働き手をどうやって確保するか、ということのひとつの解、
ということになるのでしょうか。
日経新聞より。
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人手不足が深刻になる中、シニア人材の処遇を現役並みに改善する動きが出てきた。住友化学は2024年から60歳以上の社員の給与を倍増。村田製作所も24年4月以降、59歳以前の賃金体系を維持しながら定年を65歳に引き上げる。「人生100年時代」を迎え、労働市場で比重が高まる60代以上が意欲を持って働くシニア雇用の環境作りが欠かせない。
民間企業で60代以降の雇用に関する制度変更が多くなっているようです。
大企業の例ではありますが、以下の表に概要がまとめられています。
例えば住友化学では、定年を60歳から65歳まで引き上げた上で、
年収は59歳末時点と同水準にするそうです。
これまで60歳以降は希望者に限って再雇用してきましたが、
給与水準は4~5割程度に抑えられていました。
記事には他にもいくつかの例がありますが、
今後私学においても60代の教職員の雇用について
検討する機会が出てくるかもしれません。
その際、ポイントは2つあると感じます。
1つは、組織構成の観点です。
定年となる年齢と定年後の雇用形態とはセットで考える必要がありますが、
例えば現在60歳としている定年を今後65歳、あるいは70歳に引き上げる、
といったことは今後検討課題となっていくものと思われます。
ただ、定年が遅くなれば、それだけ雇用の硬直性は高まります。
特に私学は異動が少なく、役割すら硬直化しがちですので
注意が必要です。
組織に新たな風を吹き込む、といった観点からは
阻害要因ともなりかねませんので、慎重な検討が必要でしょう。
そしてもう1つは、財務や収支の観点です。
先ほどの住友化学の例では、59歳年収と同水準のまま、
その後の5年間の雇用を保証するようですが、
それだけの人件費負担が継続できるのかどうか、
事前にきちんと確認しておくことが必要です。
これを実現するためには、基本的には定年前の人件費総額を
抑制する方向に制度変更する必要が生じることに留意しましょう。
経営の枠組が変化していくことは世の常です。
未来を見据え、よりよい枠組を模索いただければと思います。
(文責:吉田)