寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

企業年金、70歳まで加入

先月、こんな記事を見つけたんです。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

厚生労働省は企業で働く人が加入できる企業型確定拠出年金について、今は60歳までとなっている掛け金の拠出期間を70歳まで延ばす方針だ。掛け金を長く積み立てられれば運用資産が増え、退職後にもらう年金も増えやすくなる。公的年金に上積みとなる企業年金を充実し、老後への備えを後押しする。

 

私学を含め、公的な年金制度は確定給付型、

すなわちあらかじめ定めた額が受給できる方式が主流ですが、

企業では確定拠出型も増えてきています。

こちらは受給額が固定されておらず、掛金の額を固定するもの。

つまり、一定額を定期的に拠出し、その財産を運用し、

拠出額と運用益を年金として給付するものですね。

 

その掛金を出す期間を延ばす、というのが今回の記事に書かれている案です。

長期間掛金を出すことによって、より多くの運用益が得られるようにする、

という意図があるようです。

 

 

加入期間を延ばすのは、01年の制度創設時に比べると働く60歳代のシニアが増えているためだ。労働力調査によると、18年の60~64歳のうち就業者の比率は68.8%と、01年に比べて18.1ポイント上がった。65~69歳は46.6%と11.3ポイント上がっている。政府は企業に70歳まで就業機会を提供するよう求める法改正を目指しており、企業年金でも加入期間の延長を求める声が多い。

 

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ちなみに、こんな記事も出ていました。

 

www.nikkei.com

 

厚生労働省は(9月)18日、公的年金の受給開始年齢を75歳まで選択できるようにする案を社会保障審議会に示した。65歳より前倒しで受け取る場合に1カ月あたりの年金額を減らす制度も見直す。現行は基準額から30%減らす計算となるが、減額幅を24%に圧縮する。長寿化に対応するためという。

 

年金のニュースを見るにつけ、定年後の生活が安定的に送れるのだろうか、

という不安な気持ちに襲われるのは私だけではないでしょう。

私学の年金制度も掛金はここ10年ほどでかなり高くなってきたような

印象があります。

 

となると、教職員の退職金制度は現状のままでいいのでしょうか。

賃金制度と比べても、退職金制度の変更や修正はなかなか骨が折れるものです。

早めのご検討をお願いいたします。

 

(文責:吉田)

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社外取締役、初の3割超

一般企業の話題ではありますが、

学校法人にもヒントになることがあるように感じましたので

採り上げさせていただきます。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください) 

 

上場企業の役員の顔ぶれが多彩になってきた。取締役に占める社外取締役の比率は今年、初めて3割を突破した。監査役や執行役を含む役員では女性が1000人を上回り、外国人役員がいる企業数も100社を超え過去最高となった。異なった経験や知見を経営に生かす体制が広がってきた。ただ社外取締役の割合が8割を超える米国などと比べると日本の水準はまだ低い。社外取締役がいても不祥事を防げないなど実効性にも課題が残る。

 

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各私学においては「私学法改正」がトピックになっているかもしれませんね。

その私学法改正の中でもガバナンスの強化は大きなテーマです。

 

学校法人における理事は、一般企業でいうところの取締役。

監事(監査役)を含めると、組織の役員、ということですね。

その役員の構成において、「社外」「女性」が増えている、

という傾向が明らかになっています。

さて、貴校園ではいかがでしょうか。

 

社外役員、女性役員ともに、積極登用によって

これまでの体制とは異なる視点が手に入ることが何よりのメリットです。

私自身、役員会、理事会に陪席させていただくことも多いですが、

既存の視点ではないものの見方というのは非常に貴重で、

そのことが議論を活性化するのはもちろん、

組織そのものを活性化することも多いように感じています。

 

ただし、こんな注意も必要です。

 

日本では取締役の役割を経営の執行に対する監督と位置づける動きが広がる。ただかんぽ生命保険は取締役に占める社外取締役の比率が7割と高水準だが、顧客への不適切販売を防げなかった。社外取締役に会社側が十分な情報を提供するなどしないと機能不全に陥りかねない。

 

体制の整備には情報提供、情報共有が必ずセットで必要である、

と私は考えています。

人と情報がそろって初めて、厳しい経営環境の中でも

維持発展できる組織が作り上げられるのではないでしょうか。

 

(文責:吉田) 

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民間給与 リーマン前超え

先月発表されたデータですが、改めてチェックしておきましょう。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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民間企業で働く人が2018年の1年間で得た給与は平均440万円で、17年に比べ2%(8万5千円)増えたことが27日、国税庁民間給与実態統計調査で分かった。6年連続の増加でリーマン・ショック前の07年の437万円を上回った。男性の平均は545万円。女性は過去最高の293万円だった。

 

リーマンショック前の水準まで戻ってきた、

というのが正しい言い方なのでしょうか。

それにしても、調査条件にもよるのでしょうが、

この時代になっても男女差がこれほどまでに大きいのかと、

今回の記事の焦点ではない箇所にも衝撃を受けております。

 

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ちなみにこのたびの統計では、以下のようなことも判明しています。

・2018年に1年を通じて勤務した給与所得者は17年比1.6%増(5026万人)

・このうち正社員などの正規労働者は1%増(3321万人)

・同じくアルバイトや派遣社員などの非正規は3%増(1167万人)

・正規の平均給与は503万円、非正規は179万円で2.8倍の開き

非正規の平均給与水準では生活もままならないかもしれませんね。

男女格差、そして正規非正規格差を見るにつけ、

日本は果たして先進国なのだろうかと思ってしまいます。

 

本題に戻りましょう。

民間の給与水準はかなり回復してきている中で、

貴校園の給与は何か変化がありましたでしょうか。

経営者目線での人件費コントロールの観点からは

どうしても引き下げたくなる賃金水準ですが、

世間相場とかけはなれてしまうと採用競争力が失われます。

貴校園の現状がどうであるかについて、

時折チェックしておかれるのがよいでしょう。


ちなみに、今回ご紹介している記事にはこうも書かれています。

給与の増加が続く背景には好調な企業業績と人手不足があるとみられる。ただ輸出は減少が続き、外需には陰りが見える。有効求人倍率は依然高水準だが3カ月連続で低下しており、今後も給与の増加が続くかどうかは見通せない。 

 

人手不足もそろそろ頭打ち、ということなのでしょうか。

そしてそのことで給与水準はどう動いていくのでしょうか。

適切な情報の収集と活用が必要かもしれませんね。 

 

(文責:吉田)

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年配はネット、若者は店?!

表題を見ると「間違ってない?逆だよね?」と思ってしまうこの記事。

盲点を突かれたような気がします。

日経新聞より。

 

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JTB総合研究所の「海外観光旅行の現状2019」のデータは興味深い。旅行の相談から申し込みまでは「すべてネット」が48.2%と最も多いが、18~29歳の男女を見ると、「旅行会社の利用」が「ネットの利用」を上回っているのだ。

 

なななんと。そうなんですか。

個人的には旅行会社に近づく機会がほとんどないのですが、

ネット世代と思われる20代が旅行会社に行く理由とは…

皆様、お分かりになりますでしょうか。

 

JTB総研によると、「シニアの方が海外の旅に慣れているので、自分でネット検索するだけ済む。若者は情報はあっても経験はない。だから背中を押してほしいのではないか」と見ている。

 

18~29歳が旅行会社を利用する割合が高いのとは対照的に、

60~79歳の女性のネット利用は60.7%、男性もネットが半数を超えるとのこと。

イメージとは真逆の構図がそこにはあります。

 

ネット社会が到来して20年。もはやネットが若者、リアルがシニアという領域の区分けは消滅しつつある。フリマアプリのメルカリのデータを見ても、シニアの利用は急増している。18年の50代以上の利用者は前年に比べ60%増という高い伸びを示す。

 

シニアはパソコンやネットが苦手、ましてやスマホなんて…

などと思っていると、大きな間違いを犯しそうですね。

思い込みがいかに危険かをこのニュースは教えてくれます。

 

さて、貴校園のICT化は進んでいますでしょうか。

年配の方には新たなツールはなかなか…とおっしゃる経営幹部の方も

いらっしゃいますが、現代のシニアはそんなことはないかもしれませんよ。

「思い込み」を捨てて、目的を見据えた学校経営を進めていただければと思います。 

 

(文責:吉田)

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児童の芸術活動 地域に支援拠点

課外活動は学ぶ子ども自身にとってはもちろんのこと、

学校にとっても、家庭や地域にとっても、

重要な存在であり、課題を抱える存在でもある、と言えるのではないでしょうか。

子どもたちの課外活動の場をどうやって確保するか。

そのヒントが見えるかもしれません。日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

子どもたちが地域で文化や芸術に親しめる場をつくろうと、文化庁は来年度、各地に「地域文化倶楽部(仮称)」を創設する方針だ。学校での文化系の部活動に代わる受け皿として、公民館などを利用した地域の文化拠点を育て、子どもたちの参加を促す。来年度は24カ所程度で先行実施し、国は人材確保などを支援。課題を検証し、将来の全国展開を目指す。具体的な地域は来春以降に公募、選定する見通しだ。

 

昔は地域が子育ての大きな部分を担ってきたところ、

近年はその多くが学校へと任される形になり、

さらには家庭が担うべき教育についても学校が引き受け…と、

学校の機能拡大がとめどない状況が続いてきたように思います。

そのような中で、このニュースは今後に期待したいと思える内容です。

 

学校では、教員の負担軽減が喫緊の課題。

部活動においても、時間的制約はさることながら、

文化芸術系はそもそも部員数の確保が難しく、

活動がままならないことも増えています。

そして肝心の自治体でも、

文化芸術にかかる予算が切り詰められる傾向に…。

地域がその受け皿になってくれるなら、

これほどいい仕組みはないのではないでしょうか。

 

地域文化倶楽部は、担い手として自治体や文化団体、企業などの参加を想定。プロの芸術家らを講師として招き、子どもが鑑賞したり自ら表現したりする場を提供する。

 

小中高時代に「本物に触れる」機会が訪れるのはとてもいいですよね。

今後の展開に大いに期待したいと思います。

そして、このような取組をきっかけに、

私学と各家庭がよりいっそう地域とつながることを願っています。

 

(文責:吉田)

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セミナーをふりかえって

先週金曜日は弊社主催「2019年度学校経営セミナー」の第4回開催日でした。

朝から雨が降ったりやんだりの一日でしたが、

幸い、開始前1時間ほどはほとんど雨も落ちておらず、

ラッキーなオープニングとなりました。

 

 

今回のタイトルは「法にまつわる学校あるある」。

少々ふざけた?タイトルですが、

学校であればぜひとも押さえておくべき裁判例を中心に、

法律で決められていること、

そして決められていないこと(実はここがポイントでした)について

3時間めいっぱい、お話しいただきました。

 

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開始直後、早速判例登場です

講師を務めていただいたのは

えにし大阪法律事務所の所長弁護士、津田裕行先生です。

津田先生は私の大学の同窓でもあり、職場の先輩かつ元上司でもあります。

官僚として勤務され、そして不動産鑑定士としてもご活躍され、

その後に司法試験を突破されたご経歴の持ち主です。

社会経験の多さもあってか、法律を分かりやすく解説されるのが

毎回好評を得ており、今回もアンケートにはこんなコメントが寄せられました。

 

・具体例について説明も解り易かったです。話し方も柔らかく聞き取り易かったです。

判例、裁判例を伺い、記録の大切さをはじめ学校運営の観点からのポイントを改めて学んだ。同時に法と教育のスタンスの違いも学校としての判断に必要であることも再認識した。

 

実は今回のセミナーでは、3時間では足りないほどの

多くの判例、裁判例が紹介されました。

シャワーのように降り注ぐそれらの事例を聴きながら、私自身も

「法的判断のポイントってこのへんにあるんだな」

ということが感じ取れました。

 

そして、最後のまとめとして「弁護士を信じすぎるな」という、

刺激的な内容にも触れられました。

弁護士はあくまでも法律の専門家であって、教育分野の専門家ではない。

そのことを肝に銘じて、学校にあるべき法務を考えていく必要がありそうです。

 

次回の学校経営セミナーが本年度の最終回です。早いものですね。

11月15日、昨年度大好評だった「学校事務室改革」の再登場です。

皆様奮ってご参加ください。

 

(文責:吉田)

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「学校弁護士」300人配置へ

本日は学校経営セミナー開催日。

テーマは法務。

学校が舞台となった、あるいは子どもたちに関係して起こったトラブル、

判例などを採り上げる3時間です。

会場はいつもと同じ、梅田・お初天神横のビルです。

大阪市内は朝から少し雨模様ですが、

会場は地下街とアーケードでほぼ濡れずにお越しいただけます。

ただし、足元にはくれぐれもお気をつけくださいね。

 

さてそんな本日に相応しい?内容の記事をご紹介します。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

学校現場でのいじめや虐待に対応するため、文部科学省が「スクールロイヤー」と呼ばれる専門の弁護士を全国に約300人配置する方針を固めたことが(9月)23日、分かった。各地の教育事務所などに拠点を置き、市町村教育委員会からの相談を受ける。来年度からのスタートを目指して準備を進める。経費は年間約4億円を見込み、財源に地方交付税を活用する考え。

 

いじめ、虐待、不登校、保護者トラブル…

学校には法的アドバイスが必要かつ有効な場面が非常に多くなっています。

公立校ではそのしくみを整えていこうとしていることが

この記事から分かります。

 

私学ではすでに顧問弁護士とご契約されていることが多いように思いますが、

さてその弁護士さんに普段から学校の状況は伝わっていますでしょうか。

そして、トラブルが発生しそうなとき、あるいはすでに発生したとき、

迅速にご対応いただいていますでしょうか。

教育現場、教育業に精通している弁護士さんは確かにいらっしゃいますが、

必要な折にご相談に乗っていただけることがまずは大切です。

私学では以前は考えにくかった、授業料の未収等の新たな法律問題も

起こってきていますから、時代に応じた対応もまた求められるところです。

適切な法律の専門家と連携し、学校の法務を充実させていただければと思います。

 

(文責:吉田) 

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