公立校の残業代のことは先日のブログでも採り上げましたが、
財務省と文科省の言い分を改めて整理している記事がありましたので
見ておきましょう。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
学校教員の待遇改善策を巡り、文部科学省と財務省が対立している。残業代の代わりに月給に上乗せ支給する「教職調整額」を2026年から3倍超にすることを要求する文科省に対し、財務省は残業時間削減を条件に段階的に引き上げる案を主張する。両省は25年度予算案が固まる年内の決着を目指し、調整を進める。

以前から学校は働く教職員にとって過酷な環境であることで知られ
(こう書いているだけでため息が出ますが)、
そのことが一因となって深刻な教員不足に陥っています。
2022年度実施の公立小学校の教員採用試験の競争倍率は2.3倍で、
4年連続で過去最低を更新してもいます。
「働き方改革の進捗を確認した上で教職調整額を引き上げることで、
改革に取り組む強力なインセンティブ(誘因)としてはどうか」
との発言がありました。
具体的には、
「教員全体の平均残業時間を減らせれば、翌年度に教職調整額を増やす」
という案で、残業時間が月20時間まで減った時点で
教職調整額が10%となる進捗を想定しているようです。
狙いは給与との連動による働き方改革の着実な推進だ。授業以外の業務時間の削減や校務のデジタル化、長期休暇が取得できる環境整備などを通じて残業時間が削減できているか毎年確認した上で、引き上げを決定する。順調に進めば30年度ごろに残業時間が月20時間になるとする。
財務省案ではさらに、教職調整額が10%に達した段階で、
残業代実費を支払う制度への切り替えを検討する、としました。
こういった案について、働き方改革といえばお馴染み、
ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は
「財務省案には長時間労働を改善する仕組みが組み込まれている。
労働環境が改善されれば、教員の志願者も増えるのではないか」
と話し、また財政審の土居丈朗部会長代理からは、
「会合では財務省案に賛成する委員が大半だった。
残業していない人も一律に給与を上げることを問題視する委員もいた」
とのコメントもあったようです。
もともと文科省が2025年度予算案の概算要求で示していたのは、
・教職調整額を2026年に月給の4%から13%に引き上げ
・小学5、6年で実施している教科担任制を同3、4年へ拡大するなど、
必要な約7700人分の人員増を計上
・授業準備や教材研究といった教員の仕事を
「どこまでが職務か切り分けることは困難」なため、
給特法に基づく教職調整額を支払う仕組みを維持
といった内容です。
が、現時点においては、財務省の提案内容に比べると、
賛意を示す意見が乏しく感じられるようにも思えます。
ちなみに、人員増に関しても両省は対立しています。
財務省は人員増の効果は低いとみる。06年度から22年度にかけ、児童生徒40人あたりの教員数が16%増えたのに対し、残業時間が小学校で8時間、中学校で3時間増えたと指摘。教職調整額を引き上げない場合、その時点で原因を検証したうえで「外部人材の配置など、より有効な手段に財源を振り向ける」とした。
文科省は財務省案に対し「残業時間の削減は働き方改革の推進だけでなく、教職員定数の改善や支援スタッフの充実が不可欠」と反論する。いじめや不登校の子どもが増えるなど学校を取り巻く環境も変化している。「人員を増やすことなく勤務時間の削減が給与増の条件となれば、必要な指導の実施がためらわれ、教育の質の低下につながる」とした。
このあたりの対立は、ひょっとすると私学の各校園でも
経営側と教員側で意見が合わないケースも多いかもしれませんね。
本件は今後に向けて目が離せない内容ではあります。
が、以前のブログでも触れたとおり、私学では
「残業代の支給は必須」であるのが法の建付けです。
公立校の議論が決着する頃には、
貴校園の残業代支給が確実になされているように、
そのための財源確保も確実になされているように、と願うばかりです。
(文責:吉田)