「超進学校」と呼ばれるような高校は、超難関大学の合格者を
毎年当たり前のように数多く輩出しています。
ちなみに、2016年の東京大学高校別合格者ランキングは以下の通りです。
1.開成高等学校 170名
2.筑波大学附属駒場高等学校 102名
3.灘高等学校 94名
3.麻布高等学校 94名
2016年 東大・京大・難関大学合格者ランキング | インターエデュ・ドットコム
さて、本日は2016年の東京大学合格者ランキング2位の
筑波大学附属駒場高等学校に関する話題です。
「超進学校」と呼ばれるような高校に通う生徒達は、
さぞかし勉強漬けの毎日を送っているのだろうと
ごく平凡な高校生活を過ごしていた私は勝手に思っていたのですが、
記事を見る限りではそうでもないようです。
文化祭などの行事こそが筑駒生の真価を発揮する場だという。文化祭は例年10月末、実に3日連続で開催される。しかも主役は大学受験を3カ月後に控えた高校3年生だ。他の進学校ならまさに追い込みの季節だ。この文化祭の準備のために「まあ1年かけます」(浜本副校長)とのこと。
高2は文化祭が終了した翌週から全員で来年の催しに何をやるか会議を開く。その半年後の5月にリハーサルをやり、審査して面白くなければボツになる。浜本副校長は「1人の生徒が文化祭準備にかける時間は100~200時間ですまないでしょう」と明かす。
にわかに信じ難い話だが、筑駒では文化祭、音楽祭など生徒全員参加のクラス対抗別行事が目白押しだ。とても受験勉強する暇があるように思えない。
以前に当ブログで、「日本一の文化祭」として東京都立国立高等学校の
話題を取り上げましたが、この高校でも同じように生徒達は文化祭に
並々ならぬ力を注いでいるようです。
また、文化祭だけでなく、全員参加型の行事が目白押しとのことで、
私の勝手な想像とはかけ離れたものです。
ただ、このような行事に向けた準備を通じて、生徒達だけで
課題の発見や解決が繰り返され、「アクティブラーニング」が
自然な形で行われていることが想像できますね。
それでも、これだけの進学実績を残している高校なので、
授業では猛烈な受験指導が行われているに違いないと思ったのですが、
それもどうやら違うようです。
では授業で難関大学対策の受験指導をしているのか。林校長は「いいえ、各教師が信じたアカデミックな授業はやりますが、受験対策は一切しません」と話す。私立の中高一貫校は高2までに6年間の学習科目を終え、最後1年を受験勉強に集中させる学校も少なくないが、「うちは高3までに範囲まで終わらない科目もありますね」(林校長)という。
本当なのか。筑駒の卒業生らに聞くと、「受験対策は難関大学進学塾の『鉄緑会』とか、塾でやる生徒が多いですね」(英単語アプリのmikan社長の宇佐美峻氏)という。受験勉強が塾任せならば、筑駒の存在意義は薄いのではないかというとそれは違う。あくまでも生徒の才能を磨き上げているのは、この数多くの学校の行事と授業にある。
「将来、革新的な電子マネーのシステムをつくりたい」。あどけない笑顔でこう話すのは中2の男子生徒だ。文化祭に訪れた人たちに電子マネーやインターネット上の仮想通貨『ビットコイン』の仕組みや問題点などを論理的に明快に説明する。他の教室に行くと、独自開発したゲームのアプリや自ら設計した電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」の製造方法など、複雑な方程式を用いながら、それぞれの生徒が発表する。訪問した父兄らは大半が口をポカンと開けて感心するばかり。
林校長は「彼らはみんな自身でテーマを見つけて自分でより深く学ぶ」。この結果、自然科学系では大学の数学や物理、化学、生物の水準を超える生徒がどんどん生まれる。演劇を書く生徒は異常なほどの国語力がつく。「授業中に受験の内職をする生徒はいないが、文化祭準備の内職をやる生徒は結構いる」と浜本副校長は笑う。
筑駒の授業もその養成の場だ。「中1~2で他の学校と同様にピタゴラスの定理を勉強する。普通の中学生なら1つの証明法などを覚えて終わりだが、うちの生徒は独自の証明法を次々授業で勝手に考案する。すでに30通り以上出ている。担当教師がついていけないものもある。この証明法はすごいとなると、授業でワッと拍手が起こる」(浜本副校長)。
各教室の黒板は他の学校に比べて異常に大きい。筑駒の黒板は特注品で、それがいまや名物となっている。生徒が黒板に自分で考えた回答をドンドン書き込むからだ。結果、筑駒には高1、高2レベルで東大大学院の水準の生徒もいる。数学オリンピックなど国際的なイベントにも次々挑戦し、自身の才能を磨く。
元々学力レベルの高い生徒が多く入学しているということもあるでしょうが、
「難関大学に進学するために勉強する」のではなく、
「自分が興味を持ったテーマについて深く学んだ結果、超難関大学に進学した」
という表現が合っているような感じですね。
また、行事を通じて「社会人基礎力」も知らない間に身に付けている
のではないでしょうか。
大人にも言えることですが、「物事に興味を持つ」ということは本当に
大切なことだと思います。
特に子供の場合には、家庭においても学校においても
その興味を大人が取り上げてしまわないことはもっと大切ですね。
結果的には申し分のない進学実績ではありますが、
決して「学力偏重主義」ではない筑波大学附属駒場高等学校の
教育内容は多くの学校にとっても非常に参考になるのではないか
と思います。
(文責:木村)