寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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子供の学習費調査に関する研究会 検討のまとめ

子供の学習費調査、ご存知でしょうか。

教育に対する支出の状況を知るため、

私学にとっては重要な統計のひとつであると感じております。

その調査に関する改善プランが、文科省から示されました。

 

これからの子供の学習費調査に向けた改善プラン:文部科学省

 

本プランの概要について上記リンク先に記載がありました。

大きく3つの項目から成っています。

 

まずは1つめ、「調査事項の現代化」についてです。

学校外活動費の調査項目「国際交流体験活動」(留学等に対する家計支出)を新設
学校教育費の調査項目「修学旅行・遠足・見学費」を「修学旅行費」と「校外活動費」に分割(→修学旅行費と校外活動費を個別に把握・集計可能に)
世帯に関する質問「生計を一にする保護者等」を新設(→学習費支出とのクロス集計を通して、ひとり親か否かによる学習費支出状況の差を把握可能に)

国際交流、校外活動など、今後に向けた教育施策の方向性も垣間見えますね。

こういったことから国策のトレンドを知ることもできそうです。

 

次に「統計精度向上に向けた標本設計の再構築」について。

抽出・結果集計に使用する市町村人口規模区分を見直し(将来人口推計に基づく調整)、高等学校の学科区分を見直し(総合学科及び「その他の専門学科」の生徒数増等を受けた調整)
私立小学校の全学校調査をやめ、3集団化による交替での調査実施学校選定へ
私立小・中学校の学校抽出基準を「授業料と施設整備費等の合計額(初年度以外の学年における金額)」に変更
学年の規模が小さい(学校抽出基準に満たない)学校も調査対象とできるように変更
目標精度(学習費総額の標準誤差率1.80%等)に基づき、全学校種の調査対象数を再設定(→目標に満たない学校種の精度向上に向け調査対象を拡大(全国約1,600校、約5万3千人へ))

これは統計に対する信頼度を上げるために必要なことですね。

個人的には赤文字にさせていただいた点がなるほど、と思わされました。

初年度か初年度以外か。後者の方が基準としては適切な気がします。

 

最後に、「回答者負担軽減のための調査手法見直し」について。

調査事項の絞り込み(→より分かりやすい調査票に改善し、回答の分量も削減)
 初年度学校納付金(入学金・初年度施設整備費等)の回答欄を独立
 学校教育費の調査項目から「入学検定料」を削除、及び学校外活動費の小々分類(有形財とサービスの別)を全て削除
 学校教育費の調査項目「後援会等会費」を新設
保護者調査票と学校調査票の2調査票による調査手法を廃止、保護者調査票に一元化(→学校の回答負担軽減、学校納付金等の把握正確化)
保護者調査にオンライン調査を導入(→学校・都道府県の事務負担軽減、保護者は手軽に回答可能に)
 紙方式とオンライン方式を併用、保護者が選択可能に
 オンライン方式は政府統計共同利用システムを利用

末尾にあるように、オンライン調査の導入が挙がっております。

手間を考えれば当然のことで、今ごろになって?と驚きます。

もし皆様の学校園において実施されている調査や意見聴取等が

紙のみ、となっているようであれば、方式の検討は必須でしょう。

 

今後はエビデンス(根拠)に基づく政策決定が進められていく予定です。

(EBPM、というやつですね)

私たちも賢く統計を活用していけるといいですね。

 

(文責:吉田)

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