落としどころはどこになるのか。
私学の皆様も注目の合議かと思います。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立大などを運営する学校法人のガバナンス(統治)改革を議論する文部科学省の「学校法人制度改革特別委員会」が12日、初会合を開いた。私学側の代表者らが出席し、同省の「改革会議」が昨年末に示した評議員会の権限強化を柱とする改革案に対して「現実的ではない」などと見直しを求めた。
政府と私学の対立構造で捉えられがちな本件ですが、
果たして本当にそうなのか、実態はそうでもないのではないか、
という点は以前のこのブログでもお伝えしたところです。
私自身が耳にしている各私学の見解は、必ずしも
改革会議の提言への反発を示しているものではないと感じています。
ちなみに、この記事では改革会議と私学のそれぞれの主張を
以下のようにまとめていらっしゃいます。
今回、新たに設けられた特別委員会は、
委員13人中7人が私学団体の代表者となっています。
上で「改革会議」と略した、文科省の「学校法人ガバナンス改革会議」は
公認会計士や弁護士が中心で、現役の私学経営者がゼロでしたので、
そういったメンバー構成への反発も大きかったのかもしれません。
(このような点は各校園の経営組織においても他山の石になりそうですね)
この記事には、私学サイドの意見が以下の通り掲載されています。
並べるとなかなか興味深いので、あえて並べて書いてみます。
日本私立大学連盟会長
「私学は透明性のある意思決定をする責任を負うが、
評議員会に権限が集中すると、権力を得ようとする人間が
そのポストを狙うことにつながる」
「改革会議の提言は絵に描いた餅で、現実的に私学で運用可能な制度にすべきだ」
幼稚園などの団体
「法人規模にあった対応をしてもらいたい」
中学高校の団体
「現行制度のままで問題ない」
同じ私学、学校法人といっても、学校種によって運営の形、
ガバナンスの理想形は必ずしも一致しないことがここからも分かります。
本来であれば私学に大きな裁量を持たせることが理にかなうのでしょうが…
それでも、毎年のように起こる不祥事を見聞きすると、
裁量に委ねることは許すまじ、という意見もやむを得ません。
特別委は今後、理事や理事長の解任方法の見直しや特別背任罪などの刑事罰を私学法に盛り込むことの是非などを議論。文科省は特別委の意見を踏まえて、具体的な制度設計を進める。
(中略)
末松信介文科相は特別委について「学校法人の多様性に配慮しつつ、社会の要請にも応える実効性ある改革を実現する」と強調。私学側との合意形成を図り、迅速な法改正につなげたい考えだ。
(中略)
改革会議の委員の一人は「私学側に寄り添いすぎては社会に受け入れられない。改革が骨抜きになれば、日大のような不祥事はこれからも続く恐れがある」と懸念する。
今後、文科省はこの特別委員会の結論をもとに、
今月召集された通常国会で私立学校法改正案の提出を目指します。
記事が指摘する「社会の理解を得られる実効的な改革案」
となるかどうか、注目しておきたいと思います。
(文責:吉田)