日経新聞に連載されていた「漂流する入試」。
昨日も同じ連載から記事をご紹介しました。
本日ご紹介する記事もぜひ考えてみたい内容です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
まずは、記事冒頭のこの一文をかみしめてみたいと思います。
生徒の意欲や高校での学習・活動の成果を丁寧に見極める大学入試の総合型選抜(旧AO)や学校推薦型選抜で、本来無縁なはずの「対策」が広がっている。
試験対策、というのはいつ聞いても本末転倒な気がします。
試験が何のためにあるかと言えば、それまでの学習履歴のチェックのため。
資格取得のための試験を除けば、試験の種類や形態を問わず、
その目的は変わらない気がします。
しかしながら、学習の中身まで試験によって左右される時代が長く続いています。
そして、今回の記事を見てもそれは今後も続きそうな気配。
これでいいのだろうか、と強い疑問を感じます。
ま、それはさておきまして。
総合型と推薦型が拡大する中、志望理由書の書き方講座などを提供する塾・予備校が急増した。「定員100人の早稲田大国際教養学部AOで61人合格」などと今春の実績をアピールする塾もある。
(中略)
入試の変化に巧みに適応する塾。多くの子どもが学校と並行して塾に通う「ダブルスクール社会」はポスト偏差値の時代も変わらない。2018年度の文部科学省「子供の学習費調査」によると、学習塾代の支出がある家庭の割合は公立校の中3がいる家庭で80%、高3で42%に上る。
ここで「公立」という言葉が出てきているのは次への伏線かもしれません。
この記事では、都立高校で講習を行う学習塾の実例が採り上げられ、
「助動詞はぶっちゃけ暗記事項。覚えて攻めれば、すぐ終わります」
というような刹那的な教え方が堂々と登場しています。
記事掲載の実例では、各学年の希望者を対象に年15回の授業が
有料で用意され、校長は塾との連携について
「学力保障、教員の研修に役立ち学校のPRにもなる。
教員の働き方改革が求められる中で一つのやり方だ」と話されています。
公立校で「学校のPR」という言葉が出てくるのも
少々節操がないようにも感じます。
こうした「校内予備校」は公立私立を問わず増加中だ。リソー教育は10年から事業として始め現在は子会社が82校に講師らを派遣する。以前は中堅校が多かったが上位校の導入例も出始めた。少子化で入試のハードルが下がり高校生の学力差が大きくなる一方、教員の補習の負担は増やせない状況が公教育への塾の浸透を加速させている。
学校での働き方改革において、「外注」という観点は
ぜひとも採り入れたいところだと個人的に感じています。
が、それは当然、学校の本分に照らして検討すべきもの。
経理処理や給与計算を外注するのとは訳が違う、
という点はしっかりと押さえておきたいところです。
うーむ、本日のブログは少々言葉が過ぎたかもしれません。
ご容赦ください。
ただ、学校経営の根本には教育活動があります。
今回の記事末尾に書かれた文章を引用し、
その重要性を改めて肝に銘じたいと思います。
進路指導は生徒と日常的に接し、学力も性格も知る教員の仕事のはず。安易な外注化が進めば学校の必要性が揺らぐ。連携協働の時代だからこそ、学校は自らが責任を負う範囲を主体的に決めなくてはならない。
(文責:吉田)