生成AIに関する指針が公表されましたね。
少し古い記事も含めて、改めて確認しておくことにします。
いずれも日経新聞の記事です。
まずは6月下旬に掲載されたこちらの記事から。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
学校での生成AI(人工知能)の活用に向け、文部科学省が取り扱い指針の原案をまとめた。(6月)22日、関係者への取材で分かった。夏休みの読書感想文にAIが作ったものを提出することがないよう指導し、定期テストで用いることは不適切とした。効果的な活用方法も例示する。近く公表し、国公私立の小中高校などに周知する。
というわけで、この記事が掲載された時点ではまだ原案でしたが、
後ほど紹介させていただく通り、7月に成案となって公表されました。
内容は概ね以下の通りです。
この時点で、文科大臣は記者会見で
「可能な限り早く公表したい」との意向を示していました。
というのも、読書感想文などの宿題に使われる可能性を想定し、
夏休みを迎える前に公表したい、としたわけです。
なお、東京都教育委員会は6月13日、
国の指針に先立って教育現場向けの通知を出しています。
日記や読書感想文、校内コンテスト用のポスター作成などを
対象に挙げつつ、夏休みの宿題でAIの回答をコピーして提出するなど
しないよう注意喚起することを求めています。
そしてその後の指針公表のニュースです。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
小中高校での生成AI(人工知能)の扱い方に関する初の指針を文部科学省が4日公表した。不適切な使い方をしないよう指導する体制を整えた中高を秋までにモデル校として指定し、活用した成果と課題を検証する。将来的に思考力や創造性を伸ばす一歩にする狙いだ。いち早く取り組む学校では生徒らが手探りで学びに生かしている。
記事では、この指針のポイントを
「利用を認める方針を明確にした」点にあると書かれています。
今後、生成AIはどんどん成熟し、活用の場面が広がることを考えれば、
利用を認めるうえでどんなことに注意すべきかを示す、
というスタンスには個人的に賛成です。
ただし、指針では「不適切な利用」の例示に軸足が置かれ、
適切に利用する方法については十分な内容とはなっていないようです。
指針をまとめるまでの時間が短すぎたことがその要因で、
今後に向けてブラッシュアップが必要と考えられます。
一方で、記事には実際の活用例がいくつか掲載されています。
以下に引用させていただきますので、ぜひともご参考になさってください。
- 生徒が書いた文章を端末で生成AIに修正させ、何度も練り直してより良い文章にする
- 「ChatGPT」に「プロの発表者としてアドバイスをしてください」とプレゼンテーションの助言を求めながら、発表内容を練り上げる
- ChatGPTを相手に意見を聞き、自らの考えを深める「壁打ち」を行う
- 寸劇の台本を考える際に生成AIに下書きを作らせる
- 町のイベントを考える際の案出しを生成AIにさせる
- ChatGPTを人に見立てて英語を入力してインタビューさせる
- 教員全員が生成AIを使えるようにし、アンケート結果の集計といった事務作業に活用する
最後の1つは教員自身の活用法で、
それ以外は基本的に生徒が活用する方法を示しています。
ただ、いずれにしても教員の理解や指導力向上は不可欠でしょう。
早稲田大の深澤良彰教授(ソフトウエア工学)は「生成AIの強みを生かした教育には、まず教員自身がその性質や影響を理解することが欠かせない」と強調。「様々な生成AIの登場が予想される中、発達段階に応じたより具体的な活用事例を共有していくことが必要だ」と話す。
日本の教員は長時間労働が常態化している。江藤さんは穴埋め問題の作成など授業準備の効率化にも活用。「生徒との対話に割ける時間が長くなり、興味や関心に寄り添ったよりきめ細やかな指導ができるようになった」と効果を語る。
教育の深化、そして働き方の改善。
教育現場が生成AIを活用することはもはや必然でしょう。
貴校園でもお取組みが進むことを願っております。
(文責:吉田)