大学生が寄せた投稿を日経新聞で見つけました。
公私の役割について、改めて考えてみるのもいいかもしれません。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
2020年の都立高校入試では47校が募集定員割れし、現行制度で過去最多を記録した。かたや中学受験は空前の人気で、都内の公立小学校卒業生のほぼ5人に1人が私立中学の受験を選択している。大学受験に有利とされる私立の中高一貫校などに希望者が殺到し、都立高離れに拍車がかかっている構図だ。こうした状況は格差の再生産を生む恐れがあり、制度の見直しを求めたい。
東京都では私立中学人気が再び高まっていますね。
高校からの新入生を募集しない中高完全一貫校も増えていて、
国内の他地域とは少し異なる状況であるとも言えます。
この投稿をした大学生ご自身は私学出身です。
であるにもかかわらず、公立校が担うべき役割について考察し、
公立校離れが進むことに懸念を示されています。
以前いくつかの地域に存在した、学校群制度。
受験競争の過熱を抑制し、地域ごとの学力を平準化することを目指して、
合格者を地域内の各校に振り分けるものでした。
しかしこれを嫌がる生徒や家庭も少なからず現れてしまい、
私学が重要な進学先として選択されるケースが増えたようです。
近年では公私ともに中高一貫校がもてはやされ、都立高離れという問題は置き去りにされている。このまま都立高が生徒を確保できなくなれば、設備や教員の質の維持が難しくなり、役割を果たせなくなる事態も起こりうる。公教育は公立校と私立校によって完成されるはずだが、東京をはじめ都市部では私立優位のいびつな形が目立っている。公私それぞれに異なる良さを発揮し、子どもの要求を満たしていく姿が求められる。
この新聞記事では文字数が限られていることもあって、
より詳しい内容を知ることができないのですが、
指摘されている「私立優位のいびつな形」というのは
果たしてどのような状況を差しているのか、
そして今後公私の役割分担はどうやってなされるべきなのか、
といった点について言及がないのが残念です。
もう1点気になるのは、中高一貫校について公立校と別枠に扱っておられる点。
公立中高一貫校について、筆者はどのように考えているのか、
この点も大変興味深いところです。
公立校が特に学力優位の生徒を集めるような施策を打つことこそ、
公私の特色を打ち消してしまい、公立校の本来の社会的役割である
「進学先を広く確保する」ということからかけ離れて行っていることが
私自身は気になっています。
筆者はこの投稿の最後に
「生徒や保護者が学歴を求める姿勢は根強く、改革は簡単ではない」
と書かれています。ここが本質かもしれませんね。
いずれにせよ、私学として、私学らしい学校として存続していくために、
公立校との役割の違いについて意識することは重要だと思います。
大学生の投稿に大いに気付きをいただきました。
(文責:吉田)