久しぶりに、日経新聞の連載【やさしい経済学】から。
『変わる雇用と「エンゲイジメント」』というテーマの連載記事で、
今年の2月末に掲載されたものをご紹介します。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
おそらく私学関係者の皆様も感じておられると思いますが、
日本では近年、雇用・労働環境が変わり、価値観や働き方の多様化が進んでいます。
そしてこの記事の筆者は、現状を
「社会や働き方の境界が緩やかになりつつある」と表現していらっしゃいます。
例えば、年齢の枠にとらわれずに働く生涯現役への移行は、現役と老後との境界を緩やかにします。場所や時間に左右されない在宅勤務の導入は、仕事と私生活、労働と休みとの境界を緩やかにしています。
少子高齢化が進み労働力人口が減少しているため、企業は労働力の「質」の向上を通じて生産性を高める戦略に転換しています。一方、労働者も働く意義を再考し、より充実した働き方を模索し始めています。
まずはこの現状認識を、私学関係者の皆様とも共有したいと思います。
年齢や時間、場所という境界が緩やかになっている現実。
さらに、労働力人口の減少によって企業側は「量から質への転換」を図り、
労働者側の志向も同じく「量から質へ」と向かっている。
さて貴校園でも、そのような現状把握をされていますでしょうか。
もしまだ「質より量」といった考え方が支配的だとすれば、
まさに考え方の転換を図る必要性があるのではないでしょうか。
さてそのような「緩境界化」時代に直面している昨今において、
どうすればワーク・エンゲイジメントが高まるのでしょうか。
記事の筆者はこのような提言をされています。
仕事の資源に関しては、上司や同僚からの支援、仕事のコントロールへの注目が重要です。在宅勤務では自律的に仕事ができる半面、周囲からのサポートが得にくく、孤立しやすくなります。メンバー同士の助け合いや思いやりある行動を増やす工夫、仕事以外の話題なども気軽に話せる場の設定が必要です。
個人の資源に関しては、自己効力感や仕事の意義(働くことの意義)を高めることが重要です。自己効力感は自らの行動を主体的にコントロールできるという感覚です。先行きが不透明な中で自律的な働き方を求められても、自己効力感は実感できません。身近で具体的な目標を設定し、これらを達成することで小さな成功体験を積み重ねる工夫が求められます。
(太字への加工はブログ筆者によるものです)
学校で働く教職員さんは、「組織」としての感覚が弱いことが多いものです。
これからは周囲との関係性をより重視しながら、
仕事の目的や意義をより明確にしてもらうような工夫が必要なのでしょう。
業務の成果を大きくするためにはエンゲイジメントが特に重要、
ということが言われるようになっています。
ぜひとも貴校園の職場づくりの中でも意識してみていただきたいと思います。
(文責:吉田)