寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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子どもと向き合う学校 教員と生徒の対話時間創設

働き方改革の中で、ぜひとも確保したい、子どもと向き合う時間。

ひとつのヒントになれば、と思います。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

先般「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂され、

児童生徒の主体性を生かす内容に転換されました。

東京都八王子市立上柚木中学校の取組みについて、

三田村裕校長による寄稿が今回の記事となります。

 

東京都八王子市立上柚木中学校は全8学級、生徒数260人ほどの小さい中学校である。本校は2022年度から週1回「ユニバタイム(UT)」という時間を設けた。この名称はユニバーサルタイムの略で、様々な生徒を分け隔てなく支援で包む時間にしたいとの思いを込めた。

 

UTの基本は「教員が生徒と一対一で向き合う」こと。

複数の生徒と教員1人というケースもあるようですが、

勉強、部活動、進路、友人関係など、生徒が話したいことを

話したい教員と対話します。補習を受けたければそれもあり。

使途の幅はかなり広そうです。

 

UTのねらいは改訂された生徒指導提要(文部科学省作成の教員用手引書)の言葉を用いれば「発達支持的生徒指導」であり「課題予防的生徒指導」だ。

つまり、生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことを尊重し、教職員はその発達の過程を支える視点に立つ。生徒の個性の発見と長所や可能性の伸長、社会的資質・能力の発達を促すように働きかけ、さらに気になる一部の生徒を対象に、深刻な問題に発展しないよう初期段階で課題をつかみ、対応する。

 

UTは水曜日の5時間目に2コマ(1コマ20分)設定されていて、

教員は1コマずつ違う生徒と話すことが基本になっています。

そしてこのUTの時間を確保するため、毎週水曜日は4時間授業に短縮。

午後0時半過ぎに4時間目が終わると、

UTのない大多数の生徒は給食後下校して、午後3時まで自宅学習、

という流れになるようです。

 

UTは生徒からの申込に従って教員が対応する、という流れなのですが、

最初はちょっとした工夫があったようです。

最初は生徒から申し込みがないことが予想された。生徒全員に教員と一対一で話すことのよさを実感させる必要もあると考えた。そこで22年度は生徒全員に1回、UTを体験させるようにした。多い教員は38人から申し込みがあり私も十数人と対話した。

 

2022年度の利用者は延べ400人近くに上りました。

内容はほとんどがトークで、補習はなかったそうです。

テーマは下の図の通り。

学年が上がるにつれ「友達」が減り、

「進路」や「自分」の話題が増えるのが興味深い、

と校長ご自身がおっしゃっています。

 



生徒のリクエストが全て教員とのトークだったのでUTを補習に活用することはできなかった。この点は今後の課題であり、23年度は教員が補習の必要性のある生徒を指名し、補習の時間としても活用することを考えている。申し込みや受諾の連絡、相談にタブレット端末を活用することも研究していくつもりだ。

一方で、成果は大きいと感じている。UTがなければ見過ごしていたと思われる生徒の困りごとに気づけたり、いじめの未然防止につながったりした。

(中略)

UTのある水曜は全ての部活動を休養日とし、校内の会議は全てこの日にまとめ、なおかつノー残業デーとしたため、働き方改革にもつながった。

 

さて、貴校園での取組に置き換えた時、何か参考になるところはないでしょうか。

学校現場は日々忙しいのが常になっていることでしょう。

その中で大切な事柄に時間を割けていないとすれば改善が必要です。

何か新たなことを始めるために、日常になっている事柄のひとつを

「捨てる」こともまた、大切な気がするのですがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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