書く力の醸成に関する実践例です。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は千葉県立薬園台高校・楢崎亮太郎教諭による寄稿です。
楢崎先生は高校生の「書く力」を伸ばす授業に力を入れているそうです。
まずは下のグラフをご覧ください。
「書く」を苦手にしている生徒はかなり多そうですね。
国語指導には「話す・聞く」「書く」「読む」の3領域があって、
学習指導要領には各領域の指導時間の目安も示されているそうです。
ところが、筆者が実施したアンケート調査では、
半数超の生徒が「読む」は得意だと感じている一方で、
「書く」「話す・聞く」という表現の分野には
実に7割が苦手意識を持っていることが判明しました。
「読む」が得意だと感じる生徒が多いのは、本当にそうだからではなく「読む」の授業が多いことが影響しているのかもしれない。生徒の中にも「国語イコール文章を読む」という等式が成立している可能性があり、教員側と生徒側双方の意識が変わらない限り、「読む」偏重の指導の改善は難しそうだ。
他方、98%の生徒が「書く授業は自分にとって役に立つ」と答えている。「書く」は実社会で必要な能力だからこそ、授業でカバーしなければならない。
文章を書く際には、「丁寧に字を書くこと」「誤字脱字をしないこと」
ということ以上に、「誰に向けて、どんな意図で書くのか」が大切。
そこで筆者は、以下のような授業を実践されています。
まずは「本の紹介ポップをつくろう!」という授業。
生徒自身が図書館の職員や書店員になった場面を想定し、
利用者や顧客という「対象」に、選んだ本の魅力を効果的に伝えるという
「目的」を意識して文章を書く活動に取り組んだそうです。
また、学校案内のリーフレットを作成する授業では、
学校便覧には記載のない自校の長所を中学生や保護者に伝えることを目的に
書く内容を吟味し、生徒自ら教職員への取材なども行ったそうです。
学校案内を作成するという授業は、私学でもぜひ実践して、
その成果を実際に学校案内にしてみてもいいのではないか、
と私自身は感じました。
意識しているのは「実際に存在する」というリアリティーだ。理由は大きく2つ。1つは学習への主体性が高まることだ。ポップなどの実物を見せることで学習のゴールがイメージしやすくなる。
もう一つは「学んだことが実社会と結びつく」という感覚を持ってもらうことだ。「この勉強をして何の役に立つのか?」は至極当然の疑問だ。卒業後の社会に存在していることを題材とし、自らの頭と手を動かして得た知識と経験は生徒の必要感に応えられる。
こういった授業の実践例は、世の中に先生の数だけ存在します。
その実践例が横に広がり、さらにブラッシュアップしながら
各校園のよりよい学びにつながっていくことを願っています。
そのためには、先生方には自校園の外に出て学ぶ機会が不可欠です。
いろんな学校での取組がより多く流通するといいですね。
(文責:吉田)