今年はものすごく賃上げが進んだ印象もありますが、
この「余力」のおかげなのでしょうか。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
大企業を中心に「賃上げ余力」が大きくなっている。財務省が3日発表した法人企業統計をもとに企業の利益などが賃金に回る割合を示す労働分配率を算出したところ、2023年度は38.1%と過去最低だった。企業の利益水準は過去最高で人材の確保に向けて、どう賃金に配分するかが経営課題になる。
私学関係の皆様にはひょっとするとあまりなじみがないかもしれない、
「労働分配率」という指標。
どのように計算するか、ご存知でしょうか。
計算式は【付加価値÷人件費】です。
学校法人の決算書にも、一般企業の決算書にも、
「付加価値」という項目(科目)は現れませんので、
付加価値をどう計算するのか、というのがポイントなのですが、
実は付加価値の計算式はひとつではありません。
ご興味がおありでしたら、ネットで
「付加価値 計算式」と検索していただければと思いますが、
かなりいろんな式が出てきます。
このブログでは、代表的と思えるものを2種類だけ載せておきます。
①控除法
付加価値=売上高-外部購入価額
②加算法
ちなみに、最も簡素化して考える場合、
【付加価値≒粗利益(売上総利益)】
とされることがあります。
粗利益というのは、「売上-原価」で計算されます。
私学の場合、原価はない、というのが一般的な捉え方ですね。
ということは、付加価値≒教育活動収入、になるんでしょうか、
それとも、付加価値≒納付金収入、になるんでしょうか。
さてこういったことを頭の片隅に置きつつ、
今回の記事を見ておきましょう。
資本金10億円以上の大企業の労働分配率は38.1%となっています。
その企業が生み出した付加価値のうち、
4割弱が構成員に分配されている、という計算ですね。
では、貴校園の労働分配率はどのくらいでしょうか。
仮に、人件費÷教育活動収入だとすれば、全国平均は約64%。
仮に、人件費÷納付金収入だとすれば、全国平均は約120%です。
(いずれも私学事業団「今日の私学財政」より2022年度の数値を参照しました)
38%という数値と比較した場合に、
人件費を上げる余力には歴然とした差がありそうです。
こういった情報も参考にしながら、
人件費のあるべき水準を検討する必要があるのかもしれませんね。
ちなみに、労働分配率の計算においては、
人件費には福利厚生費や研修費を含めることもよくあります。
この点にも留意しつつ、貴校園の労働分配率の適正値を
模索いただければと思います。
(文責:吉田)