日経新聞の連載、「教育岩盤」。
不定期かとは思いますが、長期の連載になっている気がします。
今回のシリーズは「迫る学校崩壊」というテーマ。
その初回の記事を見ておくことにいたします。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
まずは下のグラフをご覧ください。
公立校の教員不足はここまで深刻さを増しています。
2021年の数値ですら大変だと感じるのに、
2022年はさらに急拡大しているようです。
記事には、山梨市教育委員会が
「病気や出産で休暇に入る教員の代替の確保が非常に厳しい」
という趣旨の文書を2022年8月、小中11校の保護者に配って、
なんと教員免許を持つ人の紹介を頼んだとの例が掲載されています。
結果、数件の連絡があったそうです。
これも教員不足に対するひとつの方法、なのかもしれません。
記事には他にも、休職で生じた教員の穴が埋まらないとか、
臨時採用の候補者名簿を見て200人近く電話したがすべて断られたとか、
深刻な事例が並んでいます。
日本経済新聞が教員人事権を持つ68の都道府県・政令市などに22年5月1日時点の配置状況を尋ねたところ、公立小中高校と特別支援学校の2092校(全体の約6%)で計2778人の欠員が生じていた。
文部科学省の21年同時点の調査では1591校・計2065人で、ともに1年で3割増えた。人数は全教員の1%未満とわずかでも影響を受ける子は万人単位に上るとみられる。優秀な教員が足りず学校が回らない「学校崩壊」につながる恐れが出ている。
この記事には
・教職の魅力低下による志願者の深刻な減少
・力不足の志願者の増加、倍率に比例して教員の質が下がる
・多様な人材確保の工夫が足りない
といった問題点が並んでおり、これらを解決するために必要なのは
「学校の再定義」
である、との主張がなされています。
学校は放課後のトラブル対応も引き受け、教員は自己犠牲をいとわぬ聖職者――。現場は過大な期待や一部保護者の無理な要求で能力ある教員ほど疲弊している。
「ブラック職場」のレッテルをはがすには、授業を中心に子どもの能力を伸ばすことへの役割の絞り込みと、働き方や待遇の見直しが欠かせない。小学校英語や1人1台の学習端末配備のような新事業を始める前には、必要性が薄れた既存事業を整理するなど民間で当然の発想も要る。
しくみ自体が疲弊していることは否めませんが、
私学としては、先んじてこういった問題、課題を解決する方策を
研究開発し、実践したいとも感じます。
既存の概念にとらわれず、ゼロベースでの検討が求められます。
(文責:吉田)