少々古い記事になってしまいますが、
入試のあり方について改めて押さえておきましょう。
日経新聞より。
順天堂大医学部の入試で年齢や浪人生であることを理由に不合格にされたのは不当だとして、元受験生の30代の男性が大学側に慰謝料など計約5800万円を求めた訴訟の判決が(8月)10日、東京地裁であった。関根澄子裁判長は「裁量を逸脱して違法だ」として、約180万円の支払いを命じた。
上記の裁判を起こした男性は、私立大を卒業後、社会人を経て
順天堂大医学部を2度受験、不合格となりました。
翌年に3度目の受験をし、いったん不合格とされたものの、
医学部の不正入試問題が発覚した後、大学側から追加合格の連絡を受けました。
男性側は浪人年数や年齢など「学力とは無関係な属性」を理由に差別された、
として提訴。
大学側は、合否判定で浪人年数を考慮することは差別に当たらない、
などと反論していました。
判決は、私立大には入試で広い裁量があるとしつつ「公正で妥当な方法で多様な背景を持つ学生の受け入れに配慮する義務を負う」と指摘。募集要項に年齢などを考慮すると記載していないのに、合格基準を満たしていた男性を年齢を理由に不合格としたのは違法とし、150万円の慰謝料を認めた。
私学には入試に広い裁量があることが認められる、との言葉を押さえつつも、
「公正で妥当な方法で多様な背景を持つ学生の受け入れに配慮する義務を負う」
というのが留意すべきポイント、ということになりそうです。
昨日のブログにも書かせていただきましたが、
子どもたちの背景は今後ますます多様化していくと考えられますので、
入試の際にどのような基準を設けるかというのは
今後を見据えて改めて検討すべきテーマになると感じます。
と同時に、その基準を事前に告知しておく、
という点もいっそう重要になる気がします。
ちなみにこの裁判では、以下の点も争点となっていたようです。
大学側が問題発覚後に開いた会見で、男性の不合格の理由について「特殊な事情があった」とした発言に関しても、浪人以外の事情があるような評価を与えうるとして違法性を認定。総額約180万円の支払いが相当と結論付けた。
当たり前のことではありますが、
広報の面でも留意すべきことがある、という点も押さえておきたいですね。
(文責:吉田)