形式的なものにならないことを心から願いたいのですが。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
国は大学の規模適正化を後押しする。盛山正仁文部科学相は9月、大学の再編・統合や自主的な撤退の促進策を検討するよう中央教育審議会に諮問した。2024年度中に答申を受け、文科省が政策に反映する。
制度の大枠は、
・一定の入学者数に満たない大学の補助金を入学希望の多い大学に再配分
・私大が破綻した場合に学生が他校へ円滑に移れるようにする
・廃校を決めた私大が在学生が卒業するまで教育を継続できるよう補助金を出す
・連携や統合の相手を見つけるためのマッチングシステムを稼働する
といったもののようです。
こんな施策が出される背景にはおそらく、
大学自身がそれを望んでいる、という点もあるのでしょう。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
歯止めがかからない少子化を受け、再編・統合をめざす大学が広がってきた。日本経済新聞の調査に答えた520大学の25%が再編参加に関心を示した。他校と協議を始めたのは14校と少なく、危機感の深まりが十分とはいえない状況だ。
深刻な少子化により、大学入学者数は2040年以降、
49万~51万人に減ると推計されています(2022年は63万人)。
現状すでに、定員割れの私大が53%(320校)ありますので、
今後は大学そのものの数も減らざるを得ない、
そのためには廃止や再編が必要、という流れができつつあるのでしょう。
学長自身へのアンケートにおいても、国内の大学数は
「多い」との回答が81%を占めています。
しかし一方で、同じアンケート調査で質問された、
今後5年で自校の経営状況がどうなるとみているのか、
という設問に対しては、「悪くなる」は36%。
「良くなる」(17%)と「変わらない」(25%)の合計を下回りました。
さらに、学部入学定員は「維持する」が69%、「増やす」が13%。
「減らす」は5%しかありません。
記事は
「自ら縮小する意向は乏しかった」
「自校の先行きは甘めにみる傾向が浮かんだ」
と厳しめのコメントを並べています。
こういった内容を読むにつけ、
将来に向けた計画性がまだまだ乏しい、という印象が拭えません。
弊社にお寄せいただくご相談はある程度世相を映している、
と感じていますが、コロナ禍の2~3年ほどは給与制度を変えたい、
というご相談が一気に増えたのですが、今年は
「資金繰りが行き詰まりそうだ」
というご相談が複数寄せられました。
厳しい、ではなく、行き詰まりそう、という例が複数というのは、
これまでにはないペースです。
私学には建学の精神があり、他私学との統合は簡単ではありませんし、
簡単に考えるべき選択肢でもないと私は考えています。
中長期の規模設定を行い、自校園の永続のために必要な要素を
しっかり検討し、計画化することが何より重要です。
もちろん、それでも何ともならなければ合併や学部や学校種の移管なども
断行することになるかと思いますが、これまでの経験から申し上げれば、
将来計画をしっかり立てている学校法人さんは、
目の前の事象でそういった展開になることはない、と言い切れます。
ぜひとも魂のこもった将来計画を、と願わずにはいられません。
(文責:吉田)