すでに何度も提言がなされていることではありますが、
私学自身もぜひ留意したい点ですので改めて。
日経新聞より。
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教職の人気低迷を受け、学校の労働環境改善に向けた動きが活発になってきた。長時間労働の一因となっている事務作業はDX(デジタルトランスフォーメーション)を急ぎ、給与制度は勤務状況に合うよう見直す議論が始まった。優秀な人材を確保するためには働き方と待遇の「2本柱」の改革が欠かせない。現場の人材不足は深刻で、取り組みのスピード感が求められる。
この記事の冒頭、東京都区立の小学校が登場します。
午前8時すぎ、始業が近づくと教員がデジタル端末で全校児童の出欠を確認。
保護者がオンラインで入力した出欠情報はシステム上に自動集約。
職員室の電話が鳴りやまなかったかつての光景はない、
と紹介されています。
同校は2022年度、クラウド化を柱とした事務作業のDXを始めた。出欠情報を取りまとめる手間はなくなり、教員が印刷して校長に提出していた週間の予定表はクラウド上で全員がみられる。理科室や体育館を使う際の他クラスとの調整も楽になった。
私学では当然このくらいのことは済ませている、
と思っているご家庭も多いと思いますが、ところがどっこい、
現在も校園によってかなりの差がある、と私は感じています。
スケジュールが紙で配られている私学の皆さん、
まずはそれを何とかしないといけませんね。
上のグラフの通り、日本の教員は事務作業に費やす時間が長く、
OECDの調査(2018年)によれば、
中学教員が1週間で事務作業にあてる時間は参加48カ国・地域で最長。
このことは教員のストレスにもなっているようで、
同調査で「事務的な業務が多すぎる」と答えた割合は
小学教員61.9%、中学教員52.5%に上っています。
職場環境の改善はまずここから、と言ってもいいような気がします。
そして2本柱のもう1本は待遇改善、との記事の指摘です。
記事では公立校に適用される教職員給与特別措置法(給特法)が
問題視されていますが、この法律の適用のない私学においても、
同程度のわずかな固定額で残業代としている例は多数に上ります。
文科省は22年12月に有識者会議の初会合を開き、論点整理を始めた。議論の状況や今春にまとまる最新の勤務実態調査の結果を踏まえ、給与制度の見直しについて6月ごろに中央教育審議会へ諮問する方針だ。財源の確保が焦点になるとみられる。
財源確保はそう簡単ではないと思いますが、ただ、
公立校での残業代が実態に合わせて支給されるとなった場合には、
当然私学でもそれを前提に経営を組み立てねばなりません。
もちろんこの点も、まだ対処できていない私学は、
公立の制度が変わるのを待たず、
何らかの解を見出さないといけないと思います。
ぜひとも貴校園での積極的な取組をお願いいたします。
(文責:吉田)