事業の永続のためにやむを得ない、と言い切れればいいのですが。
日経新聞より。
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少子化と新型コロナウイルス禍が、子育て世代の家計を直撃している。生徒争奪戦を繰り広げる私立校は少人数クラスの拡充などコスト増でも特色ある教育に力を入れており、都内の私立大の年間授業料でみると5年で7万円余り増えた。オンライン授業など感染対策で進む教育環境の整備も、「学びのコスト」を押し上げる一因となっている。
この5年の費用は下の図にまとめられています。
たった5年間で、ということを念頭に置けば、
大きな値上げだと言えるのではないでしょうか。
具体的な値上げ幅については、記事によればこんな感じです。
・私立大の授業料(総務省の小売物価統計調査による)
東京都区部で824,895円(5年前の750,122円から1割増)
大阪市で883,147円(同15%増)
名古屋市で743,780円(同3%増)
・私立高校の年間授業料も増加傾向
東京都内の私立高校では学科ベースで延べ267学科のうち
2020年度に62学科、21年度に24学科が値上げ
・自動車教習所の教習料=約2万円増
・水泳教室の月謝=15%値上がり
・制服=男子(約34,000円)が9%、女子(約32,000円)が6%高くなった
・コロナ禍前の2019年との比較では、
授業料は私立高で2%、私大で3%、予備校で14%アップ
記事には値上げの理由も言及があるのですが、
高校授業料については東京都私学行政課の担当者談としては
・教職員の拡充など働き方改革の進展に伴うコスト増
・コロナ禍による遠隔授業などの整備費など
が指摘され、都内私立大担当者は
・ICT教育の充実やキャンパス内の設備の更新を進めた結果
と語っています。
ここで1点、留意すべきことがあります。
一方で、給与所得はほとんど変化していない。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の月間賃金は20年で平均30万7700円。16年からの伸び率は1%にとどまる。
私学がその環境を充実させ、よりよい教育を実現するためには
相応の収入確保が必要となります。
その意味で、私自身、値上げには慎重になりすぎてはいけないと
考えていますが、それでも、値ごろ感というのは何にでも必要でしょう。
各校園の収入の使途が現状のままで各家庭の理解を得られるのか、
改めてチェックしておくとともに、収支差額の確保要請がそのまま
保護者負担に回ってしまうことのないよう、
中長期で経営を見通していただければと思います。
(文責:吉田)