ワニの口に例えるんですね…なるほど。
格差の表現としては言い得て妙なのかもしれません。
日経新聞より。
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所得階層による教育費の差が広がっている。世帯年収が平均1200万円超の層の支出が増え、2022年は初めて全平均の2倍超となった。特に塾代の伸びが著しく、ほかの層の伸びが追いついていない。年を追うごとに差が広がる「ワニの口」状態だ。高所得者層に追いつこうと中低所得層が教育費の負担を増やせば、家計を圧迫して少子化が加速しかねない。
この記事は、2022年の家計調査年報の2人以上の勤労者世帯を分析したもの。
教育費には、幼児教育から大学までの「授業料」、
塾や予備校の「補習教育」、そして「教科書・学習参考教材」が含まれます。
また、所得階層は5グループに分かれていて、
世帯年収の平均はそれぞれ
①371万円 ②557万円 ③696万円 ④871万円 ⑤1288万円
となっています。④と⑤の間が少々空いている、といった感じでしょうか。
教育費全体でみたばあい、全年収グループの平均値は21.7万円。
これに対し、最上位グループ⑤の支出は年間44.2万円。2倍超です。
ちなみに最下位グループ①は7.1万円でした。⑤とは6倍超の差があります。
そして、所得階層による差が特に目立つのは
「補習教育」だと記事は指摘しています。
全平均値は年間5.6万円ですが、⑤は12.5万円、①は1.4万円。
教育ステージ別にみると、⑤と全平均値の格差は
「高校」で最も大きく(2.6倍)、続いて「幼児・小学校」(2.1倍)、
「中学」(1.8倍)の順となっています。
なお、記事にも書かれているのですが、上記調査でベースになっている
家計調査の2人以上の勤労者世帯には、
そもそも子どもがいる家庭といない家庭が含まれているため、
全体の数字は少なめに出るという特徴があります。
加えて共働きのサンプルも少ないとされていますので、
実態はさらに格差が開いている可能性はあります。
詳細なデータで家計調査を分析する同志社大学の田中宏樹教授は「高所得者層の支出増加の勢いが強い。塾などの補習教育費がけん引している。ゆとり教育といわれる取り組みが本格的に始まった02年以降、公教育に不安を覚える親が増えているのが一因」と話す。
私学在籍者のご家庭は相対的に裕福な家庭が多い、
というのが自然な推測ではありますが、さて、
貴校園では所得の高いご家庭の支持を受けていらっしゃいますでしょうか。
今回の結果を見る限り、教育費の中でもそれなりの金額が
学校ではなく学習塾へ向けられていることが分かります。
公教育に対して不安を覚える親が増えている、
との上記大学教授のご指摘がありますが、
貴校園の教育にはぜひとも信頼感をお持ちいただき、
相応の対価をお支払いいただきたいところですね。
ちなみに先日来、大阪では私学の完全無償化をめぐり、
論争が起こっています。
私学には本来、価格設定の自由があるはずなのですが、
今回の施策はこれを認めないという、私学の根幹にかかわる
重大な瑕疵のある政策が進められようとしています。
価格が高いというのはそれだけ付加価値があるということ。
大阪府の制度案は私学の教育から付加価値を奪うに等しいものです。
政治家にとっては、お金をばらまくと票を稼げるのかもしれませんが、
この施策は私学の体力を徐々に奪っていくボディーブローに
なることは間違いなく、大阪の教育環境が劣化してしまう心配があります。
私学には本来、価格設定の自由があることを改めて強く認識し、
私学らしい、付加価値の高い教育を実現いただきたいと願います。
(文責:吉田)