昨日に続いて日経新聞の連載記事より。
人事マネジメントでぜひ押さえておきたい点です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
昨日のブログで採り上げた記事によれば、
労働生産性を上げるために賃金設計が重要になるわけですが、
一方で働き方を改善することも必要ですよね。
本日の記事では、労働者の監視(モニタリング)についての
フィールド実験が2つ、紹介されています。
まず1つめは、電話営業の会社でのフィールド実験です。
労働者には基本給と成果に応じた歩合給が支払われるこの職場では、
成果を不正に申告し給料を上げる余地があったので、
不正な申告を避けるため、本社は時々監視のための確認をしており、
その監視の頻度をランダムに上下させ、
不正と疑われる申告が変わるかどうかを実験したそうです。
結果として、一部の労働者は監視の頻度を上げると、不正と疑われる申告が減りました。ただし、別の労働者では監視の頻度と不正と疑われる申告に関係はありませんでした。追加の分析で、雇用者と労働者が良好な関係を築いていれば、後者のように監視と不正の関係が小さくなるという結果が得られています。
そして2つめ。先ほどとは条件が異なり、結果も異なるのが興味深いです。
英ロンドンスクールオブエコノミクスのグリアー・ゴスネル氏らは、航空機の機長に対する実験をおこないました。これまで紹介したフィールド実験の多くは比較的単純な仕事が対象でしたが、この研究は航空機の操縦というスキルを要する仕事が対象です。
労働生産性は燃料使用の効率性で測定しました。結果として、上司が監視することで、燃料使用が効率的になったことが確認されました。この研究では、他にもフィードバックや目標設定などについても検証され、それぞれ生産性が向上したと結論づけています。
上司など監督役による監視は、生産性向上につながる可能性がある、
というのは何となく自然に受け入れてしまいそうになる結論ですが、
実際には仕事の種類によって変わってくると言えそうです。
上記の実験結果からすると、むしろ専門性の高いものや
技術力が必要なものについてその効果が肯定されるというのは
とても面白いと感じました。学校現場はこちらでしょうか。
一方で、監視が生産性を低下させる可能性も無視できません。
自律的な働き方でモチベーションを保っている労働者が、
監視されることで逆にやる気を損ねてしまう、
ということも容易に想像できます。
さて、貴校園では生産性向上に向けて取り組まれていることはあるでしょうか。
昨日と本日の記事がその参考になれば幸いです。
(文責:吉田)