6割、という数字が重く響きます。
日経新聞より。
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保育士の資格があるのに保育所などで働かない「潜在保育士」が資格者の6割に達することが分かった。看護師など他の資格と比べ突出して多い。短時間勤務が難しく、政府の規制緩和が現場のニーズと合わずに空回りする地域もある。賃金の低さも一因で、独自に待遇を改善する自治体が出てきた。少子化対策の充実に向け、すでに資格を持つ人材の掘り起こしが欠かせない。
まずは、記事に付いていた下のグラフをご覧ください。
私は2つの点に驚きました。
まず1つ目に、円グラフの大きさのちがいです。
厚生労働省によりますと、保育士の資格を持つ登録者数は
2020年時点で167万3千人。2005年は73万人だったとのことですから、
100万人近く増加しているわけです。これはすごい。
そしてもう一つ、実際に保育士として働いていない人が
なんと102万8千人いるということに驚きました。
登録者全体の61%を占めているとのこと。
この割合についても2005年時点より増えていますが、
ただ、当時も登録者の5割程度が潜在保育士だったとのことで、
こうやって見てみますと、保育士資格を持つ人を増やす必要性よりも、
資格を持っている人に活躍していただくことの必要性のほうが
ずいぶん大きかったのではないか、ということも思います。
学校の教員不足とともに、保育施設での保育士不足は
運営においては致命的です。
国の制度はこういったことへの対応が遅れがちですので、
私学をはじめ民間企業においては独自に知恵を絞る必要もありそうです。
保育士としての仕事が敬遠されがちな理由としてよく言われるのは
「働く時間の長さ」「仕事の多さ」「人間関係」
ですが、それらを一気に解決することはできずとも、
ひとつずつ対策を練ることはできるのではないでしょうか。
また、記事にはこういったことも書かれていました。
中央大学大学院の佐藤博樹教授は保育士として働きたい人を増やすために「企業のようにキャリアパスをもっと見えやすくすることが大切だ」と語る。保護者の相談にのる専門的な資格や、求職者が事前に園の保育方針を知ることができる仕組みも考える必要があると提起する。
自園で取り組めることはないか、今一度ご検討いただければ幸いです。
(文責:吉田)