寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

中学生のインターネットの利用状況と依存傾向に関する調査より

いまや中学生がスマートフォンを持っていることは全く珍しいことではなくなりました。自分の中学生時代にもスマホがあったらさぞかし便利だっただろうなあと羨ましく思う反面、様々な危険と隣り合わせにいることは皆さんご存知のとおりです。

 

総務省情報通信政策研究所が実施した「中学生のインターネットの利用状況と依存傾向に関する調査」によると、現在の中学生のネット利用の特徴として以下が挙げられています。

 

http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2016/20160630_01.pdf

 

  • 機器別にみたネット利用時間は、スマートフォン(125.7分)が他の機器(パソコン、ガラケータブレット端末)と比べて最も長い
  • ネット利用のメリットとして、「ネットでわからないことをすぐに調べられるので、時間を効率的に使えるようになった」(76.1%)が最も多く、次いで「いろいろな情報を収集できるので知識が増えた」(55.8%)、「今まで知らなかったことでも簡単に調べられるので世界が広がった」(52.8%)が多い。
  • ネット利用により減少した時間は「睡眠時間」(-23.3分)が最も長く、次いで「テレビを見る時間」(-8.6分)が長い。
  • 全体の80.8%がソーシャルメディアを利用している。
  • ソーシャルメディアでよくやり取りするのは、「同じ学校の友だち」(24.7人)が最も多く、次いで「ソーシャルメディア上だけでよくやり取りし、実際には会ったことのない友だち」(18.6人)が多い。

 

中学生のインターネット利用は今や当たり前のことになっていますね。

私の長男も中学生でスマホを持たせています。使用する時間は決めてはいるものの、暇さえあればスマホをいじっています。親としては変なトラブルに巻き込まれないかが心配ということもあって注意を促すこともありますが、私なんかよりもスマホの扱いにはよっぽど精通しており、それが腹立たしいやら関心するやら・・・といった複雑な感じです。

 

電車など公共の場で周囲を見渡せばほとんどの人がスマホをいじっているのを見てもわかるように、知らないうちにスマホ依存になってしまっている人は相当多いのではないでしょうか。

当然、依存状態になってしまっている中学生もそれなりにいるようです。

 

  • ネット依存傾向「高」の割合は5.7%
  • 依存傾向「高」の中学生は、ネット利用によるメリットを享受していると認識している割合が高い。
  • 依存傾向「高」の中学生は、ソーシャルメディア上だけでやり取りする相手が多い。しかしその反面、ソーシャルメディアを利用する際に悩みや負担を感じる割合が高い。
  • 依存傾向「高」の中学生は、ネットを使い始める前に比べて、睡眠時間や家族と話をする時間が減少し、ネットのしすぎが原因で様々な生活への影響を経験している。

 

ここで気になるのは、高い依存状態にある中学生は睡眠時間や家族との時間を削ってしまっていることです。成長段階にある中学生にとって、どちらも本人にとって悪影響であることは言うまでもありませんね。

中学生のネット利用については、学校で生徒に対して啓蒙活動を行う必要はあると思いますが、やはりまずは保護者がしっかりとコントロールすべき問題だろうと思います。ただ、残念ながら全ての保護者がそこに向き合ってくれるとは限りません。

学校での学習にしっかりと取り組むには、やはり家庭の協力が不可欠であることは言うまでもありません。

中学生に限らず、このような問題については、学校と家庭がしっかりと連携して取り組むことができれば望ましいと感じつつ、我が家でも気を付けなければいけないと再認識されられます。

 

(文責:木村)

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幼稚園・保育園の管理職って?

「てぃ先生」のこと、ご存知でしょうか。

Twitterでフォロー数が40万人を超える、男性の人気保育士さんです。

私がてぃ先生を知ったのはこの記事です。

 

www.asahi.com

 

男性保育士さんとしてのご苦労はきっと多いんだろうな、

と思っていたのですが、このてぃ先生の場合、

ご自身の信念やビジョンがそれをはるかに上回っている、

そんな印象を持つインタビュー内容です。

最近も、男性保育士に娘のおむつ替えをしてほしくないという保護者の声を巡って議論が起き、ツイッターでは「男性保育士の存在を否定された」と嘆く声が寄せられた。自身も、園児の母親に「娘をひざに乗せないで」と言われたこともあったが、「存在を否定されたなんて感じない」という。「なんでこだわるのかな。女児のおむつ替えだけが保育士の仕事じゃないのに」と不思議だ。一方で、「親が不安に思うなら、解消できるようにするのが園の努め」と考える。

保育園は、保護者が安心して預けられないと意味がないと考える。プロの保育士として「専門性をもって子どもを伸ばす」ことを心がける。「子どもが中学や高校に入って夢ができた時に、何にだってなれると思える素地をつくりたい」

少し前まで「保母さん」と呼ばれていたこの仕事。「だから、男性保育士が当たり前になるまで時間がかかるはず。どんな仕事をして信頼を得るか。それが、男性保育士の未来につながる」とみる。

言うは易く、行うは難し。

ですが、さらりと言ってのけるてぃ先生、素敵ですね。

 

この記事で興味を持った私は、以前のインタビュー記事も見つけました。

ちょうど1年ほど前の記事です。

wotopi.jp

 

私自身、保育現場の経験はありませんので、

先ほどのインタビュー内容はふむふむと読むしかなかったのですが、

こちらのほうは私にもよく理解できる内容でした。

一部をご紹介しましょう。

――保育士さんは、前編で話した低賃金や待遇の問題から、離職率が相当高いと聞きます。実際に働いていて退職者が多いと感じることはありますか?

てぃ先生:やはり女性は結婚や出産をすると、辞める方が多いです。資格の強みとして、いったん辞めても子育てが落ち着いたら戻ってこられる、というのがあるので。そのほかの場合だと、低賃金というよりも人間関係が原因で辞めていく方が多いと思います。「同僚とウマが合わない」とか「園長先生や主任の先生と合わない」とか、そもそも「園の方針と合わない」とか。

正直、園に入るときって、書面に書かれている条件だけでは園の雰囲気はわからないんです。保育園は園の方針によって、子供との接し方が大きく変わり、たとえば子供が悪いことをしたら、「壁に向かって2分間ジッと立っていなさい」などと言うところもあります。働いてみて初めて実情を知り、自分と教育方針が合わないストレスを理由に辞める人は少なくないですね。

 

人間関係によるストレスや退職騒動は、私も日常的に耳にしています。 

園の方針と合わないというのは修復が難しいですが、

先生同士、あるいは年代ごとの意識ギャップなどが

大きなストレスを生んでいることについては、

何とかできるのではないかと改善を試みることもしばしば。

結果、職場環境そのものが改善されることも結構多いように思います。

 

てぃ先生も、インタビューでこんなふうにおっしゃってます。

 

――保育士として働いているなかで感じる保育園の問題点は、どんなところでしょうか?

てぃ先生:僕が保育士として勤めているなかで感じるのは、圧倒的に30歳前後の保育士が少ないということです。大体20代後半から30歳くらいまでの間に結婚して退職し、戻ってくるのは40歳前後とか。

そうすると、若い保育士とベテランの保育士の間にギャップが生まれてしまうんですよね。若い保育士は、園の方針に疑問を持ちながらガマンしてやっているのに対し、ベテランの保育士は文句を言いながらも保身的なので、園の方針に従っている。本来なら、その間の保育士が中間管理職の役割を果たして、両者をうまくまとめてくれるものだと思うんですが、そこがいないので人間関係がギクシャクしやすいような気がしています

 

この問題意識、私もずっと感じていたところです。 

どんな組織であれ、意識ギャップは避けられないのですが、

その間に立って潤滑油として活動する立場の方=中間管理職が

それを緩和することは十分可能です。

特に、保育園や幼稚園など、女性が多い職場においては

このような立場の方が非常に重要なのではないか、

と日々のかかわりの中で強く感じています。

 

てぃ先生は「中間管理職がいないので」とおっしゃっていますが、

一般企業のような部長、課長職がいない代わりに、

園には教頭、主任、リーダーといった立場の方はいらっしゃいますよね。

こういう方々が園における中間管理職、と言っていいのでは、

と私自身は感じています。

 

そして、園の雰囲気を作っていく、変えていくのはやはり

園長、そして管理職、中間管理職の皆さんではないでしょうか。

現場の業務はもちろん大切ですが、

幼稚園・保育園の将来を見据えた活動、すなわち

「経営を続けていく」という大きな命題に向かって、

ご自身の時間と労力をふり向けていただきたいと願っています。

 

 

ちなみに、中間管理職としてどんな研鑽を積めばいいのか、

という点についてはあまり語られることがありません。

一般企業であれば、上司の動きなどから学べるところはありますが、

幼稚園や保育園は規模の面で管理職を多く有することができないケースも

非常に多くあり、背中を見て学ぶことにも限界があるように思います。

 

そこで、弊社ではこんなセミナーを企画しました。

www.ysmc.co.jp

 

幼稚園の管理職は現場にかなり近いところでお仕事をされるケースが多く、

管理職としての役割はともすると二の次になってしまいがちです。

一方で、現場教職員からはいろんな突き上げや要望が寄せられ、

非常に窮屈な立場に立たされることも多いように思います。

このセミナーでは人間関係を中心に、

リーダー職にある方がその役割をどのようにこなしていくことがよいのか、

についてご一緒に考えたいと思っています。

 

管理職としての自分磨き、

このセミナーでそのヒントを見つけていただければと思います。

 

(文責:吉田)

大阪府私立高校への進学事情

皆さんご存知の通り、大阪府では平成23年度から私立高校の授業料無償化制度(私立高等学校等授業料支援補助金)を実施しています。

この制度により、世帯の所得に関わらず子ども自らの希望や能力に応じて自由に学校を選択できる機会が保証されるようになりました。

 

私の長女も今春、第一志望の大阪府立の高校に入学しましたが、万一公立高校が不合格となり併願先の私立高校に進学することになったとしても、この制度があることで学費面での大きな心配はなかったことを考えると、保護者にとっては大変ありがたい制度です。

 

この無償化制度の効果検証の一環として、大阪府教育庁私学課が私立高校生の保護者を対象として高校選択に関する満足度調査を行い、結果を公表していますので、本日はその結果の一部をご紹介いたします。

 

大阪府/報道発表資料/平成28年度私立高校入学生の保護者を対象とした高校選択満足度調査の結果について

 

まず、「授業料無償化制度(授業料支援補助金)があったから、私立高校への進学を選択しましたか。」の問いに対して、年収590万円未満世帯は77.2%、年収800万円未満世帯は72.7%が「はい」と回答しており、当該制度が私立高校に進学する大きな動機となっていることがわかります。

 

また、「入学された私立高校はお子様の第一志望でしたか。」の問いに対しては、63.6%が「第一志望であり専願で受験した」と回答しています。

 

これらについては、私学にとっては少子化にも関わらず生徒募集の点では追い風になっており、大阪府下の私立高校進学率が40%程度で推移していることを見ても明らかです。

 

次に、入学した私立高校を選んだ理由の上位は以下のようになっています。

 

  1. 進学指導に実績があること
  2. 基礎学力が身に付く教育を行っていること
  3. 希望する学科やコースがあること
  4. 自宅からの通学の便がよいこと
  5. 公立高校にはみられない独自の建学の精神があること

 

つまり、これらが私立高校に対する保護者の主なニーズとも言える項目です。やはり、学校で子どもの学力を伸ばしてもらって、それなりの大学へ進学させたいというニーズが強いようですね。

 

いくら当該制度により追い風の状況にあったとしても、やはり学校自体に魅力がなければ生徒や保護者からは選んでもらえません。

保護者や生徒のニーズをしっかりと拾いながら、それらを自校の特色として反映させて広くアピールすることができるかが今後ますます重要になるのではないでしょうか。

 

 

(文責:木村)

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家庭教育と親子関係に関する調査研究より

日本教材文化研究財団が「家庭教育と親子関係に関する調査研究」の報告書を公表しました。

 

http://www.jfecr.or.jp/cms/zaidan/publication/pub-data/chosa/chosa63.pdf

 

かなりボリュームのある資料ですので全てに目を通すのは難しいですが、「学力低下」や「学習離れ」は家庭に課題があると考える教職員が8割以上にのぼることがこの調査から明らかになっています。

 

resemom.jp

 

 

調査によると、教職員へのしつけ等の家庭教育に対する考えについて、次のような傾向を読みとる事ができるとまとめています。

 

  1. 教職員は家庭や地域においてしつけ等の教育が十分に行われていないと認識している。
  2. 学校においては、多くの教職員がしつけ等の教育を学校では行っているという自負がある。
  3. 問題行動(非行・暴力)や社会不適応については、しつけ等の家庭・地域による教育だけが要因ではないだろうとする慎重な見方を教職員は有している。
  4. 学力低下や学習離れについては、多くの教職員は家庭環境の影響が大きいと認識している。

 

また、次のようにも記載されています。

 

教職員はしつけ等の教育は家庭や地域が行っていくのが当然であり、教職員としては本務としての教育活動を執り行っていくことに集中したいという気持ちが強いことがうかがえる。また、学校でのしつけは十分行われているという認識があり、学力低下や学習離れの要因は家庭でのしつけに起因していると思う教職員が非常に多い。しかし、社会不適応や課題行動に
ついては、家庭教育の不足を要因とする教職員と要因としない教職員がほぼ拮抗しており、一概に家庭にのみ責任を負わせる事に課題を感じている教職員も多いことがわかる。

 

確かに、教員の方々からすれば、最低限のしつけは家庭で行ってもらいたいと考えるのが当然でしょうし、私もそのように思います。

 

特に、近年は共働き世帯も増加しており、これまでと比較すると家庭での子どもへの関与が減少していることも考えられます。

 

このような難しい状況の中では、学校が家庭や地域としっかり連携を取りながら活動を進めることができるかが今後の大きな課題といえそうです。

ただ、学校への積極的な関与を拒む保護者も増加しているようですから、学校としてはじっくりと時間をかけながら家庭への理解と協力を求め続けることが必要なのかもしれませんね。

 

 

(文責:木村)

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脱・「事務屋」

学校法人清教学園さんは大阪府河内長野市の学校法人さん。

学校種として認定こども園・中学校・高等学校を持っていらっしゃいます。

 

特筆すべきは高等学校法人としては国内でも先頭を走っているであろう、先進的な教育環境整備。

「ラーニングコモンズ」の素晴らしさはもちろんですが、個々の生徒の学習履歴を記録しながらデータベース化する「e-ポートフォリオ」システムは、今後展開されるであろう多様な学習内容をもしっかりフォローする、非常に優れたシステムとして各方面から注目を集めておられます。

 

私自身、清教学園さんとのお付き合いはすでに10年を超えていますが、いつも感じるのは「挨拶」の良さです。

教職員さんはもちろんのこと、生徒さんの挨拶が自然に出てくるのが清教学園。

挨拶が学校のブランド力を向上させていることを確信できる、数少ない学校だと思います。

 

そんな清教学園さんには、弊社情報誌の新連載、「教えて!事務長先生」の記念すべき第1回にご登場いただきました。

全文はこちらからご覧ください↓

学校経営情報2017年4月号発行のお知らせ

 

インタビューにお答えくださったのは法人事務局長・植野公稔さん。

ご自身も清教学園卒業生(卒業後は東京大学へ進学)でいらっしゃいますので、インタビューの端々に母校愛を感じます。

一方で、学校事務を担当する立場として、とても大切なことをおっしゃってくださっています。

 

事務職員全体として単なる「事務屋」になってはいけないということを常に意識していますね。職員に対しては「教育機関としてのあるべき姿を仕事の中で具現化する」ということへの意識付けが行なえるよう心掛けています。全ての職員がいわば総合職のような広い視野を持って、しかも教育内容にも目利きができるような見識を持って業務を行えるようになることが目標ですね。それぞれの職員には担当する業務がありますが、全ての仕事は生徒達の成長・将来の夢の実現に繋がっています。そのことに対してどのように貢献することができるかを各職員が常に意識しながら仕事できるかがポイントですね。

 

目の前の仕事に没頭してしまう…そんな事務職員ではいけないんだ、ということを力強い言葉にしていただいたように感じます。

事務職員も教育内容に意識を持たねば!

そんな意気込みのある学校、本当に素敵ですよね。

 

もうひとつ、インタビューの中で、私が清教学園さんについて強く感じている点が出てきましたのでそちらも引用させていただきます。

 

実際、管理職を中心に教職員が知恵を寄せ合いながら「組織で運営する」という学園体制が目指されています。私も含めて、管理職は本来の管轄ではない部署の教職員とも積極的に意思疎通を図っていて、全員で共に学園を運営していけるような仕組みになるよう努めています。

 

清教学園さんに私が当初関わり始めた頃、こんな提案をさせていただきました。

 

『ドイツの社会学者として著名なマックス・ウェーバーは、

 歴史上の政権を分析して、次のことに気づいたと言われています。

 すなわち、歴史的に政権の拠り所は3種類しかなく、

 それは「カリスマ」に頼るか、

 「世襲」に頼るか、

 もしくは「組織の力」に頼るか、であると。

 そして、カリスマや世襲は終わりのある政権となるが、

 「組織の力」だけは唯一永続できる政権になる、と。

 

 今こそ組織の力を養うべきときです。

 「経営者」ではなく「経営チーム」で事にあたるために、

 ぜひ事業計画を作ってください。』

 

そして、真っ先にその取組を始めていただいたのが他ならぬ清教学園さんです。

あれから10年余。

着実に「組織の力」を養ってこられたことに心から敬意を表しております。

 

事務室は学校事務だけで完結してはならない。

組織全体、学校全体の活動を見据え、何より生徒たちのため、自分たちに何ができるのか考えながら行動する。

ひいてはその力が組織全体の力へと発展する…

 

来月5月号も清教学園さんへのインタビュー後編を掲載予定です。

どうぞご期待ください。

 

(文責:吉田)

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時間割の工夫

東京都江東区は5日、区立小学校4年生の担任教諭の男性(35)が、昨年度実施した副教材のテスト72回(国語、算数、社会、理科)のうち、49回分を児童に返却していなかったと発表した。うち41回分は採点もしていなかった。教諭は「忙しくて採点を後回しにした」と話しているという。

 テストは保護者が費用を負担して購入したワークテスト。区教育委員会は、テストの成績が通知表に適切に反映されていなかったとして、児童や保護者に謝罪することを決め、新たに通知表を渡すという。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

小学校で起こった非常に残念なニュースですが、当該教諭の「忙しくて・・・」という証言を信用するならば、やはり教員には相当な負担が掛かっているということが言えそうです。

 

そんな残念なニュースがある一方、福岡県の小学校では時間割を工夫することで少しでも教員の労働にゆとりを増やす試みが行われています。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

午前中の授業を4時限から5時限に増やす小学校が増えている。福岡市では2016年度までに約2割が実施しており、新学期から少なくとも4校が導入。福岡県うきは市でも取り入れる学校がある。各時限の合間の休み時間を一部ゼロにし、登校時刻も前倒しして児童と教員に放課後のゆとりを生み出す。2020年度の新学習指導要領に伴う授業時間増にも備える。

「先生たちの働き方改革なんです」。本年度から午前中5時限にする愛宕浜小(福岡市西区)。森宏介校長(59)は打ち明ける。

 小学校は1時限(1こま)が45分間。毎朝午前8時半から読書などに充てていた「朝タイム」を「朝の会」に改め、10分前倒し。合間の休み時間(昼休みなどを除く)も0~5分にする。「実際はトイレ休憩や体育の着替えの時間を随時取ることになる」(森校長)見通しだが、6時限まである日の下校時刻は25分早まる計算だ。

 授業自体は勤務時間内に終えても、その準備や保護者対応で残業が常態化している教員たち。森校長は「わずかでも勤務時間内に教材に目を通す時間を増やしたかった」と狙いを語る。

 

教員の長時間労働は大きな問題になっており、改善は待ったなしの状況です。そのような状況の中で、時間割の組み方を工夫することにより少しでも状況が改善されるのであればとても素晴らしいことだと思います。

 

長年放置(黙認)され続けてきた問題の改善に着手する場合、「そんなのどうせ改善できないに決まってるよ・・・」とか「もし失敗して状況がより酷くなったり混乱したらどうするんだ」という意見が出がちですが、やってみないことには結果はわかりません。また、たとえ想定していたような良い結果に繋がらなかったとしても、何もせずに状況が変わらないことに比べればよっぽど得るものは大きいのではないかと思います。

 

教員の長時間労働の改善に向けて、福岡県の小学校の取り組みが良い結果に繋がることを願うのはもちろんですが、これまでの学校の慣例や常識にとらわれないような改善策がどんどん現場から生まれてくることを強く願っております。

 

(文責:木村)

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病院、手探りの働き方改革

人間誰しもが関わるのが「教育」と「医療」。

学校をはじめ、教育産業でも喫緊の課題である働き方改革ですが、医療分野でもそんな悩みが大きいようです。

 

日本経済新聞より。

 

病院、手探りの働き方改革 医療の質と両立に苦慮|健康・医療|NIKKEI STYLE

 

医療従事者にも働き方改革の波が押し寄せている。「時間外」としてきた当直などが労働時間と判断され、夜勤委託や残業規制の動きが広がる。時短勤務で働き手を増やす病院もある一方、「厳しい規制は医療崩壊につながる」との懸念も。医療現場は医療の質との両立に苦慮している。

 

これが記事冒頭の文章です。

学校との共通点を強く感じずにはいられません。

 

記事中には大阪府吹田市の病院の実例が掲載されています。

ある女性看護師さんは2人の子どもを抱え、長時間労働が難しいところ、週3日、1日6時間勤務に従事。病院独自の制度として「週1回、1日2時間」の短時間から働けるしくみを整えていらっしゃるそうです。

制度を提案した看護部長のコメントが印象的です。

高齢化で患者が増えるなど病院は昔よりも忙しい。

 1人でも、1時間でも働いてくれることが有り難い」。

そして院長も

「多様な働き方を認めなければ人が集まらない」。

この制度によって、日中の人手が増え、夜間に手厚く看護師を配置できるようになり、医療の質も向上した、といいます。

 

 医療現場は“外圧”でも働き方改革を迫られている。その一つは「医師の当直は労働時間」と判断した2013年の最高裁判決だ。

 訴訟では県立奈良病院(現在は奈良県総合医療センター)の産科医が当直に対する割増賃金の支払いを求めて提訴。同病院は当直を「軽度な業務」として労基署に届け出て労働時間に含めていなかった。

 だが一審・奈良地裁、二審・大阪高裁はいずれも「当直時間の4分の1は労働している」「待機時間も呼び出しに応じる義務がある」などとして当直を労働時間と認定。県は上告したが最高裁が退けた。 

 

この判決を受けて、当直を労働時間とした事例もこの記事に掲載されています。

その一方で、「サービス面で従来とは異なる対応を取らざるをえない場面が多々出てくる可能性があります」との貼り紙を出した病院の例も載っています。

どちらも事実。さて今後、どうしていけばいいのでしょうか。

 

私は、「働き方改革」のキーワードは業務の「質向上」だ、と考えています。

労働時間が短くなれば、その分だけ業務量が減り、サービスが低下する…というふうに考えがちです。

しかし、先ほどの院長コメントには「医療の質も向上した」とあったように、労働時間の制約が業務の質を高めることはむしろ自然な帰結だと私は思います。

別の院長は

「医師の疲労は本人の健康に加えて、医療事故にもつながりかねず、適切な管理は当然必要」

と話しておられます。

病院が安全な医療の提供を業とするならば、これが事の本質ではないでしょうか。

 

翻って、学校はどうでしょうか。

修学旅行に同行した教職員の労働時間は…?

部活動に従事している教職員の労働時間は…? 

1人の同じ教員があれもこれも従事し、労働時間が長時間になっているとすれば、そのしわ寄せ=弊害は肝心の教育内容、教育の質に現れているはずです。

残業代が発生しなければいい、というレベルの問題ではないのです。

教育の質向上のための働き方改革を、学校でもぜひ実践していただきたいと思います。

 

ちなみに弊社ではこんなセミナーもやりますのでぜひお越しください。

残業と長時間労働を“本気で”改善するための方法|株式会社 ワイズコンサルティング

開催日はまだ先ですので、おそらく今なら、この日の予定は確保しやすいことでしょう。早めのご予約をどうぞ。

 

少々話がそれましたが、病院も学校も、先生と呼ばれる専門職と事務職が混在する組織であり、公金が投入されているサービス業であるなど共通点が多く、経営課題も似通っています。

病院に関する動向、チェックしておかれることをお勧めいたします。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp