減税を並べた。増税イメージを払拭したい政権の意図が透ける。
というわけで、今回の記事は「変化を見送る」内容ですが、
実は政府が今年6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針で、
退職所得課税の「見直しを行う」と明記していたのです。
現状、退職金については税負担が軽減されています。
特に、退職時に全額を一括で受け取る場合には「退職所得」となり、
勤続20年なら800万円まで、勤続40年なら2,200万円までが
なんと無税で支給を受けられるのです。
一方、このことが円滑な労働移動を阻んでいるとの指摘があり、
退職金の優遇については見直しの方向となっているわけです。
退職金は一括でなく年金払いで受け取る場合は「雑所得」として扱う。「公的年金等控除」の対象となり、一括で受け取る場合と控除額が変わる。厚生労働省は24年に年金の財政検証を予定しており、退職後の所得に関わる税制の見直しを年金と一体で進めるべきだとの意見がある。
あまり表立ってはいませんが、
私学の退職金を運用している各団体の運用実態について、
今後を見据えれば厳しい状況が待ち受けているようにも思います。
過度に退職金に頼ることは、
私学自身の資金を失うこともあるかもしれませんし、
そもそも人件費の中で退職金が大きな割合を占めることは、
初任給や月例給の原資を奪うことになり、
採用競争力を失いかねないことも懸念材料です。
給与制度、退職金制度を変化させることは
かなりの時間がかかりますから、将来を見据え、
早めの検討と着手をお願いしたいと思います。
(文責:吉田)