少々古い記事ですが、今一度しっかり認識すべきこととして
ご紹介させていただきたいと思います。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は、2011年3月11日午後3時ごろの、大槌町役場の描写から始まります。
地震直後の緊急会議。
「危ないから下でやろう」と、庁舎の2階に集まった町の幹部は、
わざわざ庁舎前の駐車場に移動。そこへ津波が一気に押し寄せました。
生存した職員は「巨大津波が来るとは思わなかった」と見通しの甘さを悔やんだ。浮き彫りになったのは、初動対応を巡る曖昧な取り決めだ。
危機下の行動を定めた事業継続計画(BCP)はない。高台の公民館に災害対策本部を置く基準は、防災計画が「庁舎が使えないとき」、職員防災手帳は「大震災時」と明確さを欠いた。対策本部を移す訓練は過去1回だけ。18年に町が実施した震災当時の職員25人へのヒアリング調査では「本部は役場庁舎に置くと思っていた」とする証言が少なくなかった。
BCPというものの存在や必要性について言われ始めたのは
コンピューターの誤作動が懸念された「2000年問題」、
さらには2001年の米同時テロがきっかけと言われています。
そして内閣府は2010年に検討事項をまとめた自治体向けの手引きを公表。
ただその当時はまだ対象が限定的だったようです。
現下のコロナ禍において、大規模な天災が起きた際の対応については
後回しになりがち、かもしれません。
いや、というよりも、今はそんなことを考える余裕がない、
というケースも決して少なくないでしょう。
ただ、天災は時期や場所を選びません。
そして、想定外のことが起こるという点では、
コロナ禍も当然それに該当する、非常事態です。
貴校園では、いざというときの活動や行動について、
おそらく危機管理マニュアルとしてまとめておられることと思います。
目の前の安全確保のため、まずはこういったマニュアルの存在は
不可欠でしょう。
そしてぜひとも、真っ只中にあるこのコロナ禍における、
貴校園での活動履歴や対応について、
そのマニュアルに随時加筆していただきたいと思います。
それに加えて、「事業を永続する」という観点の準備も必要です。
学びの環境をいかにして維持するのか。
その際のオペレーションをどうするのか。
組織体制は、お金は、施設は…
こういった事柄をあらかじめ想定し、計画しておくのがBCPです。
現状、BCPの認知度はそれなりに高まりましたが、
民間企業における実際の策定例は決して多くないようです。
調査会社「帝国データバンク」が2020年5月に全国の1万1979社から有効回答を得た調査によると、事業継続計画(BCP)の策定率は16・6%にとどまる。うち大企業は30・8%、中小企業は13・6%だった。
調査結果はありませんが、きっと私学だけに限ればもっと低くなるのではないか、
とも思います(大学法人は別として)。
今後の事業計画を考えるにあたり、このBCPの観点も忘れずにいたいものです。
ご参考までに、来月14日に予定されております弊社主催セミナーの
リンクを以下貼っておきます。
学校経営に必須の計画について考える機会としてご活用ください。
(文責:吉田)