寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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大学の授業改革、オンライン十分生かせず

否が応でも、ではない、現在のオンライン授業。

果たして学習内容に適した授業形態とは。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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まずはこちらのグラフをご覧いただきましょう。

直近の大学の授業は、多くが対面形式に戻っています。

 

今回ご紹介する記事は、関西大学の池田佳子教授の執筆です。

コロナ禍により、対面授業と遠隔授業の関係が

階層的なもの(対面が上)ではなく、それぞれ利点と特徴がある、

という理解が少し進んだと見ておられます。

 

対面授業は同じ場所・空間に集い学ぶので、授業時間前後に生まれる雑談や交流の機会、授業中の即応性のある質疑応答、顔色や身体行動を含むコミュニケーションの機微を読み取りやすいという利点がある。

遠隔授業(同期型)ではオンライン投票をして盛り上がったり、ブレークアウト機能により大人数の授業でも小グループでの意見交換や作業ができたりする。筆者が普及に取り組むCOIL授業もオンラインだからこそ容易に越境し、複数の海外大学の学生との協働学習が可能となる。

 

一方で、日本の現況は先ほどご覧いただいたグラフの通り。

オーストラリアでは、国内在籍の学生には対面、

国外在籍の学生層には遠隔での提供(デュアル・デリバリー)を導入。

米国では、一部の科目または全ての学位課程を

完全オンラインで登録・履修する制度を設け、

履修者数が対面の在籍数を大きく超えるケースもあるとのこと。

 

日本国内では遠隔授業の利点が一定程度、理解されたが、それを十分に生かした新しいカリキュラムを掲げるには至っていない。

どの授業形態を、どんな科目の活動で採用するのが効果的なのか。この点をしっかり検討し、適材適所でハイブリッド型のカリキュラムを創出することが必要だ。対面と同じ経験を遠隔授業でももたらそうとするのではなく、遠隔でも対面でも学習体験が「同等の価値」を持つように設計すべきなのだ。

学習目標を明確にし、最も能率よく学習効果を得る形態は何か。この基準で判断し対面・遠隔を仕分けるべきだ。対面授業でなくとも、学生間や講師との交流は課外活動などを含むキャンパスライフ全体で仕掛けをつくることができる。

 

今回の記事は大学の授業をめぐる内容となっていますが、

小中高にも指摘が当てはまる面もあるのではないでしょうか。

未来を生きる現代の子どもたちにとって、

ICTこそが生活の中心になることはほぼ間違いないでしょう。

筆者はこう指摘しています。

 

いま、学び方を巡る価値観の転換を突き付けられているのは教える側である。ポストコロナ時代の大学教育は個々の大学と教育に関わる一人ひとりの教員に、享受する学びと、それに対する授業形態の適性を見定める能力を求める。

遠隔授業を対面授業の廉価版扱いするのではなく、効果的な学習体験を生む新たな形態として活用し、教授できる力が問われる。教育の担い手が時代に見合った能力開発の努力をすることが、ポストコロナに大学教育を変えるために不可欠で喫緊の要件である。

 

自らの常識を超えていくことが、教える側、学校側に求められている気がします。

この記事を受けて、日経新聞編集委員の中丸亮夫氏は、

大学関係者と話すと、授業運営に関する教員間の取り決めや事務組織の硬直性が変化を阻む一因になっているようだ。最近の大学は忙しく、教職員に余裕がないのも分かるが、学部の慣行や事務運営のあり方を柔軟に見直す姿勢がほしい。

とコメントしておられます。

子どもたちのよりよい学びのために、

適した技術を柔軟に選択できる学校でありたいですね。

 

(文責:吉田)

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