公の奨学金制度は使いやすいものになる、
あるいはなっているでしょうか。
日経新聞より。
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高等教育段階の「給付型奨学金」の支給対象が2024年度に広がり、支援を受けられる学生が約20万人増える。文部科学省が4日、少子化対策のたたき台に盛り込まれた制度改正の概要を発表した。多子世帯と理工農系学部の学生を対象に、年収上限の目安を現在の380万円から600万円に拡大する。家計の影響で進学を諦める学生を減らす。
新しい給付型奨学金制度のイメージが下図です。
これまで年収380万円が上限だった、というのが
この制度がいかに手薄だったかを物語っている気がします。
給付型奨学金を含む修学支援制度が始まったのは2020年度。
大学や短大、高等専門学校などに子どもが進学する世帯に対して、
返済が要らない奨学金と授業料減免を組み合わせて支援するものです。
2024年度からは年収要件を広げ、
扶養する子どもが3人以上いる多子世帯と、
私立の理工農系分野に進む学生がいる世帯については
年収600万円まで対象に含めることとなります。
高校生の大学進学希望率は子どもが多い世帯ほど低い傾向がある。文部科学省の21年度調査では子どもが3人の世帯の大学進学希望率は71.2%で、2人の世帯よりも9ポイント近く低い。4人以上では62.1%とより顕著だ。
進学を諦める学生を減らし、教育格差が生じるのを防ぐ必要がある。高等教育費の重さは出産や子育てをためらう一因とされ、少子化に歯止めをかける狙いもある。
ただ、こういった制度は活用されることが必須でありながら、
2021年度の利用実績は約32万人とのことで、
対象となる学生数の半分ほどしか使っていないようです。
「成績優秀者しか利用できないとの誤解や、
複雑な制度への理解が教育現場で十分ではないことも
影響しているとみられる」と記事は指摘しています。
さて、貴校園にも独自の奨学金制度があるかもしれませんね。
その活用度はいかがでしょうか。
ひょっとすると、優秀な生徒の青田買いのような活用法に終始している、
といったケースもあるのではないかと思いますが、
本来は貴校園での向学心を経済的に促進するのが奨学金であろう、
と思います。
現行制度が適切なのか、そして今後に向けて望ましい制度とは、
といった観点でご検討いただけましたら幸いです。
(文責:吉田)