少子化が進む一方で、人口偏在も進む昨今。
そんな時代には、統計を読む際にも特に留意が必要です。
日経新聞より。
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出生率が地域の少子化の実態を映していない。全国上位10県は10年前と比べ、いずれも率が高まっているのに子供は計16万人減った。率が最下位の東京都だけ子供が増えた。子供のいない若い女性が転出すると計算上、出生率が高くなる統計のアヤがある。やはり少子化対策は若い世代をいかにひきつけるかがカギを握る。
2019年の出生率10位までの県はすべて10年前より上昇。
しかし、その10県の14歳以下の人口はこの10年で16万人減。
子供の減少率は7~14%。なぜこんなことが起きるのでしょうか。
落差の理由の一つは出生率の算定法にある。県単位で15~49歳の女性がどれだけ子供を産んだかを割り出す。子供を産んでいない若い女性が県外に流出すると、分母が縮小して率は高まる。
出生率は高いのに、子どもの数が減っている。
そこには割り算のマジックがあるようです。
分子が増えるのではなく、分母が減ることによって率が上がる、
ということに留意が必要です。
東京は逆に若い女性の流入が続き、分母が大きくなるので出生率が低くなる、
という現象が起きているようです。
某研究所の担当者さんは
「子供の数は出生率より女性の増減数の影響が大きい」
と指摘しておられます。
東京の女性は4万7千人の純増。小規模な市の総人口に匹敵する。転入超過数は男性の1.34倍。女性の方が東京に定着する傾向がある。人口の東京一極集中は若い女性や子供で顕著といえる。
そしてこの結果、
「中学受験の競争率が歴史的にも異常な高さになっている」
と、東京都内の学習塾の担当者が嘆息している、と記事にありました。
東京では子どもたちの競争激化が私学経営に影響を与え、
他地域では子どもたちの減少が私学経営に影響を与える。
もはや私学が抱える経営課題は全国共通、とは言えなくなってきているようです。
他校園の実例を知ることも重要ではありますが、
その先にある「自校園ならでは」のシナリオ策定が重要ですね。
(文責:吉田)