寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私立中学の特色入試

私立中学入試といえば、本番の入試での難しい筆記試験に備えて、小学校3~4年生の頃から塾に通って猛勉強するというイメージを何となく持っています。

仕事が終わり帰宅する際、大手進学塾の帰りとおぼしき小学生が電車内で参考書や問題集で勉強している姿をたまに見かけますが、「まだ小学生やのに大変やなあ・・・」と思ってしまいます。

 

ところが、昨今は従来の筆記試験とは異なる「特色入試」を導入する中学校が増えてきているそうです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

近年、増えているのが特色入試だ。適性検査型、思考力型、PISA型などと呼ばれ、首都圏では100校以上が取り入れている。17年も新たに、大妻多摩が「総合型」、大妻中野が「新思考力入試」、東洋大京北が「『哲学教育』思考・表現力入試」を導入した。試験内容も机上の筆記にとどまらず、レゴブロックを取り入れたりプレゼンをしたりと、多様化している。

 昨年は東大や京大が推薦入試や特色入試を導入したことが話題になったが、中学入試でも多様化はさらに拡大しそうだ。首都圏中学模試センター教務情報部長の北一成さんが解説する。

3年間、あるいは2年間塾に通って受験の準備をする、というスタイル一辺倒ではなくなってきました。特色入試が増加し、塾通いをしなくても受験できるケースが増えています。中学受験は、従来型入試と多様な新型タイプに二極化してきました。また試験科目も、4科から、2科4科選択や得意科目選択など、軽量化の方向へ進んでいます」

 

首都圏では100校以上は特色入試を取り入れているとは知りませんでした。

従来の中学入試は偏差値至上主義といった感じでしたが、偏差値だけでは測れない子どもの様々な能力や可能性を重視するようなタイプの入試が増えてきていることは、学校の特色をより明確に打ち出すことができることに加え、子どもを過度な受験競争から解放させることにも繋がり、個人的には非常に良い流れだと感じます。

 

私学を取り巻く環境は厳しさを増す一方であり、生き残りを図るためにはそれぞれの学校の魅力を向上させることは欠かせません。

今こそ自校の特色を明確にし、「選ばれる学校」へと変革しなければいけない時期を迎えているように感じます。

 

(文責:木村)

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変わる学校、変わらない学校

教育新聞、ご存知でしょうか。

学校関係の皆様にはひょっとするとおなじみ、なのかもしれませんが、

恥ずかしながら私、その存在を知ったのは結構最近です。。。

そして、facebookに流れるそのフィードを見ながら、

しばしば気づかされることがあります。

 

今回はそんな教育新聞さんの記事の中で、

共感した記事をご紹介します。

www.kyobun.co.jp

 

さまざまな困難や苦労はあっても、確実によくなっている学校(変わる学校)がある一方で、努力しながらも空回りしていたり、人事異動とともに取り組みがトーンダウンしてしまったりする学校(変わらない学校)も少なくない。

このように書かれた記事を見て、本当にそうだなあ、と感じた私。

御校はいかがでしょうか。

 

記事は続きます。

両者の違いは、どこにあるのか。

これは学校の組織マネジメントの基本といってもよいのだが、大きく3点に整理できる(詳しくは、拙著『変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道』もご覧いただきたい)。3つとは、(1)到達目標(2)プロセス(3)チーム・ネットワークだ。

具体的な内容はぜひとも記事本文をご覧いただきたいのですが、

この3つがカギになるという点、私も同感です。

 

そして、このことは私に限らず、多くの方にご同意いただけるものと思います。

 

まずは目標を設定すること。

こうなりたい、ここにたどり着きたいという明確なものがなければ、

そこに向かうことはできません。

 

そして、目標に向かうための方法を考え、実践すること。

やろうと思ってもやらなければいつまで経ってもその場所には到達しませんよね。

 

さらに、実行する過程においては、自分だけでなく組織のメンバーが

その目標を共有し、役割を分担したり、時には全員が力を合わせたりしながら、

目標を達成する。

 

こうやって見てみれば至極当然のこと。

ですが、学校経営においてはそもそも第一の

「到達目標」すら明らかになっていないことも多いものです。

ぜひ御校の経営をふりかえってみていただければと思います。

 

記事は最後、このように締められています。

これが記事中で私が最も共感した箇所です。

学校は、なぜか、個々の授業や行事で実践できていることが、組織運営となると、とたんに弱くなる。皆さんもぜひ、ご自身の学校づくりや学校運営について、この3つの視点で点検し直してみてほしい。

学校を「集団」ではなく、「組織」として機能させていきましょう。

 

(文責:吉田)

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インターネット教育に関する実態調査

中高生がスマートフォン等を通じて日常的にインターネットを利用していることがすっかり当たり前の時代になりました。

いわゆる「デジタルネイティブ世代」ですね。

自分の学生時代にもスマートフォンがあればもっと便利で楽しかったのかなあ、などと思いつつも、様々なトラブルやネット依存などの問題が取り上げられることも多いことことから、利便性の向上が必ずしも心の豊かさに繋がるという訳ではないような気もします。

インターネットのように便利さの裏に危険が潜むようなものを利用する場合には一定のリテラシーが必要になり、多くの中学校や高校においてはインターネットに関する教育が行われていると思いますが、株式会社日本レジストリサービスが中学校と高校の生徒および教諭を対象に実施した「インターネット教育に関する実態調査」の結果を見ると、その内容や成果は十分とは言えないようです。

 

https://jprs.co.jp/press/2017/170620.pdf

 

調査結果の概要は以下のとおりです。

(1)生徒の URL ついてに対する意識について

インターネット利用時に、URL を意識しない生徒は約 7 割


インターネット上に数限りなく存在する Web サイト。そこでは「URL(Uniform ResourceLocator)」と呼ばれるインターネット上の住所(文字列)が重要な役割を果たします。しかし、スマートフォンでインターネットに触れることが大半の中学生・高校生にとって、URL への意識が薄れつつあることが分かりました。生徒に対し、「インターネットを利用する際に URL を意識するか」と聞いたところ、“スマートフォンや携帯電話の利用時”は 75.5%が意識せず、“デスクトップパソコン・ノートパソコンの利用時”でも 69.8%が意識していないことが明らかになりました。また、「URL の.jp が日本を表すことを知っているか」との問いには「知らなかった」と回答した生徒は41.5%に達しました。このような結果となった要因としては、スマートフォンなどのブラウザーでは URL が非表示になるなど、意識する機会が失われていることなどが考えられます。

 

(2)インターネットの仕組みの授業について

ドメイン名を授業で教えていない教諭が 3 割超


教諭に対する調査では、「情報教育」に対する課題を抱えている教諭が少なからず存在することも分かりました。中学校・高校で「情報教育」を担当する教諭 400 名へのアンケートでは、教諭の 35.6%がメールアドレスやWeb サイトの URL を構成する「ドメイン名は授業で教えていない」と回答し、また、18.5%は「インターネットの仕組みを教えていない」とも回答しました。

 

(3)「情報教育」に関する教材について

教材に満足していな教諭が約 4 割

 

過去 5 年以内に情報教育の授業を担当したことがある教諭に、授業で使用する教材への満足度について聞いたところ、36.8%が「満足していない」と回答しています。学校種別で見ると、「教材に満足してしない」と回答した割合は“高校の教諭”が 31.5%であったのに対し、“中学校の教諭”は 42.0%と 10.5 ポイント高く、より初歩的な内容を教える中学校での情報教育に使用する教材が不足しているという実態が明らかになりました。

 

(4)「情報教育」担当教諭の授業への自信について
「自信を持って教えられている」教諭は 4 割以下

 

別の質問では、情報教育を担当している教諭の抱える不安も見えてきました。調査時点で「情報教育」を担当している教諭 276 名に対し、「授業を行うにあたり、自信を持って授業を行えているか」を聞いたところ、「自信を持って教えられている」と回答した教諭はわずか 38.4%という結果となりました。これは、「情報教育」が中学校では技術・家庭科の一科目、高校では「情報科」として必修教科となっているにもかかわらず、専任ではない教諭が担当することが多く、前述の通り情報教育の教材が不足していることが一つの要因だと考えられます。

 

私の長女は高校生でスマホを持っていますが、例えばスマホの操作方法やSNS等については私なんかよりも圧倒的によく知っており、そのようなことについて私は長女に教えてもらってばかりなのですが、ネットリテラシーが高いかと言えばそうではありません。

おそらく、スマホを使いこなしている中高生の多くがそのような状態なのではないでしょうか。

 

そこでインターネット教育が重要になってくるわけですが、4割程度の教諭が授業に自信を持てておらず、適切な教材が不足しているとのことです。

時代の急激な変化とともに学校で教えておくことが望ましいと思われることの範囲は広がる一方ですが、インターネットについては今や日常生活で欠かすことのできないものとなっていますので、まずは教える側の体制を早急に整えることが望まれます。

 

(文責:木村)

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平成28年度地方教育費調査の中間報告について

先日、地方教育費に関する調査結果が公表されました。

現段階では中間報告ですが、大まかな傾向はここで知ることができます。

  

平成28年度地方教育費調査の中間報告について:文部科学省

 

地方教育費にはその内訳として「学校教育費」「社会教育費」「教育行政費」の3種類がありますが、このうち「学校教育費」について見ておくことにしましょう。

ちなみに、「学校教育費」の定義は以下の通りです。 

地方公共団体が公立の幼稚園,小学校,中学校,特別支援学校,高等学校(全日制・定時制通信制課程),中等教育学校専修学校各種学校及び高等専門学校における学校教育活動のために支出した経費

お分かりの通り、公立学校の数値、ということですね。

ですが、私の勝手な感想としては、この数値、

私学においても参考になる傾向が見て取れる、というのが

今回採り上げた理由です。

 

 

 

まずは総額の傾向から。

平成27年度に支出された学校教育費は,13兆6,263億円。前年度と比べて1,151億円(0.9%)増加した。

子どもの数が減っている中、金額は増加しています。

そしてここにはこんな注釈も付いていました。

※ 今回調査より「幼保連携型認定こども園」が調査対象に追加された。幼保連携型認定こども園の学校教育費は551億円であり,また,幼稚園は2,079億円(前年度比9.6%減少)となった。これは主に,一定数の幼稚園が幼保連携型認定こども園に移行したことによるもの。
また,幼稚園及び幼保連携型認定こども園を除いた全校種の学校教育費は,13兆3,633億円(前年度比0.6%増加)であり,幼保連携型認定こども園に係る影響を除いてもなお学校教育費は増加した結果と言える。

なるほど、認定こども園の影響ではなく、純粋に増加した、

ということなんですね。

 

ではその原因は何なんでしょうか。その答えも書かれていました。

学校教育費を財源別に見ると,地方債を財源とする学校教育費支出の額は過去最高となっている。これは主に,教職員の退職手当に係る地方債の起債が増加したためと考えられる。

 

 学校教育費を支出項目別に見ると,消費的支出(人件費,教育活動費など,経常的に支出される経費)は,前年度と比べて1,588億円(1.5%)増加した。

一方,資本的支出(建築費,設備・備品費など,将来に残るもの(資本の形成)に対する支出)は,前年度から689億円(3.8%)減少した。資本的支出の減少は4年ぶり。

いかがでしょうか。

こうやって見てみると、施設等への投資が減少している一方で、

退職金がかさんでいることが推測されます。

 

ということで、人件費について分析した以下の記述も見ておきましょう。 

■ 学校教育費のうち最大の割合(69.1%)を占める人件費の状況を見ると,前年度と比べて297億円(0.3%)増加した(ただし,これは幼保連携型認定こども園が調査対象に追加された影響が大きい)。
■ 学校種別に見た場合,小学校は前年度比154億円(0.4%)減少,中学校は同30億円(0.1%)増加,高等学校(全日制)は同5億円増加でほぼ横ばいと,いずれも大きな変動はない。
■ 各学校種の退職手当の状況を見ても,前年度から大きな変動はないが,近年の教員の大量退職を背景として,依然高水準で推移している。

人件費総額としてはそれほど増えていないようですね。

とすると、先ほどの記述と併せ考えた場合、

「教育活動に使われるお金」が増加している

ということが言えそうです。

事実、統計を確認してみますと、

教育活動費:平成27年度 3,236億円⇒平成28年度 3,506億円(8.3%増)

補助活動費:同 5,548億円⇒6,599億円(18.9%増)

となっており、確かにそのような傾向がみられます。

 

ちなみに、資本的支出(投資)の減少についてもこんなコメントがなされています。

4年ぶりに資本的支出が減少したのは,建築費の減少が原因。建築費は前年度と比べて555億円(3.6%)減少した。
これは特に,小・中学校における建築費減少によるもの(小学校は前年度比3.6%減、中学校は同5.2%減)。公立学校施設の耐震化完了目標(平成27年度)を迎え,公立小・中学校の耐震化率が同年度終了時に98.1%に達するなど多くの地域で一定の目処に至ったため,支出額は減少したものと考えられる。
■ しかし,依然として高等学校では建築費支出が増加している(前年度比5.3%増)ことや,小・中学校でも急激な減少にはなっていないことから,引き続き学校施設等の耐震化や老朽化に向けた取組は進んでいることがうかがえる。

公立校は耐震化について概ね完了、といった状況のようです。

 

さて私学。

退職金の増加、教育関連費用の増加、耐震化の進捗…

御校でも気になる話題がここに現れているのではないでしょうか。

公立校が公費でこれらのことを着実に進める中で、

私学は自らの力で何とかしていかねばなりません。

経営のご苦労はいかばかりか、と思いつつ、

その経営の責務を担っていただき、将来にわたって

御校の存在感がますます大きくなることを願っております。

 

(文責:吉田)

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平成29年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果より

文部科学省が平成29年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果を発表しました。

 

 

平成29年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果:文部科学省

 

この調査では、運動部部活について所管の学校に対して休養日等の基準を設定している教育委員会の数を調べており、結果は以下のようになっています。

  • 都道府県:87.2%
  • 政令市 :70.0%
  • 市区町村:41.9%

都道府県や政令市と比較すると、市区町村の教育委員会の数値が極めて低くなっていますね。

教員の長時間労働が常態化していることは様々な調査結果からも明らかになってきており、その要因の一つには部活動が挙げられています。

それにも関わらず半数以上の市区町村の教育委員会が部活動の休養日を設定していないというのは取り組みが不十分であるとしか思えないのですが、何か特別な事情があるのでしょうか・・・。

 

私学のようにそれぞれの学校独自の取り組みも大切ですが、抜本的な是正を図るという観点では、まずは教育委員会がしっかりと方向性を示すことが必要ではないかと思います。

 

教員の多忙解消、生徒の過度な負担の解消という点で、部活動の休養日の設定は早急に進めていただきたいと思います。

 

(文責:木村)

大阪府・本社移転企業調査より

東京(首都圏)一極集中は加速するばかりで、それ以外の多くの地域は人口減少に歯止めがかからない状況です。

 

地方創生は一体どうなっているのでしょうか・・・

 

残念ながら、弊社が立地する大阪も東京から見れば所詮はただの地方都市です。

そんな地方都市大阪の状況を物語るデータを帝国データバンクが公表しています。

 

www.tdb.co.jp

 

調査結果を見てみましょう。

 

  1. 2007 年~2016 年に大阪府へ転入した企業は 1,502 社、大阪府から転出した企業は 2,308 社で、10 年間で 806 社の転出超過となった。転出超過は 1982 年以降 35 年連続
  2. 2016 年の大阪府への転入件数は 157 件。転入した企業の転入元は「兵庫県」が 75 件で最多。大阪府からの転出件数は 210 件。転出先は「東京都」が 66 件で最多
  3. 2016 年に大阪府へ転入した企業では「サービス業」が 48 社(構成比 30.6%)で最多。転出した企業も「サービス業」が 66 社(31.4%)で最多となっている。

 

なお、この調査での本社移転には、本社機能のみの移転も含まれています。

35年連続の転出超過、10年間で806社の転出超過ということで、その数の多さに驚いてしまうのですが、転出した企業の転出先の約3割が東京とのことです。

 

会社が大阪から東京へ転出するということは、当然、その会社に在籍する社員も会社とともに東京へ引っ越さなければいけません。

 

つまり、働き盛りの20代~50代が東京へ行ってしまうわけです。

 

働き盛りと言えば、ちょうど子育て世代にも該当します

ただでさえ少子化の加速により子どもの数が減少しているところに、毎年一定数の子育て世代が東京へと引っ越してしまう(単身赴任かもしれませんが)という、大阪府にとってはまさに二重苦が発生しているということになります。

実際に、大阪府では30歳~39歳を中心とした中堅世代の首都圏への人口転出が顕著になっているというデータもあります。

 

今後も大阪の企業の首都圏への転出が続くようなことがあれば、ますます人口減少が進むことも予想され、関西圏の私学の生徒募集はより厳しい局面を迎えることになってしまいます。

依然として苦しい状況に置かれ続けている大阪ですが、何とか状況が好転することを願うばかりです。

 

(文責:木村)

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メンタルヘルスへの配慮

乳児期あるいは幼児期における保育、教育。

現代においては様々な観点からその必要性が大きくなっています。

そんな中で、ちょっと気になる記事を見つけました。

日本経済新聞より。

 

保育所の半数超、メンタル支援なし 厚労省研究班が調査 :日本経済新聞

 

保育所の半数超で保育士のメンタルヘルスを巡るサポート体制が整っていないことが18日、厚生労働省研究班の調査で分かった。特に民営の保育所で未整備が目立った。待機児童対策では保育士の人材難や離職が問題化しており、研究班は「サポート体制整備や、業務の負担軽減策が必要」と指摘している。

学校と同じくらい、場合によってはそれ以上に激務が続く、保育所

体力面はもちろんのこと、精神的にも厳しい環境の中で

保育士さんは頑張り続けていらっしゃいます。

ところが、その健康面への配慮は必ずしも十分でない、

そんな記事の内容です。

 

 研究班は今年2~3月、全国の保育所1万650施設に郵送で調査を依頼し、ウェブ上で2672施設(回答率25.1%)が答えた。

 その結果、2016年度にメンタルヘルスケアが必要だったり、実際に治療を受けたりした保育士が1人以上いた保育所は719施設(26.9%)で、保育士が強い精神的負担を抱えている現状が分かった。

 ただ相談支援やストレスチェックなどのサポート体制が「ある」と答えたのは1084施設(40.6%)で、「ない」(1540施設、57.6%)を下回った。体制がない施設のうち「作りたい」との回答が半数超の875施設だった。

なるほど、健康被害が発生していながらも、

それを改善あるいは解消するためのしくみが大幅に不足していることが分かります。

私自身も保育所の経営に携わらせていただいていますが、

上記サポート体制の必要性は理解できても、そこに回せるお金があるか、

と問われると途端に答えに窮します。

しかし、学校も幼稚園も保育所も、携わる先生方が元気でなければ、

本当の意味での質の高い教育・保育は実現しません。

私自身、肝に銘じなくてはなりません。

 

記事はこう続きます。 

 施設の運営形態などでみると、公設公営の認可保育所は77.4%でサポート体制が整っていたが、社会福祉法人や株式会社など民営の認可保育所は25.3~37.1%と低迷した。

ここにも私立の厳しさが見て取れます。

 

ストレスチェックが義務化されたのが一昨年。

ですが、その対象はあくまでも従業員50人以上の企業に限られます。

正直なところ、ストレスチェックでどのくらいのケースが救われるのかについても

疑問がないわけでなありませんが、それでも何もしないよりは可能性が広がります。

 

この記事には、業務効率化への指摘も同時になされています。

確かに、保育所の現場においてはICT活用が遅れている印象もあります。

日常の保育そのものの負荷を軽減しながら、

一方で健康管理のしくみを整えていくことが

幼少期の保育・教育環境を改善するために必須と言えそうです。

 

(文責:吉田)

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