教えられる側の話ではなく、教える側の話です。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
まずは下のグラフから。
有名大学の給料の格差を示したものです。
さらに、今回の記事の冒頭にはこのように書かれています。
年俸は3000万円から7500万円――。早稲田大が3月、優れた教員の獲得策を公表した。脱炭素関連の研究などで最先端に立つため、学内基金の運用益を原資に一般教員の数倍の給与を出す。
研究業績に関わらず給与はほぼ横並び、
というのが日本の常識だと記事は指摘しており、
そこに風穴が開きつつある、とも。
研究成果だけが全てではない、という見方もあるかもしれませんが、
その評価基準が各賞の受賞に偏ること等の是非は別として、
研究者にとっての仕事の成果の大部分はそれであることは間違いありません。
原資が限られる中で優秀な研究者に報いるために、
処遇の要素をそこに求めることは自然な流れと言えるのでしょう。
そして「争奪戦は学生にも及ぶ」と、記事は続けます。
渋谷教育学園幕張高出身の渡辺雄斗さん(18)は今春入った東京大を休学し、8月からシンガポール国立大(NUS)コンピューティング学部に移った。昨年、高3で出場した「国際情報オリンピック」で高いプログラミング技術を披露して金メダルを獲得すると、NUSから「うちに来ないか」と〝一本釣り〟された。
中学時代から海外進学を考えてきた。NUSは英QS社の大学ランキングでアジア首位。企業の支援で300万〜400万円の学費は免除、生活費も支援する条件を前に「この機を逃せば必ず後悔する」と決めた。
「笹川平和財団」(東京)が昨年、米英のトップ大で学ぶ志を持つ高校生らに卒業まで年1000万円規模を出す奨学金を創設したところ、471人が応募し35人が合格した。開成高から英ケンブリッジ大に進む島宗昂生さん(19)は「国内外の大学を全て選択肢に入れ、進学先を選ぶことが大事だと思う」と話す。
グローバルな思考が当然の世の中になっていく中で、
それは経済面だけでなく、進路もまた、世界を視野に入れることもまた
当然の世の中になっていくのでしょう。
さて貴校園は、進路を進学と読み替え、
しかもそれを国内有名大に焦点化させることを続けてはいないでしょうか。
記事が使う「争奪戦」という言葉を安易には使いたくありませんが、
優秀な教員あるいは教員候補が他業界、日本国外に流れ、
優秀な学生生徒もまた日本国外に流れることを、
教育機関として「仕方がない」と片付けることがあってはならない、
と思います。
仮に給与の額、奨学金の額では太刀打ちできないとしても、
貴校園の魅力は決してそれだけではないはずで、
しかもその魅力を最優先する人もまた相当数いるはずです。
今一度、自校園がどんな教育機関でありたいのか、
問い直してみていただければと思います。
そして将来有望な教員も生徒も、
貴校園を望んでくださることを願いたいと思います。
(文責:吉田)