当然予想されたことではありますが、
世間からの手厳しい見方のひとつだと思います。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立大学などのガバナンス(統治)改革を巡る議論に区切りがついた。文部科学省は私立学校法改正案の通常国会提出に向け準備を急ぐ。実現すれば制度上、理事長や理事会に対するけん制機能は高まる。トップの暴走の抑止を含む統治の抜本的な改善につながるかどうかは見通せない。
今後予定されている私学法の改正、いわゆるガバナンス改革の内容ですが、
日経新聞が下の図にまとめてくれています。
大学法人を前提にしたものとなっておりますので、
中高法人は若干異なるところもあります。ご了承ください。
今回まとめられた報告書の作成母体は、
文科省の大学設置・学校法人審議会に置かれた
「学校法人制度改革特別委員会」。
今年1月から計6回の議論を経て、先月29日に報告書をまとめる、
という早業でした。
報告書のポイントをおさらいしておきましょう。
【理事長・理事会に対する評議員会のけん制機能の強化】
- 法令違反、職務義務違反などの客観的な解任理由があり、他の機関が機能しない場合、評議員会による理事の解任請求可
- 評議員会による監事の選任
- 解散や合併など重要な事項について、理事会の決定に加え評議員会の決議も必要
- 理事と評議員の兼務禁止(→評議員会の最低数引下げ、属性ごとの上限設定)
【理事会の監督機能の発揮】
- 理事会に理事長の選定・解職権限があることを法律で明記
- 内部統制システムの整備義務付け
- 特別背任等の刑事罰新設
いかがでしょうか。
昨年12月に「学校法人ガバナンス改革会議」がまとめた内容では、
評議員会を「最高監督・議決機関」に格上げし、
理事の選任・解任権も与えるという内容だったのですが…
提言が実現しても理事会が法人運営の中心となる意思決定機関、評議員会が諮問機関という「基本構造は変わらない」(文科省)。評議員会への一部議決権の付与や理事・評議員の兼務禁止などは過去の改革論議の中で方向性は出ていた。改革会議の大胆な案は私学側が受け入れ可能な線まで押し戻された格好だ。
(中略)
取材の中で私大の教職員から改革会議案への賛意を聞くことは決してまれではない。理事長や特定の理事の影響力が大きく、議論が萎縮する勤務校の実態への嘆きも耳にする。理事会と評議員会を同時開催する法人もあるという。監督機能の形骸化は、おそらく日大以外でも起きている。
貴校園の理事会、評議員会は現状、きちんと機能しているでしょうか。
私学経営は今や難度の高いものとなっています。
将来の方向を定め、必要な施策を検討し、確実に実行する。
その責任はまさに経営陣にあります。
私学という公共性の高い機関において、
健全経営は必須の命題であることを改めて肝に銘じたいですね。
最後に、今回の記事の末尾に掲げられていた文章を引用します。
私学団体が主張するように、私大は学部生の8割弱を受け入れ、社会人の再教育も含め様々な人材を育てている。その役割の重さにふさわしい健全な経営を行う責任がある。続発する不祥事と紛糾した統治改革論議を通じ、いま社会は私大経営に厳しい目を向けている。自覚してほしい。
(文責:吉田)