日経新聞の連載、「やさしい経済学」。
毎度興味深い連載テーマなのですが、今回は
【「デジタル」を見極める】という大テーマでの連載です。
が、このブログで共有したい内容は組織論です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この日の記事に登場したのはアマゾン・ドット・コム。
ご存知の通り、同社は本のネット販売から事業を始めましたが、
実は会社としての「本業」は決まっておらず、常に
「顧客にとって大事なことは何か」を問い続け、
事業も進化し続けていると筆者は指摘しています。
その証拠に、同社の利益の半分以上は2006年に始めたクラウド事業が占め、
近年は生鮮スーパー、クリニックを買収するなど、
事業形態や利益構成は変化を続けているそうです。
アマゾンがあえて決めているのは、常に創業当時の新鮮な気持ちを持つ「Day1」であることです。つまり、既存事業を資産としてとらえない姿勢で前向きな投資を続け、取り消し不能なサンクコスト(埋没費用)という考え自体を排除するのです。
ただ、そのような理念を実行し続けるのは簡単ではありません。
そこで大切になるのが「常に実験し続ける姿勢」だと筆者はいいます。
そしてそのためには、提案についての承認プロセスが重要だ、
ともおっしゃいます。
通常は課長、部長、担当役員の全員が承認する必要があるでしょう。それぞれの承認率を独立に10%だとすると、3人全ての承認を得る確率は0.1%になってしまいます。石橋をたたきすぎたような取り組みしか通過できず、ようやく承認を得ても、そのころには他社が追いつけないほど先を行っているかもしれません。
しかし、会議参加者の誰か一人でも賛同すれば実験を始めることができるのなら、承認を得る確率はグンと上がります。
学校という組織においては、とかく「変革」が得意でない、
というケースは少なくありません。
その根底には各人の意識があることは間違いありませんが、
風土もその意識に影響を与えていることが多く、
また風土はその組織のしくみから影響を受けていることも多いものです。
例えば上で紹介されているように、承認のしくみを少し変えるだけで、
新しい挑戦が次々となされるようになるかもしれないのです。
私の知る限り、各私学の若手教職員さんには、
きらりと光る発想をお持ちの方が少なからずいらっしゃいます。
そのアイディアを生かすも殺すもその組織の力量。
ぜひともチャレンジできる風土を作っていっていただければと思います。
(文責:吉田)