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平成28年度英語教育改善のための英語力調査 報告書

昨今、英語への注目度が高い状態が続いています。

学校教育の中でも英語の重要度は上がるばかり、そんな気配ですが、さて実際に英語力は高まっているのでしょうか。

昨年6月~7月ごろに実施された調査結果が発表になりましたので本日はそちらをご紹介しましょう。

文科省HPより。

 

平成28年度英語教育改善のための英語力調査 報告書:文部科学省

 

まずは調査概要から。

1.調査目的
「第2期教育振興基本計画」(平成25年6月:閣議決定)、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」(平成25年12月:文部科学省発表)などにおいて、生徒の英語力の目標設定、検証を通じた改善を行うことについて提言がなされたことを受け、本フィージビリティ調査を実施した。

2.調査対象
全国無作為抽出により、全国の中学校3年生約6万人(国公立約600校)対象に、平成27年度との経年比較調査を実施した。

3. 調査事項及び方法
(1)英語力調査の実施
学習指導要領に基づき、4技能(聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと)を対象とした試験を実施した。ただし、「話すこと」については1校あたり1クラス40人程度を対象とした。
(2)生徒質問紙調査及び学校質問紙調査の実施
(3)「話すこと」の事前研修、「話すこと」「書くこと」の検収の状況、実施体制などの追加調査の実施

上記にある通り、本調査は公立校の生徒のみを対象としている点にご留意ください。

 

続いて調査結果のみを抜粋して掲載します。

太字装飾は筆者が勝手に付けたものです。 ご容赦ください。

1.生徒全体の英語力の傾向

・国の目標(CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)A1上位レベル以上)の生徒の割合が「読むこと」「話すこと」において微減(「読むこと:26.1%→25.3%」「話すこと:32.6%→31.2%」)、「聞くこと」「書くこと」は微増(「聞くこと:20.2%→24.8%」「書くこと:43.2%→50.8%」) となっており、4技能のバランスがとれておらず、依然として課題がある。
・「書くこと」の得点者は、A1上位レベル以上の割合が50.8%と4技能の中で最も高いが、一方で、無得点者が15.6%となるなど、昨年度と同様の傾向である。

2.英語学習に対する生徒の意識

○「英語の学習は好きですか。」
・「英語の学習が好きではない」との回答が45.4%(対前年2.2ポイント増加)。
テストスコアが高いほど、 「英語が好きである」生徒の割合が高い
特に「書くこと」については、テストスコアが高い層と低い層の英語学習に対する意欲の差が大きい
また、「書くこと」について、「英語学習が好きではない」と回答したA1下位レベルの生徒は、「英語そのものが嫌い」、「単語の綴りや文字を覚えることが難しい、文法が難しい」と回答した者が多い。
○「どの程度まで英語を身に付けたいと思っていますか。」
・現在の英語力のレベルによって将来の英語使用のイメージが異なる。
「英語をどの程度身に付けたいと思っていますか」という問いに対し、「書くこと」「話すこと」のテストスコアが高いほど、「英語を使って国際社会で活躍できるようになりたい」、「海外でのホームステイや語学研修を楽しめるようになりたい 」といった将来の英語使用のイメージが明確な生徒の割合が高い

3.4技能の言語活動に対する生徒の意識

〔聞くこと〕
○「英語を聞いて(一文一文ではなく全体の)概要や要点をとらえる活動をしていたと思いますか。」
・英語を聞いて概要や要点をとらえる活動をしていたと答えた生徒は、73.8%(対前年1.3ポイント増加) 。
「聞くこと」のテストスコアが高いほど、授業において「英語を聞いて(一文一文ではなく全体の)概要や要点をとらえる活動をしていたと思う」 生徒の割合が高い

〔話すこと〕
○「与えられた話題について、(特に準備をすることなく)即興で話す活動をしていたと思いますか。」
・与えられた話題について、即興で話す活動をしていたと答えた生徒は、52.0% (対前年2.4ポイント増加) 。
「話すこと」のテストスコアが高いほど、授業において「与えられた話題について、即興で話す活動をしていたと思う」生徒の割合が高い
○「英語でスピーチやプレゼンテーションをしていたと思いますか。」
・英語でスピーチやプレゼンテーションをする活動をしていたと答えた生徒は、61.0% (対前年2.0ポイント増加) 。
「話すこと」のテストスコアが高いほど、授業において「英語でスピーチやプレゼンテーションをしていたと思う」生徒の割合が高い

〔読むこと〕
○「英語を読んで(一文一文ではなく全体の)概要や要点をとらえる活動をしていたと思いますか。」
・英語を読んで概要や要点をとらえる活動をしていたと答えた生徒は、76.4% (対前年1.1ポイント増加) 。
「読むこと」のテストスコアが高いほど授業において「英語を読んで一文一文ではなく全体の)概要や要点をとらえる活動をしていたと思う」生徒の割合が高い

〔書くこと〕
○「聞いたり読んだりしたことについて、その内容を英語で書いてまとめたり自分の考えを英語で書いたりしていたと思いますか。」
・聞いたり読んだりしたことについて、その内容を英語で書いてまとめたり自分の考えを英語で書いたりする活動をしていたと答えた生徒は、63.4% (対前年1.2ポイント増加) 。
「書くこと」のテストスコアが高いほど、授業において「聞いたり読んだりしたことについて、その内容を英語で書いてまとめたり自分の考えを英語で書いたりしていたと思う」生徒の割合が高い

〔統合型〕
○「聞いたり読んだりしたことについて、生徒同士で英語で問答したり意見を述べ合ったりしていたと思いますか。」
・聞いたり読んだりしたことについて、生徒同士で英語で問答したり意見を述べ合ったりする活動をしていたと答えた生徒は、68.7%(対前年1.5ポイント増加)。
「話すこと」のテストスコアが高いほど、授業において「聞いたり読んだりしたことについて、生徒同士で英語で問答したり意見を述べ合ったりしていたと思う」生徒の割合が高い

 

好きこそものの上手なれ、という言葉がぴったりくるような結果ですね。

そして、好きになることと目標設定は深い関係があるようにも思います(どちらが先かはわかりませんが…)。

また、学校での取組(教育内容)が生徒の能力向上に寄与していることもよく分かります。

当然と言えば当然ですが、こうやって教育の効果測定がなされると非常に分かりやすいですね。

 

なお、本調査には「調査結果の傾向と指導改善のポイント」も掲載されています。

改善が必要な技能について、こんな点に気を付けて指導してくださいね、というポイントを記してくれていますので、英語の先生方はご参考になるところもあるのではないでしょうか。ご参考までに。

 

(文責:吉田)

 

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