日経新聞の連載記事、「やさしい経済学」。
先日までのテーマは「衰退する日本の中間層」でした。
教育に携わる者として、気に留めておきたい内容がありましたので、
共有させていただきます。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
突然ですが、「中間層」と聞いて、あ、自分のことだ、と思われましたか?
この記事にも書かれていることですが、日本では多くの方が
「自分は(家計的に)中間層だ」と思っているようで、
実に9割の方が中流意識を持っているとの結果だったそうです。
そしてこれは日本だけでなく、多くの国で見られる現象だとも
記事に書かれています。
ところが、中間層という自己認識が多くありながら、
日本の家計は生活不安を抱えている、と記事は指摘しています。
生活意識について「苦しい」が「普通」を上回っていて、
2000年代以降も「苦しい」は5割を超え続けているとのことです。
では、どのような支出が家計を圧迫しているのか。
2019年の全国家計構造調査(総務省)を基に、
勤労者世帯の消費状況を見てみると、以下の特徴があったそうです。
世代共通で大きな消費項目である「食料」や「交通・通信」、「教養娯楽」を除くと、壮年世代の「夫婦のみ世帯(夫30歳代)」や「夫婦子2人世帯(長子が未就学児)」では、消費支出に占める「住宅」費の割合が高くなっています。例えば、夫婦のみ世帯の場合、「住宅」費の割合は14.5%になります。一方、中高年世代の「夫婦子2人世帯(長子が大学生等)」になると、「教育」費の割合が大きくなり、26.4%にもなります。
若い世代を中心に収入が減少するなかで、固定費である住宅費の負担が大きくなっています。教育費は大学進学率の上昇と学費の高騰などが要因でしょう。
現役世代の中間層は、賃金が上がらない中で、住宅費や教育費の生活コストの問題に直面しています。
私学に在籍する子どもを持つ世帯は比較的裕福である、
というのはある程度は言えるものの、高校無償化施策が入って以降、
必ずしもそうではないというケースも増えていると感じます。
そして今回の記事で、所得がそれなりにある中間層においても、
教育費によって家計が圧迫されている例が少なくないことも分かりました。
私学としては、その貴重な支出を向けていただいていることを忘れず、
子どもたちの学びと育ちに不可欠な価値を提供することが
重要であると改めて感じました。
皆様はどのような感想をお持ちになったでしょうか。
改めて自校園の価値について思いを致していただければ幸いです。
(文責:吉田)