先日、国勢調査の結果が発表になり、
改めて人口減が進んでいることを思い知らされる結果となりました。
さらには人口の偏在も進んでいるとの報道が。
しかしながら、こんな記事もありました。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
総務省が(6月)25日発表した2020年国勢調査(速報)は、大都市への人口集中の加速を浮かび上がらせた。人口が増えたのは東京など大都市を抱える自治体を中心に9都府県にとどまり、秋田など38道府県で人口が減少した。ただ総人口が減る中で、子育て支援の拡充などで人口を増やした市町村も約300自治体あった。成功事例を生かして地方の縮小を食い止める知恵が問われている。
すでにご承知かと思いますが、今回の国勢調査の結果をざっとおさらい。
- 総人口は2020年10月1日時点で1億2622万6568人と、2015年の前回調査に比べて約87万人減少。
- 47都道府県のうち増加を維持したのは、東京圏の1都3県と愛知、滋賀、大阪、福岡、沖縄の9都府県のみ。
- 人口の減少率が最も大きかったのは秋田(6.2%減)、減少数が最多だったのは北海道(約15万人減)。
- 33道府県は前回調査からマイナス幅が拡大。
- 市町村別でみると、全国1718自治体の8割超で人口が減少。5%以上減った自治体が5割超。
- 減少数が大きかった市町村は北九州市、新潟市、長崎市など日本経済を支えてきた地方の政令指定都市や県庁所在地が目立つ。
一方で、人口を増やしている自治体もあるとのこと。
実質的に最も高い増加率を示したのは千葉県流山市で、
5年前から実に15%近くも増加しています。
「共働きや子育て世代に照準を定めて都市計画を進めたことが奏功している」
と要因を分析するコメントが掲載されています。
これに関連しそうなのが、出生率のデータです。
下のグラフをご覧いただくと、人口増が「外から人を呼び込む」だけでなく、
「ご当地で生み育てる」ことへの安心感によってもたらされていることが
分かります。
人口が3.1%増加した千葉県松戸市では、
駅前や駅ナカで保育ニーズの高い0~2歳児対象の保育所を整備。
コロナ禍に伴うリモートワーク需要を受け、
託児機能付きのコワーキングスペースも市内に4カ所整備したそうです。
2020年10月からは「おむつ定期便」を始め、
子育て経験のある見守り支援員が満1歳の誕生月まで毎月、
自宅に3000円相当の紙おむつやベビーフードなどを無料で届け、
その折に子育ての悩みを聞くきっかけにしているそうです。
さて今回この記事をご紹介したのには2つの理由があります。
1つは、貴校園が立地する自治体の子育て施策について、
貴校園自身が提言や協力を行うことの重要性です。
人口減は大きく強いトレンドですが、地域によってその濃淡は異なります。
今回の記事でご覧いただいた通り、
自治体の取組によって人口の増減は大きく変わってきますから、
貴校園が商圏として捉えている自治体の子育て施策について、
当事者としても地域応援隊としても、積極的に関わることが大切な気がします。
もう1つは、貴校園に所属する教職員各位の帰属意識を高めるには、
働く環境を整えることの重要性を軽んじてはならないという点です。
自治体にとって人口を増やすことは重要課題ながら、
一朝一夕でどうしようもない、長い目で見た取組が必要です。
これは貴校園の風土改革も同じ。
優秀な教職員が定着しないのは給与水準だけではないはずです。
安心感と成長意欲を持ち続けられる職場であるために、
長い目で見た施策を着実に実行していくことが求められます。
(文責:吉田)