寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

教育行政トピックス

学校に関連する政治や行政の動きは学校経営において押さえておくべき重要な情報のひとつです。

そこで本日は、文部科学省を中心に、ここ最近の動きをまとめておくことにします。

 

まずは奨学金制度についての審議会まとめです。

新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ):文部科学省

 

「子どもの貧困」が指摘されている、昨今の日本。

奨学金制度はその中にあって重要なしくみのひとつです。

私が関わる私学においても、納付金の未収が発生している例は少なくありませんし、その事情のひとつが経済面、家計面にあることは間違いない事実です。

上記レポートには、今後に向けた「新制度の考え方及び改善の方向性」と題して、こんなことが書かれています。

○ 現在、学生が置かれている経済的状況としては、家庭からの給付が減少し、学生生活の経済的基盤として奨学金に依拠する傾向が強まる中で、卒業後の返還を負担に感じ、奨学金の貸与を希望していても実際には申請しない学生も多く存在する。経済状況に応じて高等教育への進学を断念することがないよう、将来の奨学金の返還については極力不安を取り除くことが重要である。
○ 返還者を取り巻く状況としては、非正規雇用の増加や平均給与の減少等により低所得者層が拡大し、奨学金返還者層では年収300万円以下の割合が約4割を占めている。特に延滞者について年収が低く、返還の負担も大きくなっており、無延滞者でも約4割が奨学金の返還が負担と感じている。これまでも返還負担の軽減策を充実してきているところであるが、特に低所得者層について現行制度よりも返還負担が軽減される制度とすることが必要である。
○ 諸外国においても返還額が所得に連動する制度が導入されているが、前述のとおり、未回収額が多額に上ることが問題となっている。新制度においては一定の公的補助が必要となるが、我が国の奨学金制度は返還金を次の世代の学生への奨学金の原資とする循環的制度となっており、奨学金制度全体を安定的に運用していくためにも、返還額が確保される制度とすることが必要である。
○ 新制度は返還負担が軽減された、返還者にとってやさしい制度とすることが望ましい一方で、そうした制度とすることで、例えば収入の増加を抑えることにより返還を免れるといったモラルハザードを生まないよう、制度的なインセンティブ構造を考慮する必要がある。
◯ 加えて、新制度は従来の制度と整合性を持つ制度設計とすることが必要である。

様々な方面に向けての配慮は必要だと思いますが、それを考えすぎるあまり、子どもたちが学ぶ環境がなかなか改善されない、という事態は避けてほしいと思います。

ちなみに、上記制度の対象は主に大学が想定されているようです。

 

続いては教育ICT関連のニュースです。

「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」中間取りまとめの公表について:文部科学省

 

アクティブラーニングをはじめ、教育にかかる方法論もかなり議論が進んできた印象があります。

上記レポートからも、「基本的な考え方」として記載された内容を抜粋しておきましょう。

○ 2020 年代に向けた教育の情報化は、授業・学習面と校務面の両面で ICT を積極的に活用し、教育委員会・学校の取組を効果的に支援することを主な目的とする。
・これからの社会において必要となる、主体的・対話的かつ深い学びというアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善や、個に応じた学習の充実
・プログラミング・情報モラルを含む情報活用能力の育成
・エビデンスに基づいた学校・学級経営の推進
・教員一人一人が力を最大限発揮でき、子供と向き合う時間を確保できる環境の整備
○ 教育の情報化を加速するためには、国、地方公共団体、学校、家庭の役割を明確にし、それぞれの責任を果たしていくことが必要である。その上で、教育委員会・学校を中心とする取組に対して、関係省庁の連携、首長部局や地域の様々な主体と一体となった取組が重要である。さらに、産学官で目指す理念を共有し、協働的に取り組み、連携した支援体制の構築が求められる。

本件に関しては、今後も文科省ワーキンググループにおいて検討が進められるそうですし、私が関わる私学の中でも独自に研究と実践を進めておられるところもあります。

より良い学びが進められることを願っております。

 

本日のブログの最後は文科大臣からのメッセージです。

その名も「教育の強靭化に向けて」。

その主旨は次のように書かれています。

今後の学校教育の充実に不可欠な「学習指導要領改訂」と「次世代の学校・地域創生の実現」の一体的な推進のためにこの夏に向けて取り組んでいく当面の重点事項を掲げました。

これらの重点事項につき、教職員の方々はもとより、学校教育の関係者の皆さんに広く知っていただき、皆さんと力を合わせて、学校教育の充実にしっかりと取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

まず1点目の『学習指導要領改訂による「社会に開かれた教育課程」の実現』については、中教審における論点整理で次の提言がなされています。

 (1)学校教育を通じて育む資質・能力(知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力や人間性)と各教科等を学ぶ意義の明確化

(2)資質・能力を育む教育課程の実現に向けた「カリキュラム・マネジメント」の充実

(3)資質・能力の育成に向けた「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善等

現在のスケジュールでは、新要領は小学校において2020年(平成32年度)から、中学校においては2021年(平成33年度)から全面実施、高等学校においては2022年(平成34年度)から年次進行により実施となる予定です。

 

そして2点目の『「次世代の学校・地域創生」の実現』では、以下に掲げる事項について取組を進めると書かれています。

・学校の指導体制の充実

・教員の質の向上

チーム学校の実現

・「地域とともにある学校」への転換

 

以上、最近の教育行政に関するトピックスを集めてみましたがいかがでしたでしょうか。

御校の学校経営の一助となれば幸いです。

 

(文責:吉田)