この判決はマスコミでも大きく報道されましたので、
すでに内容はご承知かと思います。
日経新聞より。
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茶色っぽい髪を黒く染めるよう教諭らに強要されて不登校になったとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校の元女子生徒(21)が、府に約220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が(2月)16日、大阪地裁であった。横田典子裁判長は元生徒側の訴えを一部認め、府に33万円の支払いを命じた。髪の染色などを禁じる校則は「学校の裁量権の範囲内」との判断を示す一方で、不登校後の学校側の対応を違法と認定した。
文部科学省によりますと、校則について定めた法令はない、とのこと。
つまり、校則はあくまでも学校生活におけるルールを、
各校が自治の下で定めているものと考えてよさそうです。
昨今、Twitterなどでは「ブラック校則」に関する意見が
さまざまつぶやかれています。
中には意味不明なもの、理解が難しいものなども多くあり、
なぜそのようなルールができたのか、そして今なお残っているのか、
不思議な気がするものもあります。
判決はまず、こうした校則について生徒の非行を防ぐ教育目的に沿ったものであり「社会通念に照らして合理的で、生徒を規律する裁量の範囲を逸脱していない」と判断。校則を巡る学校側の裁量権を幅広く認めてきた過去の司法判断を踏襲する形となった。
上記の文を読んで、髪染め禁止が非行防止にどの程度役立つのだろうか、
と疑問を覚えました。裁判所は目的と手段の関係は妥当、
というふうに考えたのでしょうが、少々違和感を禁じえません。
ただ、集団生活においてはルールの設定はあってしかるべき、とも思います。
以前であればそれを学校が設定し、子どもたちを従わせる、
という形が多かったのでしょうが、その考え方は時代錯誤的で、
できれば教職員も子どもたちも一緒になってルールを作る、
ということが望ましいのでしょうね。
貴校園ではどんな校則になっているのでしょうか。
それはいつから運用されているのでしょうか。
疑問の声が上がった時、どのように対処されているのでしょうか。
学校が小さな社会であるとすれば、校則を題材にして
将来社会に出た時の模擬的な体験をすることもできるような気がします。
ちなみに、今回の裁判で違法性が指摘されたのは、
当該生徒が不登校になった後の対応です。
学校は名簿に生徒の名前を載せなかったり、
教室に席を置かなかったりしたとのこと。
「生徒に与える心理的打撃を考慮せず、著しく相当性を欠いている。
登校回復に向けた教育環境を整える目的でなされたとは認められない」
と判決は結論づけています。
当然、このような対応は許されるものではないでしょう。
大きな判決が出て、マスコミがそれを報じるというケースは
これ以外にもいろいろとあります。
その都度、自校園ではどうなっているだろうか、との確認は必須でしょう。
これを一つの機会ととらえて、よりよい教育環境を整えていきたいですね。
(文責:吉田)