私学自身の話題ではありませんが、留意しておくべき事象です。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
政策で抑え込んできた企業倒産が急増している。東京商工リサーチが(9月)8日発表した8月の倒産は760件で、前年同月比の伸び率は新型コロナウイルスの感染拡大後で最大の54%になった。1~8月累計でも37%増えている。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)や社会保険料の納付猶予など資金繰り支援の特例が切れ、一転して重荷になっている。
倒産が増えているというニュースはすでに多く流れていますので、
ご承知かとは思いますが、下のグラフを見ると、
やはりゼロゼロ融資を利用した企業が持ち直せずに…
というケースが激増している状況がはっきり分かりますね。
今さらながら、ではありますが、ゼロゼロ融資の特徴は
利払いゼロ、かつ担保ゼロで利用できるところにあります。
ただし利払い免除期間は当初3年。元本の返済も先送りされていることが多く、
その利払いと返済が始まるのが3年後の今年、
となっていることが多くなっています。
私が代表を務める税理士事務所のお客様にも、
この融資を利用された会社があり、いよいよ返済が始まるということで、
返済計画を昨年末あたりから綿密に練ってきておりました。
何とかこの難局は乗り越えられそうですので安堵していますが、
そうでない会社が数多くあるのも肌感覚で理解できます。
ゼロゼロ融資の返済とともに資金繰りの崖になっているのが、健康保険や厚生年金など社会保険料の納付猶予の期限切れだ。コロナ禍の特例で20年4月に猶予期間を最長3年に延ばしたが、今年に入り期限が切れ、未納分の支払いが始まった。
さて、こういったことが私学に及ぼす影響を考えますと、
まず真っ先に思い浮かぶのが、生徒家庭の家計の状況です。
企業経営者が保護者である場合には、
会社の資金繰りの厳しさがご自身にも及ぶことが多く、
学費等の支払が難しいといったことが起こりやすくなります。
しばらくの間は、普段以上に、学費等の未収に関して
アンテナを張っておく必要があるように思います。
そしてもう1つは、取引業者の倒産リスクです。
先日は給食業者さんの倒産のニュースも流れていましたが、
さまざまな業界にわたって資金繰りが厳しい状況がみられます。
普段使いしている物品やサービスが提供されなくなると、
学校生活にも影響が及ぶことが考えられますので、
普段のお付き合いの中で状況把握をしておいていただければと思います。
帝国データバンクによると、社会保険料や税金の滞納が引き金になった倒産は今年1~7月に65件と前年同期の2倍に増えた。同社の内藤修氏は「社会保険料には猶予以外の救済策がなく、滞納をきっかけとした倒産は今後も増える」とみる。
注意すべき状況はしばらく続きそうです。
くれぐれもご留意ください。
(文責:吉田)