寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

高校生に1年間の「国内留学」

多様な学びを経験させる場所は、

海外まで行かずとも身近にあることに気づかされます。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事は松江市一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームで

代表理事を務められている岩本悠氏の寄稿です。

この法人、今年度から高校生の1年間の国内留学を実現する事業、

「地域みらい留学」を始められたそうです。

島根県が国内留学先として先進的な存在であることは

ご存知の方も多いのではないでしょうか。

文章全体は結構長いので、以下、ポイントになりそうな点に

絞って引用させていただきます。

 

近年、イノベーション創出やリーダー人材育成に絡んで「越境」という概念が注目されている。異なる組織・環境・文化に飛び込む越境体験はコンフォートゾーン(居心地のいい場所)を越え、様々な葛藤を通して自らの見方・考え方・あり方を再構成させていく、非連続な成長機会である。

 

異なる環境に身を置くことで学べることはたくさんある、

ということを、むしろ大人がよく体験しているのではないでしょうか。

私自身、居心地の悪い場所に行くことでこれまでたくさんの学びがありました。

その環境を作ることが国内留学で可能になる、ということですね。

 

そして「非連続」な成長機会という言葉、斬新に映ります。

この記事の最後に、この言葉の意図するところが示されています。

お楽しみに。

 

さて、この記事で紹介されている1年間の国内高校留学は、

高校2年生の1年間が対象です。

内閣府の「高校生の地域留学推進のための高校魅力化支援事業」として

実現したこの取組では、違う課程(例えば通信制から全日制)や

学科(例えば普通科から農業や商業科)への越境も可能で、

中高一貫校を含む多くの高校生に門戸が開かれたそうです。

 

また費用については、授業料は基本的に在籍校に納め、

留学先校では徴収せず、学級費、行事参加費、生活費が

留学生側の負担となるとのこと。

経済的な負担は留学の有無によって大きくは左右されないように

なっているのも魅力的です。

 

この4月、第1期生23人が全国の公立高校で留学生活を始めた。留学前の在籍校を見ると、ほぼ7割が私立校、3割が公立校。中高一貫校が半数で、東京・大阪圏も半数。中には国際バカロレア通信制の高校もある。

 

私学生からの参加が多くを占めているのが興味深いです。

仮に中高一貫校からの留学を想定すれば、

6年間のうち1年をこのような形で過ごすのは

とても有意義なことのようにも感じます。

ただ、現実にはこういったことも。

 

一方、単年留学に関心を持ち説明会に参加した生徒は180人ほどおり、49人が留学を希望して直接相談に来たが、半分以上が断念した。理由のうち最多は「在籍校の反対」であり、「保護者の反対」もあった。


さらには、在籍校と留学先校で教育課程の調整がつかない事例も多かった、

と記事には書かれています。

必履修科目の配当学年が学校により異なるため履修漏れを防ぐ調整が必要で、

このためにもオンライン授業や個別学習システムの活用など、

より円滑に対応できる仕組みの構築が必要、と筆者は指摘しています。

 

最後に、「非連続」の学びについて。

今までの学校教育は系統的なカリキュラムによる連続性・計画性・効率性を重視してきた。しかし予測困難な次の時代に向けて、非連続な経験や非計画で非効率な学びの選択肢もあってよい。多様な学びの一つの機会として、越境を選べる「開かれた教育環境」の整備が望まれる。

 

 

実社会はまさに生もの。決まった方程式では解けない問題ばかりです。

その意味では、学校にとっての日常は、

社会にとっての非日常、と言えるかもしれません。

思うようにいかない中でどう生きていくのか、

そのヒントがこのような体験で得られるとすれば貴重な学びです。

貴校園での学びはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp