学校という場が交流の場になることを願いつつ。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は「経済教室」という日経新聞のコーナー記事で、
学術専門家による執筆が基本になっており、
毎度かなりボリュームと読み応えのあるコーナーです。
そういったこともあるのでしょう、必ず冒頭に記事のポイントが
記載されていて、私にはこのポイントがとても役立っています。
そして今回の記事のポイントは、
となっています。
記事では、低所得層に生まれた子どもが成人して高所得層に属するようになる
「上方移動」が、社会の流動性の基礎と位置づけて分析されています。
細かい点はぜひとも記事本体をご覧いただきたいのですが、
調査分析の結果が下の図に端的に表現されていますのでご覧ください。
ここでは分析の過程をすっ飛ばしますが(申し訳ございません)、
「高所得者ほど、高所得者の友人を持つ傾向にある」ことがわかり、
「所得中央値以下の低所得層が高所得者層の友人を持つ割合が高い地域は、
所得が上方に移動する割合が非常に高い」ことがわかったそうです。
サンフランシスコなどは経済的つながりが高い地域だとの記述もあります。
経済的つながりの高いコミュニティーで育つと、キャリア願望や進学先に関する情報提供、インターンシップなど様々なメカニズムを通じ、子どもの社会的地位が上昇する可能性を高められるのかもしれない。
では、経済的つながりは何が決めるのでしょうか。
そして、それを高める方法はあるのでしょうか。
これも結論だけの引用になってしまいますが、以下ご参照ください。
低所得者と高所得者の間の社会的断絶の半分は集団要因の差に起因していた。例えば高所得者層が高校を選ぶ際は、高所得者層が多い学校にしがちだ。残り半分の断絶要因は、友人関係のバイアスで説明できる。どのような集団でも高所得者は高所得者の友人と結びつく傾向が強い。
(中略)
友人関係のバイアスはマンモス校など大規模な集団になるほど大きくなる。人々がより容易に小さな集団に分かれるからかもしれない。友人関係のバイアスは、学校での習熟度別学習や大学の社交コミュニティーなどの存在からも影響を受ける可能性がある。
ここで学校の要素が出てきました。
もう少し突っ込んで見てみましょう。
仮にすべての学校や地域が社会経済的地位に隔たりなく結びついたとしても、グループ内の友人関係のバイアスのため低所得者と高所得者の断絶は続く。
そこで重要なのは、友人関係のバイアスも政策の変更により影響を受ける可能性があるという点だ。例えば生徒が交流するグループのサイズを小さくしたり、習熟度別学習により生じる分断を制限したりする取り組みが考えられる。交流を深めるための建築・都市計画の変更も挙げられる。
小さな社会である学校での過ごし方がもし、
分断を防ぐことに寄与するのであれば、
それはぜひともそうしたい、というのが個人的な想いです。
多様な価値観が重視される社会と言いながら、
現代の世界は分断が色濃くなってきていると強く感じますから、
学校での取組は決して小さくないのではないか、
と思うのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)