進路指導をふりかえるきっかけになれば幸いです。
日経新聞より。
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日経新聞のワンコーナー、「受験考」。
多くの場合、学習塾の経営者さんが執筆されていますが、
今回もどうやらそのようです。
登場人物は塾生でもある、高3生のナツミちゃん。
小論文のアドバイスを求めに、答案を携えて筆者のもとにやってきました。
ところが答案に書かれた添削はダメ出しが中心でアドバイスは曖昧。
書き方指導もないようだ、と書かれています。
そしてナツミちゃんが放った一言はこうでした。
「今日、学校の先生に志望校の話をしたら、
そんな大学に行く価値はあるのかと言われた」
高校の先生は公立大学を受験するよう指示した、といいます。
その様子に筆者は、
「合格実績を上げようとする学校の思惑を感じ、不信感を抱いた」
と書いていらっしゃいます。
県立高には実績を上げないと統廃合されてしまうという恐怖心があると思う。生き残りをかけて指導しているのだろうが生徒本位の進路指導とはいえない。
県立高、とありますが、私学でも同様のことが起きかねない、
とも感じます。
進学実績が生徒募集を大きく左右するため、
どの高校、あるいは中学も、進学先が少しでも名の通った、
言い方を変えれば「偏差値の高い」大学であることを望みます。
が、それが生徒の進路に大きな影響を及ぼすことを、
学校側は忘れてはならない、と思います。
近隣の中学校では先生が生徒に「塾に行っているか」と聞き、生徒が「はい」と答えると「私はあまり詳しくないので、進路のことは塾の先生と相談して」と言われたそうだ。塾に通っていない生徒はどうなったのだろう。
こうした話を耳にするたび「教える側の目の前にいるのは誰なのか」と考えてしまう。私たち塾もこの問いに真摯に向き合い、考え続ける必要がある。生徒は数字でもなければ顔のない存在でもない。一人ひとりが誰とも違う人生を生きている主人公なのだ。
筆者が塾関係者でいらっしゃいますので、
この文章は学校の課題として表現されていますが、私自身は、
学習塾の進路指導も同様、あるいはもっと塾本位のものに
なっていることを感じることもあります。
いずれにしても、主人公はまさに目の前にいる生徒であり、
進路を開拓、選択するのはその生徒自身です。
当然のことではありますが、そのことを忘れずに、
進路指導に当たっていただきたいと願っております。
(文責:吉田)